マンション購入ガイド
一戸建ての間取りで外せないポイントは?家族のタイプごとに詳しく解説
これから新築の一戸建てを購入しようと考えているのですが、どのような間取りにするか悩んでいます。間取り選びではどんなことを意識するべきでしょうか?
一戸建ての間取り選びで重要となるポイントはいくつもありますが、特に「収納」と「生活動線」を意識するとよいでしょう。ただし、家族構成や将来のライフプランによって、理想とする家の規模や部屋の数は変わってくるので、状況に合わせて必要な部屋数を決め、さまざまな配置の間取りを生活パターンと比較してみることが大切です。
情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸
目次
一戸建ての間取りで意識すべきポイントは?
これから一戸建てを購入しようとしている人にとって、家選びの決め手になるポイントは人によってさまざまです。たとえば、「新築にするか中古にするか」「郊外の広い家にするか都心部のコンパクトな家にするか」「新築なら建売か注文住宅か」といった、購入する家の予算と大きく関係するポイントがあります。
一方、家の間取りは生活空間として暮らしに直結する非常に重要なポイントの1つです。仮に家の価格や広さが同じでも、異なった間取りの家はたくさんあるため、家選びでは悩ましいポイントでもあります。
また、ひと言で「一戸建て」といっても、平家なのか2階建てなのかといった階数の違いや、部屋の数や部屋の広さといった違いもあります。家を購入する際、間取りだけを見ても選択肢は多いため、「何を基準にして間取りを決めていけばよいのか分からない」という人も多いでしょう。使いやすく快適な暮らしを実現するためには、どのようなことを意識して間取りを選べばよいのでしょうか?
本記事では、「これから一戸建てを購入したいけれど、どのような間取りが使いやすいのか分からない」という人に向けて、間取り選びで意識すべきポイントや、あると便利な空間や機能について解説していきます。また、家族のタイプごとに、理想的な例ではありますが、具体的な例となる間取図も併せて紹介していますので、参考にしてください。
間取り選びの際は、以下の4つのポイントを基準すると、失敗のリスクを減らすことができます。
収納
家の収納力は、暮らしの快適さを大きく左右するポイントの1つです。「収納」をポイントの最初に挙げたのは、間取りを考える際に、部屋やキッチン、風呂など居住空間の広さばかり重視されてしまうというケースが多いためです。後述の通り、部屋やキッチン、風呂といった居住空間の広さは間取りの大切な要素ですが、収納のスペースが不足してしまうと、ものを収納しきれなくなる恐れがあります。収納できないものが室内にあふれてしまっては、せっかく広い部屋であっても部屋の見た目や快適さを損ねてしまいます。
家の収納力を高めるには、収納スペースとしてウォークインクローゼットや納戸といった大きな空間を確保する方法以外にも、階段下の収納や床下収納、トイレの上部棚といった、収納として活かせる空間を無駄なく収納として確保するという方法も考えられます。
家族構成
居住する家族構成を意識することも、間取り選びでは重要なポイントの1つです。家族構成を意識することが重要であるのは、家族の人数や年齢によって、新居に必要となる部屋の数や広さ、家の規模そのものが変わってくるためです。
家族構成によっては、将来的にリフォームを行うことまで考慮して、間取り選びを行うことが望ましい場合があります。たとえば、複数の子どもがいる家族であれば、2ドア1ルームのように、成長に合わせて子ども部屋を分けられるように計画しておくとよいでしょう。
また、二世帯住宅であれば、世帯ごとの住み分け方の違いで、「完全分離」「部分共有」「完全共有」といったタイプに分類され、それぞれ間取りで考慮すべきポイントも異なってきます。二世帯住宅のこれらの分類については、後ほど詳しく説明します。
部屋の数と広さ
家族構成から将来についても考慮し、マイホームに求めるものが明確になったら、理想とする部屋の数や広さを書き出してみましょう。部屋の数については、2LDKや3LDKのような形で表記されることが一般的です。ただし、この表記だけでは、部屋の広さや家の広さはわかりません。そのため、3LDKで100m2の家もあれば、2LDKで100m2、4LDKで100m2の家もあります。そこで、必要な部屋の数を決めるときには、部屋の広さについても検討するようにしましょう。
