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ZEHとは?認定の基準や補助金制度なども分かりやすく解説

ZEH

ZEHとなる住宅を建築するには、省エネルギー、断熱性、そして、創エネルギーの3つの基準を満たしている必要があります。今回は、近年ますます注目を浴びているZEHについて、基本的な知識やメリット、注意点などについて解説していきます。

ZEHとは?

ZEH(ゼッチ)とは、net zero energy house(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略で、住宅で使用する年間の一次エネルギー収支をゼロに抑えることを目指した住宅のことです。一次エネルギーとは、電気に変換される前の石炭や天然ガスなどのエネルギー資源のことを指します。

断熱性や省エネルギー性能の向上で空調や給湯、照明、換気などで使用する一次エネルギーの消費量を抑制しつつ、再生可能エネルギーの導入により、自らエネルギーを作ることで、消費エネルギーよりも創出エネルギーが多くなること(消費量が実質ゼロ以下になること)を目標にしています。

ZEHは国土交通省、環境省、経済産業省が主導して行っている取り組みで、地球温暖化の抑制と、自国のエネルギー需給構造の改善のために策定されました。地球温暖化を防ぐためには、温室効果ガスの排出を削減する必要があります。そこで日本政府は国内の削減目標として以下の2つを掲げています。

  • 2030年度までに2013年度比で46%の温室効果ガス排出を削減する
  • 2050年度までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする

そしてこれらを達成するために、政府はZEHの普及を推進しており、「2030年までに新築住宅のエネルギー性能が平均でZEH相当になること」を目指しています。

ZEHに必要な基準とは?

ZEHでは、「省エネルギー」「断熱性」「創エネルギー」の3つの基準をクリアしていく必要があります。ZEH住宅を建築するうえで欠かせない3つの要素について、詳しく説明していきます。

省エネルギー

一次エネルギーの消費量を現在指定されている省エネ基準と比較して、20%以上削減できる住宅である必要があります。一次エネルギーとは、石油や石炭などの天然資源など自然界から調達できる資源全般のことを指します。一方で、太陽光発電で得られた電気のような再生可能エネルギーをはじめとする、自然界から得られたエネルギーは2次エネルギーになります。

消費エネルギーの削減には、「空調」「照明」「給湯」「換気」がポイントとなります。そこで、一次エネルギー消費の管理と抑制を行うために、HEMS(Home Energy Management System)と呼ばれるシステムの導入が推奨されています。HEMSは、自動的に電気やガスなどの使用量を管理し、使用されている場所や量を数字で表示させるシステムです。これにより、どこで、どの程度のエネルギーが使用されているのかリアルタイムで確認できます。また、家電製品を自動的に制御する機能や遠隔操作する機能もあるため、住宅全体の家電製品を一括で管理できるのです。

断熱性

断熱性とは、外気温による室内温度への影響を遮断する性能のことをいいます。そしてZEHには、断熱性にかかわる「強化外皮基準」という基準があります。「外皮」とは屋根や外壁だけでなく、床や窓などの開口部も含めた住宅の外側全体を指しており、外部に逃げる熱量を地域ごとに定められた値以下にしなければなりません。

具体的には、断熱シートや断熱窓の導入により断熱性能を高めることで、エネルギー効率を向上させることが必要になります。断熱性能は、UA値(外皮平均熱慣流率)という指標で評価され、この数値が0.4~0.6W/m2K以下(地域により変動)であることが必須条件となります。断熱性が高ければ、夏は冷気が外に漏れ出さず、冬は寒気が室内に入ってきづらくなるので、冷暖房効率が格段に上がるでしょう。

断熱材

創エネルギー

創エネルギーとは、エネルギーを創ることを指しています。ZEH住宅では一次エネルギー消費を実質ゼロとするため、創り出したエネルギーを日常生活で利用することを基本としています

具体的には、太陽光発電や二酸化炭素排出量削減につながる家庭用燃料電池による発電を利用し、発電された電気を無駄なく利用するために蓄電池も併せて導入することが一般的です。その結果、日常生活だけでなく、災害時などによる急な停電でも安定したエネルギーの確保が可能になります。

施工する事業者

上記のような建物や設備の条件をクリアするだけでは、ZEHとは認定されません。設計・建築や販売を行うハウスメーカー、工務店、建築設計事務所、住宅販売会社、リフォーム業者などが、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII:Sustainable open Innovation Initiative)に登録されている「ZEHビルダー」または「ZEHプランナー」である必要があります

ZEHビルダーとZEHプランナーの違いは、登録する事業者の業種にあります。ZEHビルダーは建設会社が、ZEHプランナーは設計事務者が事業者登録するときに選択することになっています。なお、SIIは、ZEHの補助金を国から受け取り、書類審査によって申請者に給付する役割を負っている社団法人です。

太陽光発電

ZEHには種類がある?

