マンション購入ガイド
【2023年最新版】マンションの価格動向は今後どうなる?これまでの動向も解説!
マンションを売却しようとしているのですが、今後のマンション価格の動向を見て売却の時期を決めたいと考えています。今すぐに売るべきでしょうか?それとも、もう少し待つべきなのでしょうか?今後のマンション価格の動向について教えてください。

マンション価格は現在まで上昇傾向にあるため、2023年は売却に適したタイミングであるといえます。価格が上昇している要因は、住宅ローンの低金利、円安による海外投資の増加、世界的インフレ、中古マンションの需要増加、都市圏への人口の集中、建設費の高騰など大きく分けて6つです。
情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二
目次
2022年までのマンション価格の動向は?
マンションの売却・購入を検討している方は、マンションの価格動向が気になるのではないでしょうか?
2022年までの過去20年間、首都圏の新築・中古マンションの価格は、総じて上昇傾向にあります。特に、REINSの調査※1によると、2014~2015年頃から中古マンションの資産価値は大幅に上昇中です。特に、築浅中古マンションの上昇幅は大きく、2020年以降も上昇傾向にあります。2008年にはリーマンショックによる不況の影響を受けましたが、その後すぐに回復している傾向です。
また、不動産経済研究所の調査※2で、東京23区の2022年までの10年間に絞ったマンションの平均価格推移を解説していきます。新築マンションの場合、2012年の5,238万円から8,236万円と約1.6倍上昇しており、2023年の1月から5月の平均も1億4,230万円と急激に値上がりしていることが分かります。中古マンションの場合では、2012年の3,237万円から5,776万円と約1.8倍もの上昇となり、新築マンションを上回る数値です。
また、国土交通省の公表によると、マンションの不動産価格指数は大きく上昇しています。不動産価格指数とは、全国での不動産の取引価格を参考に、不動産価格の動向を指数化したものです。マンションの不動産価格指数は上昇し続け、10年前と比べ、約1.8倍※1まで高くなっています。ここからは、今後のマンション価格において高騰した場合と、下落してしまった場合に考えられる要因をそれぞれ解説していきます。

【マンション価格の今後】影響するのは、住宅ローンの低金利
マンション価格は今後も高騰する可能性が高いと考えられます。住宅ローンの低金利により多くのお金を借りやすくなったことで市中に貨幣の量が増え、その結果、貨幣価値が下がりインフレが生じているからです。
現在、住宅ローンの低金利の状態が続いています。金利が低いとマンションを購入するハードルが下がり、その分マンションの需要が高まります。結果、市場に多くのお金が溢れることでお金の価値が下がり、逆に不動産等の「もの」の価値が上がっているように見えるのです。つまり、インフレです。日本は人口が減っており、実需は減りつつあると考えられますが、不動産価格が上がっているのは、インフレによって貨幣価値が下がっているからだといえるでしょう。
日本銀行は、2023年4月の日銀金融政策決定会合においても低金利政策の継続を表明しています。

マンション価格が今後上昇するそのほかの要因とは?
先述したように、マンション価格の上昇傾向には住宅ローンの低金利が大きく関係しています。2013年頃から開始された日銀の低金利政策により、住宅を取得しやすい状態は今なお続いている状態です。さらに、この低金利のほかにもマンションの価格上昇にかかわる要因は複数あると考えられます。ここからは、それらの要因について見ていきましょう。
円安による影響
マンションの価格が高騰する要因として考えられるうちの1つが円安です。円安時は、低価格で日本の不動産を購入できるチャンスとして海外からの需要が高まります。さらに、海外の投資家は投資目的として一度に複数戸のマンションを購入することが多いので、少子高齢化により国内の人口が減少したとしても購入需要が発生することになります。
以上のようなことから円安時はマンション価格の高騰につながりやすく、購入を検討する方にとってはハードルが高くなりますが、売却を検討する方には適したタイミングだといえるでしょう。

