マンション購入ガイド
【2022年度】住宅購入に利用できる補助金制度!最新情報をチェック
マイホームの購入を検討しており、資金計画を立てています。住宅購入の際に、国や自治体から補助金をもらえると聞いたのですが、どのような補助金制度があるのでしょうか?
現在、家の建築や購入に対して「こどもみらい住宅支援」「ZEH補助金」「地域型住宅グリーン化事業」といった補助金制度が用意されています。また、補助金のほかに減税を受けられるケースもありますが、利用できる条件や期限が決まっているものが多いので、最新の情報をチェックしておきましょう。
情報提供:税理士 宮原 裕徳
目次
住宅購入・新築に役立つ補助金とは?
マイホームの購入を考えているなら知っておきたいのが、国や自治体から支給される補助金の制度です。補助金を利用すれば、新築の住宅を購入したり、中古住宅をリフォームしたりする際の負担を大きく減らすことができます。
ただし、補助金や減税といった仕組みのなかには、金額や利用できる条件がここ数年で変更されているものもあります。特に近年は、子育て世帯や省エネ住宅に対する支援が手厚くなっている傾向があります。
そこで今回は、「これからマイホームを購入しよう」と考えている人に向けて、2022年に利用できる補助金制度について紹介していきます。制度の最新情報や、利用するときの注意点について、詳しく見ていきましょう。
知っておきたい3つの補助金制度
住宅を購入したり、新しく建てたりする際に利用できる補助金制度は主に3つあり、国によって基準や事業者が決められています。2022年現在の制度内容について解説します。
[ 1 ] こどもみらい住宅支援※
こどもみらい住宅支援とは、「子育て支援」と「2050年カーボンニュートラルの実現」の2つを目的に、2022年に新設された制度を指します。住宅の購入またはリフォームを行った場合、最大100万円の補助金を受け取ることができますが、対象となる世帯や住宅に以下のような条件が設けられています。
●対象となる世帯
「18歳以下の子を持つ子育て世帯」または「夫婦のどちらかが39歳以下である若者夫婦」
●対象となる住宅
支援の対象となる住宅には3種類あり、住宅の性能や世帯の属性などの条件によって、さらに補助額が決められています。
住宅の購入
注文住宅の新築 | 新築分譲住宅の購入 | |
---|---|---|
ZEH住宅 | 100万円 | 100万円 |
高い省エネ性能の住宅 | 80万円 | 80万円 |
一定の省エネ性能の住宅 | 60万円 | 60万円 |
リフォーム
子育て世帯または若者夫婦世帯 | 既存住宅を購入してリフォーム | 補助額 |
---|---|---|
該当する | 該当する | 60万円 |
該当しない | 45万円 | |
該当しない | 該当する | 45万円 |
該当しない | 30万円 |
※こどもみらい住宅支援事業は、2022年11月28日で終了しております。
国土交通省「こどもみらい住宅支援事業について」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000195.html
[ 2 ] ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)補助金
国が定めた省エネ基準を満たした「ZEH(ゼッチ)住宅」の普及を目的とした、経済産業省と環境省による補助金制度です。新築でZEH住宅を建築または購入した人、あるいは中古住宅をZEH住宅にリフォームした人は、55万円~100万円の補助金を受けることができます。ZEH住宅とは、「自家発電により、消費エネルギーの100%を賄うことができる家」を指します。
ZEH補助金を受けるには、国が定めた基準を満たしている必要があります。また、ひと言でZEHといっても、省エネ性能に応じてさらにいくつかのレベルに分類されており、レベルによって補助額も変わります。補助金の対象となるのは、空調や照明といったエネルギー消費量の合計が基準値よりも20%以上少ない住宅です。
さらに、ZEH補助金の対象になるには、住宅の設計や建築、販売のいずれかの段階でSII(環境共創イニシアチブ)という団体に登録された業者がかかわっていることが求められます。
●ZEH住宅の定義やZEHマンションを選ぶメリットに関する記事はこちら
省エネに向けた取り組みの中で注目されているZEH住宅の定義や、ZEHマンションを購入するメリットについて解説しています。
[ 3 ] 地域型住宅グリーン化事業
地域型住宅グリーン化事業は、地域における木造住宅の生産体制を強化し、環境負荷の低減を図ることを目的とした国土交通省による補助金制度です。地域密着型の中小工務店を通して、高い省エネルギー性能や耐久力を持つ木造住宅を新築すると、住宅の種類に応じた補助金を受け取ることができます。
補助の対象となる住宅と補助額の上限は、以下のようになります。
住宅のタイプ | 補助額の上限 |
---|---|
認定長期優良住宅 | 140万円 /戸 |
ZEH・Nearly ZEH | 140万円 /戸 |
ZEH Oriented | 90 万円 /戸 |
認定低炭素住宅 | 90 万円 /戸 |
補助金を受けられるのは、全ての木造住宅ではなく、国の採択を受けた業者が施工する住宅に限られる点に注意しましょう。
[ 4 ] 自治体の補助金制度
ここまでで解説してきた3つ以外にも、各自治体で独自に行っている補助金制度も存在します。自治体によっては、住居の購入や建て替え、注文住宅の新築を補助していたり、二世帯住宅の購入を優遇している場合があります。
住宅を購入する際は、希望エリアの自治体に補助金制度があるかどうかを、自治体のホームページなどを通してチェックするとよいでしょう。