ZEHは、エネルギー消費量の削減割合や導入設備などに応じて複数の種類があります。また、ZEHの基準は、大きく戸建て住宅に向けの「ZEH」と、ZEHよりも更に基準の高い「ZEH+」、そして集合住宅向けの「ZEH-M」の3つに分類することができます。以下でそれぞれの特徴についてご紹介していきます。

ZEH

ZEHでは、一次エネルギー消費率を20%以上削減することが大きな基準になっています。また、ZEHは「ZEH」、「Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)」、「ZEH Oriented(ゼッチオリエンテッド)」 の3つに分かれており、それぞれの違いは以下の通りです。

項目 ZEH Nearly ZEH ZEH Oriented
一次エネルギー
消費削減率
省エネルギー率
20%以上
(断熱性と省エネルギー)
省エネルギー率
20%以上
(断熱性と省エネルギー)
省エネルギー率
20%以上
(断熱性と省エネルギー)
創エネルギー含めて
100%以上
創エネルギー含めて
75%以上100%未満
再生可能エネルギー発電設備の導入義務 ×
断熱性 UT値0.4~0.6W/㎡K(地域により変動)

ZEHは、再生可能エネルギー設備の導入が必須であり、創エネルギーを含めて一次エネルギー消費率100%以上を基準にしています。

Nearly ZEHは、土地が狭く太陽光発電設備が十分に設置できない都市部や、低日射地域、多雪地域を対象にしたZEHで、後述するZEH Orientedの条件を満たしたうえで、再生可能エネルギー設備の導入が必要になります。ただし、断熱、省エネルギーと創エネルギーによって、一次エネルギー消費量を75%以上100%未満削減した住宅でなければ適用されません。

ZEH Orientedは、Nearly ZEHと同じく都市部狭小地域や多雪地域を対象にしたZEHですが、断熱、省エネルギーで20%以上の一次エネルギー消費量を削減した住宅に適用されます。なお、再生可能エネルギー発電設備の導入は、必須条件ではありません。

ZEH+

「ZEH+(ゼッチプラス)」は、「ZEH」の最上位モデルで、ZEHよりも断熱と省エネルギーによる一次エネルギー消費率の削減割合が25%以上と高い基準になっており、加えて創エネルギーを含んだ消費削減率が100%以上である必要があります。また、ZEH+は「ZEH+」、「Nearly ZEH+(ニアリー ゼッチ プラス)」の2つに分かれており、それぞれの違いは以下の通りです。

項目 ZEH+ Nearly ZEH+
一次エネルギー
消費削減率
省エネルギー率
25%以上
(断熱性と省エネルギー)
創エネルギー含めて
100%以上
創エネルギー含めて
75%以上100%未満
再生可能エネルギー発電設備の導入義務
断熱性 UT値0.4~0.6W/㎡K(地域により変動)
右の項目のうち2つ以上を満たすこと HEMS 住宅内の冷暖房、給湯システムも制御
電気自動車 電気自動車導入とその充電設備を設置
断熱性 UT値0.3~0.5W/㎡K(地域により変動)

Nearly ZEH+は、太陽光発電などによる創エネが十分にできない寒冷地や日照率が低い地域、降雪量が多い地域を対象としたもので、断熱と省エネによる一次エネルギー消費削減率が25%以上、かつ創エネを含んだ消費削減率が75%以上100%未満となっている住宅に適用されます。

ZEH+、Nearly ZEH+ともに再生可能エネルギー設備の導入が必須となっており、創エネルギー含めての一次エネルギー消費削減率はそれぞれ100%以上、75%以上100%未満と違いが見られます。

