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省エネ住宅とは?種類や補助金をご紹介!

子どもが生まれるのでそろそろ戸建て住宅の購入を検討しています!いろいろ調べてみると「省エネ住宅」というものがあることを知りました。省エネ住宅にはどのようなもので、どんな種類があるのでしょうか?また、省エネ住宅に住むメリットや注意点も教えてください。

Answer

省エネ住宅は、消費するエネルギーを抑える工夫が施された住宅のことで、「ZEH(ゼッチ)」や「スマートハウス」などの種類があります。光熱費が抑えられたり、補助金や減税を受けられたりするメリットがある一方で、初期費用が高くなったり、建築業者が限られたりするという注意点もあります。

情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二

目次

省エネ住宅とは?

省エネ住宅とは、消費するエネルギーが抑えられるように工夫が施された一戸建て住宅のことです。省エネ住宅にすると、消費エネルギーを抑えられるため、光熱費を削減することができます。また、二酸化炭素による地球温暖化をはじめとした環境問題の抑止にもつながります。

今回は、省エネ住宅に興味がある人や省エネ住宅に住もうか迷っている人へ向けて、省エネ住宅の種類やメリット、注意点などについてご紹介していきます。この記事を読むことで、省エネ住宅についての知識を深めていきましょう。

まずは、省エネ住宅に関する基本的なことからお伝えします。

省エネ住宅と太陽光パネル
※イメージ写真

背景
省エネ住宅が注目された背景としては、近年顕在化してきた地球温暖化現象が挙げられます。古くは、1970年代に2度発生したオイルショックにより、日本全体で石油からの脱却やエネルギーの効率的な利用が推進され、1979年には「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」が制定されました。以後、改正を繰り返し2013年には「電気の需要の平準化」が追加され、季節や時間帯ごとの電力需要格差を小さくするという目標が掲げられました。電力需要格差を小さくするために、省エネ住宅の重要性は徐々に強まっていき、近年の温暖化現象によって必要性がますます高まってきたという背景があります。

基準
資源エネルギー庁によると、日本の家庭での電力消費量のうち約30%は冷暖房費が占めています。そのため、冷暖房の使用をはじめとしたエネルギー消費を抑えるための基準が大きく2つ設けられています。

●外皮性能
外皮とは、外壁や床、屋根などのような住宅の内部と外部を隔てる境界部分であり、これら外皮の性能を「断熱」と「日射」の2つで評価しています。断熱とは、屋内と屋外の熱の出入りについての指標であり、日射とは屋内に届く太陽光の熱量についての指標です。

断熱性能が高いほど、夏場は屋外の熱が屋内に伝わりにくく、冬場は屋内の熱を屋外に逃しにくくなります。また、日射遮蔽性能が高いほど、屋内温度が上がる最大の要因である日射熱の影響を軽減できます。

外皮性能を示す数値としては、「UA値(外皮平均熱貫流率)」と「ηAC値(平均日射熱取得率)」の2つがあります。UA値は、屋内から屋外へ逃げる熱量の、外皮面積あたりの平均値であり、UA値が小さいほど断熱性能が高いといえます。一方でηAC値は、屋外から屋内へ入ってくる日射による熱量の、外皮面積あたりの平均値であり、ηAC値が小さいほど日射遮蔽性能が高いといえます。

●一次エネルギー消費量
エネルギー消費量は、使用する設備の種類や性能によっても変化するので、外皮性能だけでは測れません。そのために、一次エネルギー消費量という基準があります。これは、冷暖房設備や照明設備などの、住宅内で使用する設備が消費するエネルギーの基準です。

また、日本は南北に長く、地域によって気温が異なるため、必要になる性能も当然変わってきます。そこで日本では、全国を8つの地域に分類して基準値を設けています。

太陽光パネル
※イメージ写真
省エネ住宅の種類は?

ここまで、「省エネ住宅とは何か」という観点で、省エネ住宅の背景や設けられている基準についてお伝えしてきました。ここでは、省エネ住宅の種類について、代表的なものを6つご紹介します。

ZEH
ZEH(ゼッチ)とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称です。住宅で使用する一年間の一次エネルギー収支をゼロに抑えることを目指した住宅のことをいいます。一次エネルギーとは、電気に変換される前の石油や石炭、天然ガスなどの自然界から得られるエネルギー資源のことです。

住宅全体の高断熱化や冷暖房や給湯、換気などの設備の高効率化の組み合わせで、一次エネルギーの消費量を削減しつつ、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入でエネルギーを作り出し、エネルギー収支がゼロ以下になることを目標としています。

ただし一言でZEHといっても、エネルギー消費量の削減割合や導入設備などに応じて、「Nearly ZEH」や「ZEH+」などのように複数の種類に分かれ、種類によって省エネ性能は大きく異なります。詳しくは以下の記事で紹介しているため、併せてご覧ください。

●ZEH関する記事はこちら

ZEHとは?認定基準や補助金制度などについてもご紹介!
ZEHとは?認定基準や補助金制度などについてもご紹介!

