マンション購入ガイド
低層マンションとは?落ち着いた大人のマンションの特徴と魅力を解説
新築マンションの購入を検討しています。友人の間では高層マンションが人気ですが、私は低層マンションに興味があります。低層マンションにはどのような特徴がありますか?教えてください。

低層マンションとは、一般的に2~3階建てのマンションを指します。低層マンションは閑静な住宅街に建つことが多く、落ち着いた雰囲気と高級感があるため、根強い人気があります。
情報提供:マンション管理士 山本直彌
目次
低層マンションとは?
マンションには階数が高いもの、低いものがあり、それぞれ特徴があります。近頃は高層階のマンションが多く建てられるようになったため、高層マンションやタワーマンションが注目されていますが、閑静な住宅街に見られる低層マンションに関心がある人も多いのではないでしょうか?
低層マンションは希少性と高級なイメージがあるため、根強い人気を誇っています。今回は低層マンションの特徴と魅力について解説します。

低層マンションは2~3建てのマンションを指すのが一般的です。ほかにもマンションの階数ごとに、3~5階建ては中層マンション、6階以上は高層マンション、20階以上は超高層マンション、あるいはタワーマンションと呼ばれています。ただし、こうした呼び方には、明確な定義はありません。
低層マンションの総戸数は一般的に10戸程度と規模はそれほど大きくなく、高級感があり、落ち着いた雰囲気を持っています。まれに郊外に100戸ほどの低層マンションを見かけることもありますが、多くの低層マンションは閑静な住宅街に建てられています。
●タワーマンションに関する記事はこちら

タワーマンションを購入する際に知っておきたいポイントをご紹介しています。
低層マンションの特徴とメリット
マンションの住み心地は、形状や総戸数、立地や周囲の環境で変わってきます。住み心地を知るためにも、低層マンションの特徴とメリットを見ていきましょう。
閑静で落ち着いた住環境
低層マンションは、静かで落ち着きのある環境にある場合が多く見られます。理由は、「用途地域」と「建ぺい率」・「容積率」に関係しています。用途地域とは、都市計画法に基づき、エリアごとに住居地域・商業地域・工業地域などに分類したものです。土地の用途を分類することで、土地の利用を制限しているのです。そして建ぺい率とは、敷地に対する建築部分の面積を表します。
また、容積率とは敷地に対する建物全体の面積を表します。

まず低層マンションは、住居地域のなかでも、住環境の観点から建物の高さが厳しく制限された「第一種低層住居専用地域」や「第二種低層住居専用地域」に建てられます。また、このエリアは日影制限も厳しいため、日当たりのよい低層マンションが多く見られます。
第一種低層住居専用地域の建ぺい率は30~60%、容積率は80~100%と低いため、敷地内にゆとりがあり、緑にも恵まれやすいです。たとえば、建ぺい率が40%であれば、敷地の60%を建物以外のスペースに利用できるため、緑地をたっぷり確保したマンションの設計が可能です。
また、容積率も敷地面積に対し、80~100%の制限となることが多く、高さ制限もあるため、高い建物が建てることができず、落ち着きのある住宅街を形成することができます。
閑静な住宅街に多く見られる低層マンションは、こうした理由で落ち着きのある高級なイメージを醸し出しているのです。
高級感のある低層マンションの多くは、東京都内であれば、白金台や南青山、元麻布や広尾など富裕層が多く住むエリアで見ることができます。
資産価値が安定的
低層マンションは閑静で落ち着いた住環境が維持されやすいため、資産価値が安定しやすいというメリットもあります。眺望が魅力である高層マンションの場合は、近くに高いビルが建つと評価が下がることがあります。しかし、低層マンションは建てられている地域に建物の高さや建ぺい率・容積率の制限があるため、周囲の環境の変化がマンションの住環境に影響することが少ないのです。
また、低層マンションは重厚感ある造りが多いため、ヴィンテージマンションとして価値が高まることもあります。
●ヴィンテージマンションに関する記事はこちら

