マンション購入ガイド
新築住宅の引渡しをスムーズに進めるには?流れと注意点をチェック
数か月前に新築住宅を購入し、来月に引渡しとなる予定です。家を購入したことに喜んでいたもので、引渡しの際は何を行うのかをきちんと確認していませんでした。引渡しの当日は、不動産会社から鍵を受け取るほかにどういったことを行うのでしょうか?

引渡しでは鍵を受け取る前に、家の購入費用の残金を支払ったり、所有権の登記を行ったりする必要があります。その前に、家に不具合がないかを再度確認したり、設備の説明を受けたりしてから鍵の受け渡しが行われるのが一般的です。
情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二
目次
「引渡し」はどんなイベント?
家を購入し、後は家の引渡しを待つ人のなかには、将来の生活への期待に胸を高鳴らせている人も多いのではないでしょうか?
しかし、家の引渡しの前後にはいくつかイベントが発生します。正しく理解していないと引渡し後の新生活に支障が出ることもあるのです。そこで今回は、住宅を購入した人に向けて、引渡しの前後ではどういった手続きが必要になるのかについてご紹介します。併せて、引渡しの際に事前に確認しておくべきポイントについても解説していきます。

そもそも「引渡し」とは、商品の売買を行った際に、所有権を売主から買主に移すことをいいます。つまり、引渡しがされてはじめて正式に「自分の家になる」ということです。そして、その引渡しはどのような流れで行われるのでしょうか?ここでは大きな流れの5つを見ていきましょう。
購入費用(残金)の支払い
まず、引渡し日までに売買代金および購入諸費用の支払いを済ませておく必要があります。売買契約時に頭金を支払っている場合は、引渡し日にはその残金を支払わなければなりません。
一般的には、住宅ローンを利用して残金を支払うことが多く、その際は金融機関が残金の支払い手続きを行ってくれます。
所有権の登記
購入費用(残金)の支払いが完了したら、次に法務局で不動産登記を行い、住宅の所有権を登録する必要があります。不動産登記とは、土地や建物等の不動産の所有者が誰であるのかを、法務局が管理する登記簿に記載する手続きのことをいいます。法務局に書類を申請してから、登記の反映には約7日~10日程度かかりますが、所有権自体は引渡し日に移転されます。
登記手続きをする際に住宅ローンを利用する場合は、抵当権の設定も行う必要があるので注意しましょう。抵当権とは、ローンを返済できなかった場合の担保として、金融機関が土地や建物などの不動産にかける権利のことをいいます。
また、不動産の登記に関する手続きは、一般的に司法書士に依頼します。

補修の最終チェック
内覧会で見つかった不具合が補修されているかを最終確認しましょう。なぜなら、引渡し後に傷や汚れを指摘しても、住宅会社の管轄外でできたものと見なされてしまい補修してもらえない可能性があるからです。
保証や使用方法の説明
内覧会や引渡し日までには、家の設備に関する保証書や取扱説明書を受け取るようにしましょう。設備に不具合があったり、扱い方がよく分からなかったりした場合には、保証書や取扱説明書が必要になります。
また、引渡し後は新しい環境で不慣れなことや分からないことが多くなりがちのため、住宅会社から設備の利用方法について説明を受けておくことも大切です。通常は内覧会の際に説明を受けますが、念のため引渡し前にも再度説明を受けることをおすすめします。
鍵の受け取り
一連の流れが完了すると、引渡し作業は終了です。最後に鍵を受け取り、玄関の開閉が可能かどうか確かめましょう。

「引渡し」は、家を自分のものとするうえで非常に大切なイベントになります。引渡し当日やその前後の行動によって後悔しないためには、以下の2点について確認しましょう。
・引渡し前後の流れを把握する
・準備する項目を押さえる
次の項目以降では、この2点について詳しく解説を行っていきます。
引渡しのチェックリスト
引渡し当日までには、建物の不具合を確認したり、書類を準備したりといった工程があります。ここでは、不具合のチェックポイントや、引渡し当日に必要となるものについて見ていきましょう。
不具合のチェックポイント
引渡し後の再補修は、別途費用がかかったり、対応を後回しにされたりする恐れがあります。これから住む家をきれいな状態で引渡してもらうために、引渡し前に再度、以下の項目で不具合がないかをしっかりと確認しましょう。
不具合のチェックポイント |
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内覧時に指摘した箇所 |
ドアの開閉 |
水回り(水圧) |
外壁のひび割れ |
収納の寸法 |
壁や窓の位置と寸法 |
上記の項目は、ごく一例になりますので、そのほかに些細なことでも気になる箇所を見つけた際は、不動産会社へ相談してみるとよいでしょう。
引渡し当日のスケジュール
不具合のチェックが終わり、建物に問題がないことが確認できたら、いよいよ引渡しとなります。引渡し当日のスケジュールは、大きく分けると次のような流れが一般的です。
引渡し当日のスケジュール |
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[ 1 ] 住宅ローンの残金決済 |
[ 2 ] 不動産登記 |
[ 3 ] 鍵の受け取り |
前述の通り、引渡し当日は慌ただしくなりがちなため、事前に行うべき準備を把握しておくことが大切です。以下のリストを参考にして、当日に向けて準備をしておきましょう。