ZEHについて、基本的な知識やメリット、注意点などについて解説していきます。

スマートハウス
スマートハウスとは、ITを用いて家庭内の電気機器を管理し、エネルギー消費を最適化する住宅です。代表的なITシステムとしては、「HEMS(ヘムス)」があります。

HEMSとは「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム」の略で、家庭内の電気機器の稼働状況や、電気やガスといったエネルギー使用量をリアルタイムで把握できるシステムです。エネルギー使用量を把握し、電気機器の無駄な使用を減らすことにより、光熱費を抑えることにもつながります。

LCCM
LCCM(エルシーシーエム)とは、「ライフ・サイクル・カーボン・マイナス」の略称です。住宅のライフサイクルにおいて、二酸化炭素の収支をマイナスにする住宅です。

具体的にいうと、住宅の建築から、居住、廃棄までにおよぶ住宅の一生で、可能な限り二酸化炭素の排出量を削減します。加えて、太陽光発電や風力発電などを使って生み出した再生可能エネルギーによって、二酸化炭素の収支ゼロを目指します。

ZEHとの違いは、ZEHは居住しているときの年間の一次エネルギー消費量のゼロを目指しているのに対し、LCCMは居住している間だけでなく、居住前の建築段階や、居住後の解体や撤去にかかわる二酸化炭素の収支をマイナスにすることを目指しています。

スマートホーム
※イメージ写真

長期優良住宅
長期優良住宅とは、長期にわたり安心・安全に暮らせるために定められた基準を満たし、認定を受けた住宅です。長期優良住宅と認定されれば、住宅ローン控除や不動産取得税、固定資産税の減税などの優遇処置を受けられます。

基準としては、省エネルギー性のほかに、耐震性や劣化対策など10項目あり、省エネ性能以外の部分でも高性能な住宅だといえます。詳しくは以下の記事で紹介しているため、併せてご覧ください。

●長期優良住宅に関する記事はこちら

長期優良住宅とは?そのメリットと、認定を受ける方法を解説
長期優良住宅とは?そのメリットと、認定を受ける方法を解説

長期優良住宅のメリットや認定方法についてご紹介しています。

認定低炭素住宅
認定低炭素住宅とは、二酸化炭素の排出を抑えるために定められた基準を満たし、認定を受けた住宅です。認定機関は各都道府県や市(区)となっており、認定されると所得税や登録免許税が軽減されます。

基準としては、必ず満たさなければならない「定量的評価項目」と、8種のうち2種以上を満たさなければならない「選択項目」があります。定量的評価項目は「外皮性能」と「一次エネルギー消費量」について規定されており、選択項目は「節水対策」や「エネルギーマネジメント」などの観点から8種の項目が設けられています。

省エネ住宅のメリットと注意点は?

省エネ住宅には、導入するメリットや注意点が複数あります。メリットと注意点をしっかり把握して、省エネ住宅が自分に合っているかどうかを判断する材料にしましょう。

メリット
省エネ住宅の主なメリットは3つあります。

●光熱費を抑えられる
断熱性能や日射遮蔽性能の高さにより、冷暖房によるエネルギー消費を抑えられます。エネルギー消費量の削減は、地球環境にやさしいだけでなく、光熱費を抑えることにもつながるでしょう。また、HEMSのようなエネルギー管理システムや、太陽光発電のような再生可能エネルギーを導入している場合は、光熱費をさらに抑えられます。

●快適な空間で暮らせる
断熱性能が高いことにより、季節にかかわらず室内の温度を一定に保ちやすくなり、より快適な空間で暮らすことができます。また、室内の温度の変化が小さくなることで、急激な温度変化によって発症するヒートショックの防止につながります。

●災害時に安心
太陽光発電のような再生可能エネルギーを導入している場合は、災害により停電になった際でも、発電して電気を使うことが可能です。また、再生可能エネルギーと併せて蓄電池を導入することで、非常用電源として使えるだけでなく、日中に蓄えた電気を夜間に使用することも可能となります。

電卓と家の模型
※イメージ写真

注意点
省エネ住宅の主な注意点は2つあります。

●初期費用が高くなる
省エネ住宅を建築するためには、省エネ性能に優れた素材や工法を用いて建築するケースも多く、一般の住宅と比べると初期費用が高くなってしまいます。また、住宅の種類によっては、太陽光発電やHEMSなどの設備を導入することもあるため、その場合はさらにコストがかかるでしょう。

●建築業者が限られる
省エネ住宅には、外皮性能と一次エネルギー消費量の基準が定められているため、これらの複雑な基準を満たした住宅を建築するためには、省エネ住宅に精通している建築業者でなければなりません。注文住宅の場合、業者によっては省エネ住宅の建築に対応していない可能性もあるため注意しましょう。

省エネ住宅はどんな補助金を受けられる?