また、部屋の広さを検討する際は、家具の配置を考慮して、必要な家具が無理なく収まるかどうかをチェックしましょう。どうしても広さが狭い部屋がある場合は、家具を変えることや空間の活用の仕方を工夫するなどの検討が必要になります。一方、部屋が広すぎても冷暖房が効きにくいといったことも発生するため、具体的な部屋の使い方を念頭に置いて適切な広さの部屋を選びましょう。
生活動線
間取りを考えるうえで、暮らしやすい動線になっているかをチェックしましょう。特に、調理や掃除、洗濯などを行うための家事動線を意識することが重要です。
生活動線を考える際に見落としがちなのは、コンセントやスイッチの位置と数が挙げられます。コンセントの位置が悪いと、掃除を行ううえで不便だったり、テレビやエアコンといった家電製品の配置が制限されたりする恐れがあります。また、照明のスイッチがドアに隠れていないか、就寝時に手の届きやすい便利な位置にあるかなどもチェックしましょう。
便利な家事動線を実現するための考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
●快適な家事動線を見分けるポイントに関する記事はこちら
マイホームでの暮らしやすさを大きく左右する家事動線についての考え方と、便利な間取りの見分け方について解説しています。
間取り選びでのよくある失敗例
ここまで間取りへの意識すべきポイントについて説明してきましたが、間取り選びで失敗するとどのような不便が生じるのでしょうか?間取り選びでのよくある失敗という視点から、具体的に見ていきましょう。
収納不足と位置による不便さ
収納に関する失敗には、「収納不足」と収納の位置による「動線上の不便」の2点が挙げられます。
家の間取りを考える際に、部屋の広さを意識するばかりに、収納スペースの不足に気付かず、実際に暮らし始めて不便な間取りと感じるという失敗がよくあります。家の収納力が不足すると、居住空間にものがあふれてしまう恐れがあります。間取りを考えるときは、部屋ごとに必要なクローゼットや棚といった収納スペースの大きさも意識しましょう。
また、それぞれの収納スペースの用途を考え、間取りを俯瞰して収納の容量や位置を考えることも必要です。家事動線から収納が離れていたり、必要な場所に収納スペースなかったりと、収納の位置で不便が生じないかをチェックしましょう。
生活動線が長すぎる
生活動線が不自然だったり、長すぎたりすると、日々の活動や家事の移動で不満がたまりやすくなります。生活動線で特に意識しておきたいポイントとしては、水回りの家事動線の利便性が挙げられます。たとえば、お風呂、ランドリールーム、クローゼットをまとめることで、洗濯から収納までの一連の家事を快適に行うことができます。
配線が不便
コンセントやスイッチの数や配置は、間取りの図面で確認しづらく、失敗しやすいポイントの1つです。テレビや洗濯機といった大型の家電製品や、掃除機やドライヤーといった頻繁に使う家電製品を中心に、利用するシーンを想像しながらコンセントの配置をチェックするように心掛けましょう。
また、照明のスイッチの位置が悪いと、利用のうえで不便になります。スイッチがドアから遠いと、暗いなか手探りでスイッチを探す必要があるため危険ですし、スイッチがドアに近くても、ドアを開けたときに隠れる位置にあるととても不便です。住宅選びでは、コンセントの数が足りているか、スイッチは手の届きやすい適切な位置に付いているかを確認するようにしましょう。
窓の位置と大きさ
間取図に窓は記載されているものの、どういった窓なのか分かっておらず、失敗してしまうケースもあります。間取図は上から俯瞰して書いてあるため、掃き出し窓(床から高さのある窓)や腰高窓(床から一定の高さに設ける窓)のような窓のある位置(高さ)が、どうなっているのかがわかりにくいものです。また、窓の開閉方法もわかりにくく、たとえば、開くと思っていた窓がFIX窓(はめ殺し窓)で開かない、あるいは内倒し窓や外倒し窓で完全には開かないなど、窓の開閉の仕方が思っていたのと違い、不満を感じるということもあります。