世界的なインフレ
近年のコロナ禍で需要と供給のバランスが乱れていることや、ロシアのウクライナ侵攻によってインフレが世界的に進んでいる状況も、マンション価格高騰の要因です。
世界各国の主要銀行がインフレを抑えるために金利を高くしているのに対し、日本は金利が低いままです。利回りの高い他国の通貨で運用したほうが有利であることから、円が売られ、他国の通貨が買われて円安になっています。つまり、他国における世界的なインフレを抑え込むための高金利と、日本の低金利の格差によって円安が進み、輸入建材が高騰しているのです。
新築マンションを建築するためには鉄のような多くの輸入建材が必要となりますが、輸入建築資材は円安の影響で、さらに上がっています。その結果、価格が高過ぎて購入が困難になり、中古マンション市場に流れる人が増加し、中古マンションの価格も上がるという状況になっています。
現在、国内の物価の変動を表す「消費者物価指数」は上昇傾向です。日本銀行が掲げる目標である2%を上回り、2023年現在、19か月連続で高水準となっています。消費者物価指数の上昇に反して、不動産価格が低下することは今後も考えにくいでしょう。
地方都市中心部マンション価格高騰
中心市街地は土地価格が高く、相対的に今まで供給されていた郊外の物件よりも新築マンション価格が高いです。近年、全国の政令指定都市や県庁所在地などの中心市街地では、百貨店やオフィスビルが撤退し、その跡地へのマンション建設が進んでいます。これらを購入しているのは主に、パワーカップルのほか近隣の高齢世帯の富裕層です。
また、人口の減少により働く人が減ったため、空洞化した中心市街地にタワーマンションが建てられていることや、郊外の持ち家から便利な都市部へのマンションへ住み替えを希望する高齢者が増えていることなども全国でマンション価格が高騰している要因です。地価の高い中心市街地に新築マンションが供給されると相対的に新築マンションの価格が上がります。地方都市でも新築マンション価格が高くて買えない人は増えており、中古マンション市場に多くの人が流れることで、全国的に中古マンション価格が高くなっているのです。

建設価格の高騰
マンションを建てる建設価格が高騰することも、マンション価格が上がる理由の1つです。上記でもお伝えしたように、現在は円安の影響で輸入建築資材が高くなっています。その結果、新築マンションの価格が上がり、買えない人が増え、中古マンションに対する需要が高まっています。
●原油価格の高騰
原油生産額、輸入額がともに多いロシアのウクライナ侵攻による、原油価格の高騰が影響しているといえるでしょう。
●アイアンショック
アイアンショックによって鉄筋や鉄骨などの鋼材価格が高騰していることも、建設価格が上がる理由だといえるでしょう。新型コロナで鉱山が閉山した結果供給量が減少し、コロナ後に需要が増加しています。
ここまで、さまざまな建設資材の価格高騰について解説してきましたが、海外の主要銀行の金利が高い限り円安は収まらず、建設価格の高騰も続く見込みです。

中古マンションの需要の拡大
上記の通り、新築マンションの価格が高騰しているため、新築マンションの購入を諦めて中古マンションを買う人が増加しています。その結果引き起こされているのが、中古マンションの価格上昇です。

人件費の上昇
建築業界では、高齢化による人手不足が発生しています。その結果、人件費がかさんでマンションの価格が上がるケースもあります。
建設業界で働く人は、専門的な知識や特別な技能を身に付けたプロフェッショナルの集まりです。そのため、誰でもなれるわけではなく、限られた人しか携われないため貴重な存在だといえます。そのような貴重な存在をできる限り減らさないためにも、人件費を確保することが必要です。
国土交通省は、建設業界において技能労働者の賃金をおおむね5%以上上げることを掲げています。また、平成25年から令和元年の建設業界の賃金上昇率は平均して2.7%上昇※3しています。