また、ZEH+では上記の条件のほか、以下の再生可能エネルギー促進のための措置3つのうち、2つ以上を導入しなくてはいけません。

  • 外皮性能の更なる強化(UT値.0.3~0.5W/㎡K)
  • HEMSの導入により、冷暖房、給湯システムの制御
  • 電気自動車への充電設備を設置し、電気自動車でさらなる省エネルギーの実施
電気自動車の模型

ZEH-M

マンションをはじめとする集合住宅で適用されるのがZEH-Mです。ZEH-Mでは一次エネルギー消費削減率20%以上に設定されており、「ZEH-M」、「Nearly ZEH-M」、「ZEH-M Ready」、「ZEH-M Oriented」の4つに分けられています。

項目 ZEH-M Nearly ZEH-M ZEH-M Ready ZEH Oriented
一次エネルギー
消費削減率
共用部を含む当該住棟全体で
省エネルギー率
20%以上
(断熱性と省エネルギー)
共用部を含む当該住棟全体で
省エネルギー率
20%以上
(断熱性と省エネルギー)
創エネルギー
含めて
100%以上
創エネルギー
含めて
75%以上100%未満
創エネルギー
含めて
50%以上75%未満
再生可能エネルギー発電設備の導入義務 ×
断熱性 棟内全住戸で
UT価0.4~0.6W/㎡K (地域により変動)

ZEH-M、Nearly ZEH-M、ZEH-M Readyでは、再生可能エネルギー発電設備の導入が必要で、それぞれ創エネルギー含めた一次エネルギー消費削減率に違いがあります。ただし、再生可能エネルギーの導入について、発電容量などの決まりはありません。

また、ZEH-M Orientedには、創エネルギー、つまり再生可能エネルギー発電設備についての義務はありません。

●ZEH-Mに関する記事はこちら

ZEHのメリット5つ!

ZEH住宅とすることで、日常の経済的なメリットはもちろん、新築や購入時の補助金や税制上の優遇措置もあり、また住む人の健康や建物の資産価値の面でもメリットがあります。以下で詳しく説明していきます。

[ 1 ] 光熱費を削減できる

ZEH住宅の最大のメリットは、省エネルギー性能や断熱性能の強化により、使用するエネルギーを削減でき、光熱費の削減につながる点です。また、再生可能エネルギーや燃料電池といった創エネルギー設備を導入し、自家発電することで、より一層の光熱費の削減が可能になります。さらに、自家消費では使いきれず余剰電力が発生した場合は、電力会社に売電し、収益を得ることもできます

電球と電卓

[ 2 ] 住む人の健康に優しい住環境になる

高い断熱性能により、住宅の中の温度を一定に保ちやすくなり、外気温が極端に変わる夏や冬でも室内では快適に過ごすことができます。そして、室内の気温の変化が少なくなることで、急激な温度変化によって発症するヒートショックの防止につながります。また、住宅内での寒暖差が小さく、高齢の家族や小さな子どもも健康的で快適な暮らしを送ることができます。

[ 3 ] 停電や災害など非常時に備えられる

再生可能エネルギーや燃料電池などの創エネルギー設備と蓄電池を導入したZEHの場合、停電や災害など非常時にも自家発電した電力を使用することできます。たとえば、太陽光発電設備と蓄電池が導入されている場合、日光があたっている時間帯に発電し、発電した電気を蓄電池に蓄えることで、非常時でも電気を使用できます

また、創エネルギー設備のないZEH Orientedであっても、断熱性が高い住宅であるため、冬場の停電などでも室内は比較的暖かく過ごすことが可能です。

災害用グッズ

[ 4 ] 補助金制度や減税制度がある

ZEH住宅の一定の要件を満たした住宅を新築、または購入することで、補助金を受けることができます。また、一般的な住宅と比べて住宅ローン減税の対象となる借入限度額が増額されるといった、優遇措置を受けられます。

ZEHに対する補助金や税制優遇については、後ほど詳しく説明します。

[ 5 ] 資産価値が上がる

ZEHを導入することで、一般社団法人住宅性能評価・表示協会による「BELS」という認証制度で高評価の対象になります。BELSは5段階で評価され、そのうち、ZEHは4~5で評価されます。従って、ZEH住宅を建てれば、将来の住宅売却時に高く売れる可能性があります。

ZEHの注意点3つ!