なお、以前は「すまい給付金」という、消費税の増税に伴って住宅ローンの負担額が大きくなることを抑えるための制度がありましたが、こちらは2021年末に終了しているため注意しましょう。
利用する際の注意点
住宅を購入したり、新築の戸建て住宅を建てる際に利用できる補助金制度について見てきました。これらは省エネに貢献し、消費者の財布事情にも優しい制度ですが、利用するうえではどのようなポイントに注意するとよいのでしょうか?具体的に見ていきましょう。
登録事業者に限られる支援がある
こどもみらい住宅支援、地域型住宅グリーン化事業といった補助金制度は、家を販売したり、建築したりする事業者が、国に登録された事業者でないと利用できません。 家を購入したりリフォームしたりする際は、契約を検討しているハウスメーカーや工務店が補助金制度に対応しているかどうかを事前に確認するようにしましょう。
期間が限定されている
2022年現在、マイホーム取得の際に利用できる国の補助金としては、前述の通り、こどもみらい住宅支援、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)補助金、地域型住宅グリーン化事業があります。この3つの制度は、基本的に申請期間が限定されており、期限を過ぎると利用できなくなってしまうことに注意が必要です。補助金制度の申請の期限については適宜変更や延長がされることがあるため、実際のスケジュールについてはこまめに確認しましょう。
予算により終了する場合がある
補助金の各事業は、年度の予算が決められているため、予算の上限に達すると期限内であっても申請が打ち切られる恐れがあります。そのため、住宅取得に際して補助金を利用しようと考えている場合は、早めに申請を行っておくと安心です。
税制の優遇制度も併せてチェック
補助金制度だけではなく、税制の優遇制度を利用することでも、住宅購入時の費用負担を軽減することができます。税制の優遇制度についても詳しく見ていきましょう。
住宅ローン控除
住宅ローン控除とは、新築・中古住宅を購入した場合、10年以上の住宅ローンを組むと税制面で優遇を受けられる制度です。2022年度の税制改正以降は、ローン残高の0.7%がその年の所得税から差し引かれることになりました。控除が適用される期間は、2023年までの入居の場合は、新築住宅が入居から13年、既存住宅は10年となります。また、控除額の上限は住宅の種類や性能によって異なります。
住宅取得資金贈与の特例を利用するには、住宅を購入・入居した年の翌年の確定申告期間に確定申告を行う必要があるため、忘れずに行いましょう。
住宅ローン控除についての詳細は、以下の記事をご参照ください。
●住宅ローン控除の最新情報に関する記事はこちら
住宅ローン控除の仕組みや2022年度の最新情報について解説しています。
住宅取得資金贈与の特例
住宅を取得する際に、両親や祖父母といった直系尊属から資金援助を受けた場合、一定額まで贈与税を控除することを定めた特例を「住宅取得資金贈与の特例」といいます。この特例は、2022年度の税制改正大綱により、2023年12月31日まで期限が延長されることが決定し、控除額は以下のようになりました。
非課税限度額 | |
---|---|
耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋 | 1000万円 |
上記以外の住宅 | 500万円 |
住宅取得資金贈与の特例を利用するには、贈与を受けた翌年の確定申告期間に、確定申告を行う必要があるため、忘れずに行いましょう。
そのほかの減税措置
上に挙げた2つ以外にも、住宅取得に利用できる減税措置が存在します。主な制度としては、以下の4つがあります。
減税措置 | 内容 |
---|---|
不動産取得税の軽減 | 評価額、税率の軽減 |
固定資産税の減額 | 新築住宅の固定資産税を一定期間軽減 (一戸建て3年間、マンション5年間) |
登録免許税の軽減 | 新築住宅の所有権保存措置を軽減 |
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の特例措置 | 登録免許税を軽減 |
これらの減税措置については、基本的に新築・中古にかかわらず要件を満たす必要があるほか、申請の期限が設けられていることがほとんどであることに注意しましょう。
●登録免許税の計算方法や軽減に関する記事はこちら
登録免許税の仕組みや軽減措置についての最新情報をわかりやすく説明しています。
●不動産取得税の基礎知識や軽減の仕組みに関する記事はこちら
不動産取得税の支払い時期や軽減についてわかりやすく説明しています。
不動産会社と一緒に検討しよう
マイホームを購入したり、新築の注文住宅を建てたりする際に利用できる補助金や減税制度の最新情報について詳しく解説してきました。ただし、状況次第では既存の制度の内容が変更されたり、次年度以降に新しい制度が発表されたりする可能性があります。住宅の取得を検討している場合は、こまめに最新の情報をチェックしておくことが望ましいといえます。
なお、補助金や減税といった制度の適用条件は細かく定められているため、利用する際は不動産会社に相談するとよいでしょう。取得予定の住宅や取得時期の条件に合っているか、ほかに併用できる制度があるかなどを確認することで、住宅購入の費用を節約できますよ!
情報提供:税理士 宮原 裕徳
株式会社ラムチップ・パートナーズ代表取締役。税理士。LAMTIP PARTNERS(Thailand) Co., Ltd. CEO日本と東南アジアの不動産にかかわる会計・税務に詳しい。法人や個人向けに、無駄な税金を払わないための節税対策セミナーなども行う。