窓については、きちんとした設計図であれば窓の種類が書かれています。簡易的な間取図ではどういった窓なのか分かりにくいので、正式な設計図で確認するか、設計会社や不動産販売会社に確認するようにしましょう。
プライバシーが守れない
玄関や窓の位置によっては、リビングやトイレの出入り、お風呂場などが外部から丸見えになってしまう恐れがあります。特に都市部の住宅については、敷地面積が狭いことが多く、隣接する住宅との距離が近いうえに、敷地と道路との距離も近い傾向があります。外部から見て家の中がどの程度見えるのかを間取りから想像することもできるので、外からの視線に注意しましょう。
具体的には、玄関のドアを開閉するたびにリビングが丸見えになっていないか、窓から中が丸見えになっていないかをチェックすることが望ましいといえます。特に、女性一人暮らしをするような場合は、防犯上の観点からも、プライベートな部屋が外部から丸見えにならないようにする工夫が必要です。
扉の種類と開閉
間取図には、扉の開閉方向が記載されていますが、意外と見落としがちです。扉の開き方には、代表的なところでは、開き戸、引き戸、引き違い、両開きなどいろいろあり、種類によって空間の使い勝手が変わってきます。たとえば、トイレや洗面所のようなやや狭い空間の扉が内開きの片開き戸の場合、外に出る際、非常に使い勝手が悪くなります。そのほか、クローゼットの扉が両開き戸か、折れ戸かでも空間の使い方が変わってくるため、室内の家具の配置などに影響が出てきます。
意外と見落としがちな扉の開閉方法について意識することで、間取りの見え方も変わってくるので、覚えておくとよいでしょう。
家族構成別に見るおすすめの間取り例
家の間取りを考える際のポイントや失敗例について解説してきましたが、実際に部屋の広さや数といった大まかな住宅規模を捉える際には、「家族構成」を意識する必要があります。新居で暮らす人数によって、部屋の数が左右されるというだけでなく、家族の年齢次第で必要な部屋の広さや収納量、動線なども異なるということを意識しておきましょう。
具体的に家族構成に合わせた理想的な間取りとはどんなものなのでしょうか?平面図を通して、人数ごとに詳しく見ていきましょう。
一人暮らし
「独身で一人暮らしをしたい」と考えて家の購入を検討している人のなかには、マンションだけでなく小規模であれば、一戸建ても候補となります。一人暮らし向けの一戸建ては、建売住宅ではなかなか見られませんが、注文住宅であれば、自由に設計、建築することが可能です。そのため、趣味の活動を広げてゆとりのある暮らしをしたい単身の人にとっては、一戸建ては魅力的であるといえるでしょう。
たとえば、一人暮らしであれば、ゆったりとした1LDKの間取りとしてもプライベート空間と来客を迎えるパブリック空間も確保できます。下図は、敷地面積にやや余裕のある、一人暮らし向けにゆったりとした平家の1LDKの間取りの一例です。
上の例は、一人暮らし向けの1LDKで、収納として大きなウォークインクローゼット(WIC)や玄関廻りに収納スペースがあるのが特徴的です。洋服やアウトドアなど個人の趣味のものを収納することができるようになっています。このように一人暮らしの一戸建てで、特に注文住宅の場合は、自分の趣味を楽しむための空間を間取りに反映させることもできます。
全ての家を検討する際に基本的で重要なことですが、間取図を見るときは、部屋ごとの方角を意識しましょう。上の間取りでは、寝室を東向き、リビングを南向きとしています。このようにすれば、寝室に朝日が差し込んで気持ちよく目覚められ、冬のリビングに日光が差し込み暖かくなりやすい、といったメリットがあります。
また、脱衣室と庭が隣り合っているため、洗濯での移動の手間を最小限に抑えることができます。
二人暮らし
若い夫婦2人の世帯や、子どもが独立した後の夫婦が2人で暮らすための間取りについても見ていきましょう。二人暮らしに必要な部屋の数は、個室を一緒にするか別にするかによって変わります。寝室を一緒にするのであれば、寝室が大きめの1LDKでも十分です。
ただし、昨今はリモートワークや趣味のため、集中できる個室が必要となる場面もあり、また、個人のプライベートを確保したい場合もあるため、2LDKや3LDKとすることが多いようです。