ZEH住宅では、初期コストやランニングコスト、採用する設備などの自由度、創エネルギーの安定性の面でいくつか注意が必要な点があります。以下で詳しく説明していきます。

[ 1 ] 設備・メンテナンス費用がかかる

ZEHの認定基準を満たすためには、それぞれの基準を達成している素材や設備機器の導入が必要になります。そのため、ZEH住宅を新築、または購入する場合は、一般的な住宅と比べて取得するための初期費用が高くなります。

また、初期費用のほかにも、創エネルギー設備(太陽光発電パネル、パワコンなど)やHEMSの定期的なメンテナンス費用が発生するといったように、住宅を建てた後も、一定のメンテナンス費用が発生します。

工具と家のミニチュア

[ 2 ] 外観のデザインや設備が制限される

ZEHの基準を満たすために、素材が限定的になり、建物の外観のデザインや窓、玄関といった建物本体の選択肢が制限されることがあります。たとえば、太陽光発電設備を導入する際、必要な発電量が見込める位置を計算して設置するため、屋根の形や角度がある程度決まってしまうことがあります。間取りに関しては、断熱性を確保するため、吹き抜けや天井の高さなどで一部採用できないケースもあります。

また、基準を満たす設備機器を採用する必要があるため、気に入ったデザインの設備機器が選べないといった制限が発生する可能性もあります。ZEH住宅の購入を検討する場合は、外観のデザインや採用できる設備機器などに制限がかかってしまうことを、あらかじめ理解しておきましょう。

[ 3 ] 設計や建築会社が限定される

ZEHの基準を満たす要件として、ZEHビルダーまたはZEHプランナーとして登録されている設計会社や建築会社、ハウスメーカーに依頼して建築するか、登録している事業者が提供する建売住宅を購入しなければなりません。あるいは、地域型住宅グリーン化事業に採択されている工務店で建築してもらう必要があります。そのため、設計会社や建築会社に関しては、制限されることになります。

グラフと家

ZEH住宅には補助金制度がある

ZEH住宅では取得に際して一般住宅に比べるとコストがかかりますが、補助金制度を活用することで、取得時のコストを抑えることができます。以下でZEHの補助金制度についてご紹介していきます。

ZEH支援事業による補助金

ZEHビルダーまたはZEHプランナーに登録されている事業者に依頼して、ZEH基準を満たす住宅を新築する、あるいは登録事業者によって設計・建設され、ZEH基準をクリアした新築建売住宅を購入する場合、ほかの要件も満たすことで補助金を受け取ることができます。ZEHに関する補助金制度は以下の4つです。

ZEH支援事業(ZEH向け):環境省

項目 内容
申請対象者 ・自ら常時居住する新築住宅を建築、購入する個人
・新築住宅の販売者となる法人
対象住宅 ZEH、Nearly ZEH、ZEH Oriented
交付要件 ・ZEH基準を満たしていること
・ZEHプランナー、ビルダーが設計・建築した建物であること
補助額 55万円/戸

環境省が管轄となるZEH向けのZEH支援事業では、交付される補助額は一戸あたり55万円となります。以上の要件に加え、対象住宅に蓄電システムを導入することで、補助金が加算され、定置型の蓄電システムを導入することで2万円/KWh、補助対象経費の1/3または20万円のいずれかのうち低い額が加算されます。

また、公募方式は先着順になっています。ZEH、Nearly ZEH、ZEH Orientedのいずれかの建築、もしくは購入を考えている人は早めに申請するようにしましょう。

ZEH支援事業(ZEH+向け):環境省

項目 内容
申請対象者 ・自ら常時居住する新築住宅を建築・購入する個人
・新築住宅の販売者となる法人
対象住宅 ZEH+、Nearly ZEH+
交付要件 ・ZEH基準を満たしており、省エネルギー性能の向上と再生可能エネルギー設備の拡充を行っていること
・ZEHプランナー、ビルダーが設計・建築した建物であること
補助額 100万円/戸

同じく環境省が管轄するZEH+向けのZEH支援事業では、交付される補助額は一戸当たり100万円となります。交付要件として、ZEHの条件を満たすほか、かつ以下の2つの要件を満たしていることが必要です。