マンションの価格が下落する要因は?
今後も、マンション価格は上昇すると予想されています。とはいえ、状況が突然変わって価格が下落しないとも限りません。
ここからは、マンションの価格が下落する場合に考えられる要因について解説します。
円高傾向に振れた場合
マンション価格が下がる原因として挙げられる要因の1つが、円安から円高への転換です。
仮にアメリカの景気が悪くなった場合、FRB(連邦準備制度理事会)によって金利が下げられれば、日銀との金利差が縮まるため円高傾向に触れる可能性は若干あります。
円高になれば、外国人投資家の需要減退や海外からの輸入費用が抑えられるため、マンション価格の下落につながるでしょう。
金融緩和が終了した場合
景気がよくなった後で、日本銀行が金融を引き締めた場合もマンションの価格が下がる可能性のあるタイミングです。この場合、住宅ローン金利の上昇によって返済負担が増すという理由から、マイホームの購入を希望する人が減ると考えられます。
ただし、日本は国の借金である国債を大量に発行しており、金利を上げることで国の利払い負担が増えるため、簡単には金利を上げられない状況にあります。

何らかの取引規制が発動されたとき
仮に今後、バブル期のように不動産価格が異常に高騰し、何らかの取引規制が発動された場合には、不動産取引が抑制されることがあります。
考えられる規制としては、何らかの増税です。まず政府が国債で借金が膨れ上がっていることで、日銀が金利を上げられない状況が続いています。この状況を打破するには、増税を行って政府が借金を返し、日銀の金融政策と国の財政政策を連動させない形に変えていく必要があります。
増税をすれば世の中全体の需要が減っていくため、不動産価格も下がる可能性もあります。加えて国も借金を返して日銀が自由に金利を上げるようなことができれば、不動産価格は落ちついていく可能性があります。
マンション売買のタイミングで損をしないためには?
ここまで、マンション価格のこれまでの推移と今後の動向について解説してきました。この20年間、マンション価格は全体的に上昇傾向にあり、特に中古マンションは大幅に値上がりしています。
上記でお伝えした低金利の継続と、円安による海外投資家のマンション購入、首都圏マンションの価格高騰、世界的なインフによる影響で、今後も中古マンションの価格は上昇する見込みです。日銀が物価の安定という本来の役割を果たせない状況にあるため、今後はマンションに限らず、さまざまな「もの」の値段が上がっていく可能性があります。
ただし、日本はバブルを経験しており、不動産価格は永久に上昇し続けないことを多くの人が知っています。そのため、今後はいつどのようなことが起こるか予測できません。マンションの売買を検討する際は、まず自分のライフプランに合わせて考えるようにしましょう。
また、「これまで以上に価格が高騰する可能性があるなら、早めにマンション購入を検討したい」と考えている方は、まず信頼できる不動産会社に相談することがおすすめです。質問や相談に丁寧に答えてくれる不動産会社を選びましょう。長谷工アーベストでは、住まいに関するお悩みについて無料で相談を承っています。経験豊富な担当者がお客さま一人ひとりに寄り添って、丁寧に対応します。マンション購入を検討の際には、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか?
●長谷工住まいアドバイザーの無料相談はこちらから

住まい探しのプロである長谷工の住まいアドバイザーが住まい探しのご相談を無料でお受けしています!
●VRで物件を体験するにはこちら

自宅にいながら気軽にモデルルームを体験できる「Virtual Reality MODEL ROOM」です。憧れの住まいを自由にご覧いただけます。
●長谷工アーベストの住まい検索サイト「長谷工の住まい」はこちら

条件別にさまざまな物件を探すことができたり、住まいに関するお役立ちコンテンツをご提供したりしています。ぜひご活用ください!
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/rt/rt_202204_2.pdf
(最終確認日:2023年7月20日)
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001470532.pdf
(最終確認日:2023年7月20日)

情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二
株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、不動産キャリアパーソン、中小企業診断士。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングを行う。
HP:https://grow-profit.net/