この間取りは、敷地の広い平屋の2LDKの一戸建ての一例です。中央の玄関ホールの隣に和室があることで、来客をもてなす際に活用することができます。また、夫婦の個室のすぐ近くにあるウォークインクローゼットは玄関ホールとつながっており、外出のための動線がスムーズです。
都心部や郊外でも予算と敷地の関係もあり、2LDKや3LDKとなれば、2階建てが一般的です。2階建ての場合、1階にリビングやキッチン、風呂などの水回り、2階に居室という間取りとなることが多くなります。その場合でも、夫婦2人ならではの間取りとして、大きな2人の寝室1つと小部屋と書斎など少し狭い空間を確保することで、個人の趣味や仕事の空間とすることもできます。
子育て家族
子育て中の家族の家選びでは、子どもの成長を考慮した間取りを選ぶことが重要です。子どもが2人以上いる場合は、まだ子どもが小さい頃は広めの子ども部屋を1室用意し、子どもたちの寝室とすることで十分ですが、子どもが成長し、独立した個室が必要となることもあります。子どもの人数や性別を考慮して、長期的に見て柔軟に使い分けられるよう間取りを考えましょう。たとえば、広い子ども部屋を将来、間仕切り壁や可動収納で部屋を分割できる仕様とすることも検討しましょう。
間取りについては、4人家族(夫婦と子ども2人)であれば、子ども2人の個室と夫婦の主寝室、あるいは夫婦の個室と子ども部屋1つと考える3LDKや、さらに家族それぞれの個室として、あるいはフリースペースとして使える1室を加えた4LDKがよく選ばれます。
上記の間取りは、子ども2人の個室と夫婦の主寝室に加えて客間としても使える和室のある4LDKの一例です。南面と東面にリビングや寝室といった生活空間を配し、人目に付きにくい北面に浴室や脱衣所といったプライベートな部屋を設けています。
夫婦2人の仕事部屋兼個人の居室と、広めの子ども部屋1室に客間の和室と考えることもできます。都心部のプランとしてはゆとりのあるプランですが、郊外であれば、一般的な間取りといえる例です。
二世帯住宅
二世帯住宅は、親世帯と子世帯の共用スペースの利用方法の違いによって、「完全分離型」「部分共有型」「完全共有型」の3つのタイプに分類されます。それぞれの特徴について見ていきましょう。
●完全分離型
完全分離型は、文字通り完全に親世帯と子世帯が分離し、見た目は1軒の家でも中は2つの家となっているプランです。上記の間取りは家の内部では世帯間で行き来することができないプランになっていますが、家の中で互いに行き来できるドアを設けて世帯間で交流ができるようにするケースもよくあります。
日頃は互いに干渉をせずに暮らし、困ったときに助け合えるような位置関係を保ちたい家族に向いています。上の図面の物件は、LDKや個室だけでなく、玄関や水回りといった全ての部屋や設備を別々に設けており、完全に一戸建てが2つ繋がったようなプランになっています。
完全分離型のメリットは、各世帯の独立性が高いということです。2世帯が同時に暮らしていると、生活スタイルや活動の時間帯が異なるためにトラブルが起きる可能性がありますが、家の作りを別々にしていれば、過度な干渉が起きる心配を減らせます。
一方で、完全分離型では、同じ設備を2世帯分作ることになるため、ほかのタイプと比べて建設コストが高くなる点に注意が必要です。
●部分共有型
リビングや水回りといった一部分を共用とし、使用頻度の限られた部分を両世帯で使用することで、スペースを有効活用した二世帯住宅となります。完全分離型よりも一部を共用することで建設費を抑えられるというメリットがありますが、どこまで共用部分とするかを明確にする必要があるため、しっかりと話し合いをしておくことが求められます。
上の図面の例は、玄関と水回りなどを共用としながら、別々のLDKを各階に設けることで、程よい距離を保ちながら共同生活を送ることを目指した間取りです。
部分共有型の間取りは、共用で使用する部屋の線引きの加減次第でバリエーションが豊富であることも特徴です。例のように玄関と水回りだけを共用にしたプランもあれば、玄関と水回り、LDKまで共用にしたプランもあります。
●完全共有型
個室以外の全ての部屋を2世帯で共用にする住宅を指します。共用で使用する部分の線引きがほとんどないため、実質的には「大きな家に大家族が住んでいる」といったイメージに近いといえるでしょう。