  1. 更なる省エネルギーの実現 (省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量削減)
  2. 以下の再生可能エネルギーの自家消費拡大措置のうち2つ以上を導入すること
    ・外皮性能(断熱性)の更なる向上
    ・高度エネルギーマネジメント
    ・電気自動車を活用した自家消費の拡大措置のための充電設備または充放電設備

追加で導入した設備によっては、補助額が追加されます。設備とその補助金額については以下の通りです。

  • 畜電システム:2万円/KWh、補助対象経費の1/3または20万円のいずれかのうち低い額
  • 直交集成板:90万円/戸
  • 地中熱ヒートポンプシステム:90万円/戸
  • PVTシステム
    【液体式】:65万円/戸もしくは80万円/戸
    【空気式】:90万円/戸
  • 液体集熱式太陽光発電システム:12万円/戸もしくは15万円/戸

ZEH+向けの支援事業でも、公募方式は先着順になっているので、ZEH+、Nearly ZEH+の建築・購入を考えている人はなるべく早めに申請するようにしましょう。

電卓と現金と家のミニチュア

次世代ZEH+実証事業(注文住宅):経済産業省

項目 内容
申請対象者 自ら常時居住する新築住宅を建築する個人
対象住宅 ZEH+、Nearly ZEH+
交付要件 ・ZEH+の条件を満たしていること
・蓄電システム、V2H充電設備、燃料電池、太陽熱利用温水システム、太陽光発電システム(10KW以上)のいずれかを1つ以上導入すること
補助額 100万円/戸

経済産業省が管轄する次世代ZEH+実証事業では、交付される補助額が一戸当たり100万円となります。交付要件としては、ZEH+の条件を満たすほか、以下のシステムのうちいずれか1つ以上を導入する必要があります。

  • 蓄電システム
  • V2H充電設備(充放電設備)
  • 燃料電池
  • 太陽熱利用温水システム
  • 太陽光発電システム(10KW以上)

導入した設備によっても、追加で補助金を受けることができます。

  • 蓄電システム:2万円/KWh、補助対象経費の1/3または20万円のいずれか低い額
  • 燃料電池:2万円/台
  • V2H充電設備(充放電設備):補助対象経費の1/2または20万円のいずれか低い額
  • 太陽熱利用温水システム:
    【液体式】:17万円/戸
    【空気式】:60万円/戸

また、次世代ZEH+実証事業も公募方式は先着順になっています。ZEH+向けのZEH支援事業と交付要件をよく比較して、補助金の申請を行うようにしましょう。

次世代HEMS実証事業:経済産業省

項目 内容
申請対象者 自ら常時居住する新築住宅を建築する個人
対象住宅 ZEH+、Nearly ZEH+
交付要件 ・ZEH+の条件を満たしていること、かつ蓄電システムまたは、V2H充電設備のいずれかを導入すること
・上記に加え、蓄電システム、V2H充電システム、燃料電池、太陽熱利用温水システムの導入も可能
・太陽光発電システム活用で創エネルギーを最大化する目的でAI・IoT技術を整備すること
補助額 112万円/戸

経済産業省が管轄する次世代HEMS実証事業では、交付される補助額が一戸あたり112万円となります。交付要件は、ZEH+の条件を満たすほか、蓄電システムまたはV2H充電設備のいずれかを導入すること、さらに、蓄電システム、V2H充電設備(充放電設備)、燃料電池、太陽熱利用温水システムの設備を導入することも可能です。加えて、太陽光発電システムによる創エネルギーを最大活用し、自家消費量を更に拡大することを目的に、AI・IoT技術等による最適制御を行う仕組みを備えていることとなっています。

次世代HEMS実証事業は、事前割当方式になっています。これは、ZEHビルダーごとに補助金の枠が決まっており、そのなかで申請していく方式になります。この方式を利用する際は、建築を依頼するZEHビルダーがどのくらい枠を設けているのかをよく確認するようにしましょう。