省エネ住宅を購入することで、補助金を受けられる場合があるとお伝えしてきました。ここでは、どのような補助金があるのか詳しくご紹介します。

ゼロエネ住宅補助金 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化支援事業
ZEH住宅の建築や購入について、国が支援する補助金制度です。日本では脱炭素社会への取り組みを強化しており、2030年までには二酸化炭素排出量を50%削減するという目標を掲げています。その目標の達成するために、ZEH住宅の普及を目指し、この支援事業が行われています。

補助金の金額は、エネルギー消費量の削減割合や導入設備などによって異なります。交付要件は細かく指定されているため、よく確認しておきましょう。具体的な金額は以下の通りです。

ZEHの種類 補助金
ZEH 55万円
ZEH+ 100万円
次世代ZEH+ 100万円
次世代HEMS 112万円

※2022年度現在の情報です。

●ZHE支援事業に関する記事はこちら

ZEHとは?認定基準や補助金制度などについてもご紹介!
ZEHとは?認定基準や補助金制度などについてもご紹介!

ZEHについて、基本的な知識やメリット、注意点などについて解説していきます。

既存住宅における断熱リフォーム支援事業
既存住宅のリフォームにおいて一定の条件を満たす断熱リフォームを行う場合は、国から補助金が支給されるという制度です。補助金は一戸あたり最大120万円まで、リフォーム費用の1/3の金額が支給されます。補助金対象となる断熱リフォームとは、窓ガラスを二重にすることや、窓枠を断熱素材に変えることなどが挙げられます。

長期優良住宅化リフォーム補助金
長期にわたって高い省エネ性能を維持するためにリフォームをする場合に、国から補助金が支給される制度です。補助金を受けるためには、省エネ性だけでなく、劣化対策や耐震性などの一定の要件を満たす必要があります。

また、リフォームによって引き上げられた性能の高さ(リフォームのグレード)により、支給される金額が変わってきます。具体的な金額は以下の通りです。 

リフォームのグレード 補助金
評価基準型 100万円
認定長期優良住宅型 200万円
電卓とリフォーム
※イメージ写真

地域型住宅グリーン化事業
地域の中小工務店を中心とした木造住宅関連事業者による、省エネ性能や耐久性能に優れた木造住宅の建築を促進するための事業です。国土交通省の採択を受けた業者が建てる木造住宅に補助金が支給され、対象となる住宅のタイプによって支給される金額が異なります。具体的な金額は以下の通りです。

住宅のタイプ 補助金上限
長寿命型 100〜140万円
ゼロ・エネルギー住宅型(認定低炭素住宅、性能向上計画認定住宅) 125~150万円
高度省エネ型 70~90万円

次世代省エネ建材の実証支援事業
リフォームを行う際に、高性能の断熱素材や蓄熱などの次世代省エネ建材を使用する場合に、国から補助金が支給される制度です。外張り断熱か内張り断熱かによって支給される金額が異なります。具体的な金額は以下の通りです。

住宅のタイプ 外張り断熱 内張り断熱
戸建住宅 300万円 200万円
集合住宅 - 125万円
省エネ住宅の太陽光太陽光発電
※イメージ写真
家計や健康にやさしい省エネ住宅を検討してみよう!

これまで、省エネ住宅が環境だけでなく、家計にもやさしいことをお伝えしてきました。さらに、省エネ住宅は補助金制度や税金の優遇制度が豊富に用意されているため、これらを上手に活用することで、費用を安く抑えることもできます。

長い間住む家だからこそ、長期的な視点で選ぶことが重要です。これから家を購入する場合は、省エネ住宅を検討してみてはいかがでしょうか?

住まい探しについて疑問やお悩みがある場合は、長谷工アーベストの住まいアドバイザーへお気軽にご相談ください。物件紹介から見学予約まで、あなたの住まい探しを無料でサポートします!

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情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二

株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、不動産キャリアパーソン、中小企業診断士。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングを行う。

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