完全共有型の大きなメリットは、機能が重複した部屋や設備が必要ないため、完全分離型や部分共有型と比較すると、ほぼ通常の広めの一戸建てということになるので、少ないコストで購入・建設ができるという点が挙げられます。ただし、常に顔を合わせることになり、世帯間のプライバシーは確保しにくくなることから、トラブルを避けるため、家事や資金面の分担のルールをしっかりと決めておくことが大切かもしれません。
あると便利な部屋や空間
一戸建ての理想の間取りは、家族構成や購入予算など、条件によって異なります。ここでは、あると便利な部屋や空間をご紹介します。
ウォークインクローゼット
ウォークインクローゼットは、衣類や小物の収納力を高められるだけでなく、広めのウォークインクローゼットなら着替えのための空間として利用することもできます。また、季節ごとに衣類や小物のゾーニング(場所分け)をしておけば、衣替えの手間を省くことができます。
ウォークインクローゼットの種類や、メリットと注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。
●ウォークインクローゼットのメリットと注意点に関する記事はこちら
ウォークインクローゼットの種類を詳しく紹介し、衣類の収納力を高めること以外の隠れたメリットを解説しています。
納戸
収納スペースとしては、納戸(なんど)が代表的です。納戸とウォークインクローゼットは混同されがちですが、納戸は独立した空間として設計されることが多くなっています。また、建築基準法上、部屋の広さに対して一定以上の大きさの窓がない場合、居室として使用できる広さや空間があっても「納戸」として扱われ、居室(部屋)として表示できない納戸もあります。
間取りの表記としては、納戸の「N」と表記されますが、「S(サービスルーム)」と書かれていることもあります。
家に納戸があれば、広さによっては収納スペースとして活用して大型家具を保管してもよいですし、そのままでは少し暗い空間ですが、書斎や趣味を行う部屋として使うこともできます。このように、納戸は使用にあたって自由度の高い空間でもあるのです。
納戸の具体的な使い方は、以下の記事で詳しく解説しています。「納戸の活用方法を知りたい」と考えている人は、ぜひ参考にしてください。
●納戸の使い方に関する記事はこちら
納戸の定義や、収納スペース以外の活用法について分かりやすく解説しています。
DEN
「DEN」はもともと英語で「鳥の巣」や「洞穴」を意味しており、書斎や物置などに使える小部屋を指します。最近は注文住宅だけでなく、建売住宅やマンションの間取りにも採用されています。納戸やサービスルームとDENの明確な違いや定義はなく、ユーティリティ(スペース)やマルチスペースなどさまざまな名称で表記されることもあります。
DENは、四方を壁で囲まれた空間とは限らず、一部オープンな空間であることもあり、使い方は自由です。プラスアルファの空間なので、書斎や家事室、趣味の部屋、収納など最初から使い方を決めずに余裕の空間として確保しておくというのもおすすめです。
パントリー
パントリーは、食品や飲料をストックしたり、調理器具や日用品を保管したりするのに役立つ収納スペースであり、キッチンの近くにあると便利な空間です。日頃頻繁に買い物へ行きにくく、まとめ買いをしたい人は重宝するでしょう。少し広いパントリーなら、家事室として利用してもよいですし、広いスペースがない場合でも、壁に棚を取り付ければ立派なパントリーになります。
昨今は防災意識の高まりもあり、災害時に備えて食品などを備蓄しておくのにも、パントリーは非常に便利です。最近では、注文住宅以外でもパントリーのある建売住宅も見かけるようになってきています。
ロフト
ロフトとはもともと、納屋や馬小屋で干し草などを蓄える屋根裏に設けたスペースを意味していますが、日本の住宅で「ロフト」といえば、天井を高くして部屋の一部を2層にした上部空間のことを指します。ロフトへは専用の階段やはしごで上がるようになっています。ロフトの使い方としては、就寝スペースや子どもの遊び場、収納スペースなどいろいろと利用することができます。
建築基準法では、ロフトとするには天井高を1.4m以下、床面積を直下の階の2分の1未満に収めるという制限があり、この要件を満たしていれば、容積率の計算から外れるので、空間を効率よく利用できます。賃貸住宅で1部屋の面積が狭いワンルームアパートなどでよく採用されていますが、一戸建てでも実はよく採用されています。