太陽光パネル

上記のほか、新築住宅を開発する事業者が対象の補助事業として以下のような補助金も用意されています。

超高層 ZEH-M実証事業:経済産業省

住宅用途部分が21層以上のZEH-M

【補助額】補助対象経費の1/2以内(上限3億円/年、事業当たり10億円)
※事業期間は最長5年

中高層 ZEH-M実証事業:環境省

住宅用と部分が4層~20層のZEH-M

【補助額】補助対象経費の1/3以内(上限3億円/年、事業当たり8億円)
※事業期間は最長4年

低層 ZEH-M実証事業:環境省

住宅用と部分が1層~3層のZEH-M

【補助額】1戸当たり40万円(上限3億円/年、事業当たり6億円)
※事業期間は最長3年

ZEH住宅が対象となる補助金制度

ZEH支援事業による補助金制度のほかにも、ZEH住宅が対象となる補助金制度があります。ただし、どちらもZEH支援事業とは併用できない点に注意しましょう。

地域型住宅グリーン化事業

国土交通省が管轄する省エネ性や耐久性に優れた木造住宅の普及を目的とした補助金です。詳細は以下の通りです。

項目 内容
対象 中小工務店などによる木造住宅のZEH、Nearly ZEH ZEH Oriented
補助金額 A1タイプ(長期対応) ・未経験枠150万円
・制限無枠135万円
A1タイプ(Nearly ZEH・ZEH oriented 含む)
構造計算または耐震等級2水準以上
・未経験枠140万円
・制限無枠125万円
A2タイプ(Nearly ZEH・ZEH oriented 含む) ・未経験枠140万円
・制限無枠125万円
追加補助金額 ・地域住文化加算:1戸当たり20万円
・バリアフリー加算:1戸当たり30万円
申請方法 事前に登録された建築会社が行う
※A1:構造計算又は耐震等級3または2水準を確保する処置を行う住宅
※A2:耐震等級1+建築主又は買主への説明および同意を受けた住宅
住宅に関する相談

補助金を取得するには?

ZEH関連の補助金を取得するには、公募期限内に補助金取得の申請を行い、原則交付決定後に工事に着手する必要があります。したがって、ZEHの購入を検討する際には、補助金の公募期限も一緒に確認して検討しておきましょう。

ただし、ZEH住宅の補助金申請は、一般の方には難しい内容が多いため、登録した設計会社やハウスメーカーなど(ZEHビルダーまたはプランナー)に依頼することがほとんどです。なお、補助金事業によって申請の流れや期間は異なりますので、ZEHビルダーやZEHプランナーと確認しながら申請を進めていくほうがより確実といえます。

また、補助金によっては、先着順で補助金の給付を行っているものもあるため、補助金の資金計画や家購入・建て替えの計画を立てる際には、補助金のスケジュールも併せて押さえておくと、スムーズです。ただし、補助金の金額や項目、対象要件などは、年度によって変動してしまうことに注意が必要です。政府の達成目標期限の前後で補助金支給が終わってしまうこともあるので、政府のZEH事業に関しても常にリサーチをしておくようにしましょう。

さらに、補助金の取得後にも2年間で4回、定期的なアンケートに答えることが要件になっています。このアンケートでは、光熱費や住宅設備の使用状況、太陽光発電やZEHなどについて聞かれます。光熱費関連の質問に関しては、電気やガスの検針票もしくは領収書、HEMSに記載の太陽光発電記録を事前に準備しておくとよいでしょう。

家と工程スケジュール

ZEH住宅が対象となる減税制度

補助金制度とは別に、減税制度によっても取得時のコストを抑えることが可能です。住宅取得者向けの所得税減税制度として「住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)」がありますが、ZEH住宅は住宅ローン減税でも、一般的な住宅と比べて優遇されます。詳しくは下記の記事をご参考ください。

●住宅ローン控除についてはこちら

ZEH住宅を検討してみよう!

ZEH住宅を新築、購入することで、快適かつ環境にもやさしく過ごすことが可能になります。初期コストや一定の維持コストがかかりますが、初期費用については補助金を受け取ることで、一定程度負担を軽減することができます。一方、住宅の質が向上することから、住宅の資産価値の向上・維持が期待でき、長期的な視点で見れば、むしろ経済的メリットが高まる場合もあるでしょう。

今回ご紹介したZEHの種類や最新の状況をチェックして、自分に最も適したZEH住宅を検討してみてはいかがでしょうか?