準備するもの
引渡し当日に準備しておくものとして、以下のリストをチェックしておきましょう。
必要なもの |
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本人確認書類 |
住民票 |
実印 |
印鑑証明書 |
預金通帳 |
銀行取引印 |
登記費用 |
固定資産税の精算金 |
ちなみに、新築住宅と中古住宅では、必要な持ち物が変わってくるため、必要なものは事前に不動産会社に確認しておくとよいでしょう。
受け取るもの
前述した不具合等がなければ、最後に不動産会社から鍵と書類を受け取り、引渡しが完了します。受け取る主な書類は以下です。
受け取るもの |
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鍵 |
建物引渡証明書 |
検査済証 |
建築確認通知書 |
設備取扱説明書、保証書、アフターサービス規準書 |
登記に必要な書類一式 |
住宅性能評価書(住宅性能評価を取得する場合) |
長期優良住宅認定通知書(長期優良住宅の場合) |
受け取った書類は、市区町村役場へ提出したり、相続が発生したりした際などで必要になるので、しっかりと管理しておきましょう。

引渡し前後の流れ
ここまでは、引渡し日について大きな流れや必要なものについて解説してきました。では実際に、引渡しの前後ではどのようなイベントがあるのでしょうか?それぞれのイベントの間隔も併せてチェックしておきましょう。
引渡し前の「内覧会」
引渡し前の内覧会では、建物の不具合のチェックや寸法の実測を行いましょう。そもそも内覧会とは、「購入した新築住宅の引渡しが行われる前に、購入者自身の立会いのもと行われる建物のチェック」のことをいいます。
内覧会で見つけた不具合に関しては、引渡し日までに修繕を依頼しましょう。修繕には時間を要するため、内覧会は引渡しの2~3週間前に行うのが理想的といえます。
●内覧会とは?当日の流れと確認したいチェック項目に関する記事はこちら

内覧会時に見るべきポイントや、当日の準備について開設されています。

引渡し後の「引越し」
引越しは引渡し当日に行うのではなく、引渡し日から1~2週間後のタイミングで行うのが理想的です。なぜならば、引渡し日には代金の支払いや書類の受け渡しといったイベントがあり、当日は忙しくなる恐れがあるためです。それに加えて、引越し時の家具が搬入されるまでの間に、事前にカーテンや照明などを設置しておくことで、引越し当日にスムーズに作業を進められるというメリットもあります。
ただし、引越しまでに期間を空け過ぎてしまうと、湿気や紫外線による家の劣化が起きたり、排水トラップに溜められた水が蒸発し、トイレや洗面台から嫌な臭いが逆流する原因となる「封水切れ」が起きたりする恐れがあります。引渡し日から引越しまで期間を空ける場合は、紫外線防止のためカーテンを閉めたり、定期的な換気をしたり、水回りの使用を行いましょう。
ポイントを押さえて引渡しを成功させよう!
新築住宅の引渡しは、入居前に不動産会社との間で行われる最後の大きなイベントになります。そして、引渡し当日は残金の支払いや書類の受け渡しなど、やるべきことが多く、十分に準備しておく必要があるでしょう。
新しい住まいで安心して生活をするために、不具合のチェックや準備をしっかりと行い、不安要素をゼロの状態にしてから引渡ししてもらいましょう。
ぜひ、本記事内のチェックリストを活用し、抜け漏れがないように確認してみてください。そして引渡しをスムーズに進め、安心して入居に臨めるようにしましょう!

情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二
株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、不動産キャリアパーソン、中小企業診断士。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングを行う。
HP:https://grow-profit.net/