限られた家の空間を有効に使いたい場合は、ロフトのある家を検討してみてもよいかもしれません。
空間を有効活用した収納
何度も触れてきたように、快適な住空間を保つために住宅の収納力は大切です。家の中には意外とデッドスペースとなってしまう空間が多く、それらを有効活用するには、デッドスペースになりやすい箇所に収納スペースを確保することがポイントです。
たとえば階段下収納は、階段の下のデッドスペースになりがちな空間を有効活用し、家の収納力を高めることができるという特長を持っています。床下収納や屋根裏収納も同様に、デッドスペースを有効活用した収納スペースといえるでしょう。
階段下収納のメリットや活用方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
●階段下収納の活用方法とメリット、注意点に関する記事はこちら
家の収納力を高めてくれる階段下収納を有効活用する方法について、詳しく解説しています。
オープンキッチン
オープンキッチンとは、壁によって仕切られておらず、ダイニングルームとのつながりを感じながら調理を行うことができるキッチンを指します。オープンキッチンのうち、壁から離れて独立したものを「アイランド型」、片方の端が壁に付いているものを「ペニンシュラ型」と呼びます。
オープンキッチンには文字通り開放感があり、家族間でのコミュニケーションが取りやすいメリットがあるほか、ダイニングとの間に壁がなく、距離が近いために食事の後片付けがしやすいといった特長を持っています。
オープンキッチンの種類や、メリットと注意点については、こちらの記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
●オープンキッチンを設置するメリットと注意点に関する記事はこちら
オープンキッチンはデザイン的に洗練されているだけでなく、多くのメリットがあります。設置する際の注意点もあわせて知っておきましょう。
吹き抜け
吹き抜けは、開放感のある空間を演出し、家を広く感じさせてくれる効果があります。リビングや玄関に吹き抜けを設けることで、屋内の空間体験にメリハリが生まれ、高い位置に窓があれば日光を取り入れて部屋全体を明るくすることも可能です。
ただし、吹き抜けを作ると部屋の空間が広くなるため、空調が効きにくくなる傾向があることに注意しましょう。必要に応じて天井にシーリングファンを取り付けるといった工夫を施すことが大切です。また、家の中の空間は限られているため、吹き抜けを造ることで、居室の空間が狭くなってしまうこともありますので、バランスを考える必要があります。
自分に合った一戸建てを選ぼう!
一戸建て住宅を建てたり購入したりする際に、気を付けるべきポイントについて解説してきました。便利な間取りを考えるうえでは、家族構成を念頭に部屋の数や広さを検討し、生活動線や収納力などを検討していくと、理想の間取りに近づくことができます。さらに、家族の趣味や生活スタイルも踏まえると、間取りに絶対的な正解はありません。
一般的に人気のある間取りが自分に合うとは限らないので、いろいろな間取りの一戸建てを見て、実際の生活シーンを想像しながら間取りを決めていくとよいでしょう。
数ある成功事例や失敗事例、さまざまな専門家や先人たちのアドバイスなどの情報を見聞きして、そのなかで自分に合っていそうな間取りを居室や水回り、収納といったポイントごとに押さえていくとよいかもしれません。幅広く情報を集めて自分にあった間取りを考え、後悔のない住宅選びをしていきましょう!
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情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸
不動産サポートオフィス
代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。不動産コンサルタントとして、物件の選び方から資金のことまで、住宅購入に関するコンサルティングを行なう。
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