希少価値があるといわれるヴィンテージマンションについて詳しく説明しています。
地震に強い構造
低層マンションの多くは、一般的に壁で支える「壁式構造」を採用しています。柱と梁で建物を支える「ラーメン構造」の高層マンションでも耐震設計によって地震には強いですが、低層マンションはより頑丈で、さらに地震に強い構造になっています。
また、地震の際、低層マンションは揺れが少ないうえに、たとえエレベーターが止まっても、低層のため階段を使っての非難が容易です。エレベーター待ちのストレスが多い高層マンションに比べて、エレベーターに関するストレスが少ない点も低層マンションならではのメリットです。
コミュニティが作りやすい
低層マンションは、住民同士のコミュニケーションが取りやすいという特徴があります。総戸数が少ない低層マンションの場合、各住居の間取りが同じになる傾向があり、似た家族構成のファミリー層が集まりやすいためです。
マンションの大規模修繕を行う際、世帯数が多い高層マンションは意見がまとまりにくい傾向にありますが、それに比べると、低層マンションは住民同士の意思疎通がしやすく、意見がスムーズにまとまるケースが多いようです。
低層マンションの注意点
魅力の多い低層マンションですが、いくつか注意点があります。それぞれ見ていきましょう。

物件の供給数が少ない
低層マンションは新築の供給数が少ない傾向にあります。なぜなら、建ぺい率・容積率が低い低層マンションを建築するには広い土地を必要とするからです。
現在、都心の閑静な住宅街に建っている低層マンションは、供給数が少ないために希少価値があります。希少性が高ければ、その分、物件の価格も高額になりやすいでしょう。
間取りの選択肢が少ない
間取りのバリエーションは、高層マンションやタワーマンションに比べて少ないといえます。高層マンションやタワーマンションは、シングルからファミリー層まで幅広い世帯を対象としているため、一般的に間取りのバリエーションが豊富です。一方、低層マンションの多くは幅広いターゲットの対応した間取りの物件は用意されておらず、ファミリー層を対象にした間取りの物件が目立つ傾向にあります。
リフォームがしづらい
低層マンションは、間取りを変えるようなリフォームはしづらいので注意が必要です。壁式構造が採用されている低層マンションの場合、多くは壁がコンクリートでできています。コンクリートの壁を取り払うことはできないため、間取りを変えることは困難となるでしょう。
共用施設が少ない
高層マンションに比べると、低層マンションは共用施設が少ない傾向にあります。多くの高層マンションにはジムやキッズルーム、ゲストルームやビューラウンジなどの共用施設がありますが、低層マンションの場合、そこまで充実した共用施設は用意されていないようです。ただし、広く豪華なエントランスロビーやラウンジなどを併設する低層マンションは多く見られます。

管理費が高い場合もある
低層マンションは、総戸数が多い大規模マンションに比べると管理費が高くなるケースがあります。マンションの管理費は、一般的に毎月かかる費用を総世帯数で割って算出するため、世帯数が多いマンションのほうが管理費が安くなる傾向にあります。総世帯数が大規模マンションに比べて一般的に少ない低層マンションでは、1世帯あたりの管理費は高くなりやすいです。同様に、修繕積立金が大規模マンションに比べて高くなることもあります。
●大規模マンションに関する記事はこちら

大規模マンションについて解説しています
低層マンションに向く人とは?
低層マンションの敷地内は緑が豊富で、周辺も静かな住宅地ですから、閑静な環境で暮らしたい人に向いています。駅や商業施設との近さや街のにぎやかさを求める人には不向きといえるでしょう。

また低層マンションは、一戸建ての住環境のよさをそのまま享受できる環境にあるため、戸建てからマンションへ住み替えたいと検討している人にも向いています。さらに、子育て中のファミリー層にも適しています。敷地が広く、緑の多い環境で、のびのびと子育てできるでしょう。
そのほか、高齢者が戸建てからマンションへ住み替える場合にも適しています。戸建て特有の階段の心配もなく、閑静な住環境でマンションの利便性を享受できるため、おすすめです。
自分のライフスタイルに合った住まいを選ぼう!
マンションの住み心地は、階数や総戸数などの形状や周辺環境で異なってきます。低層マンション、中層マンション、高層マンションなどの特徴を知ったうえで、自分のライフスタイルや理想に合ったマンションを選択するとよいでしょう。
住まいに何を求め、何を重視するのか、そして新しい住居でどのように暮らしたいのかを考え、自分のライフスタイルにふさわしいマンションを選ぶようにしてくださいね。

情報提供:マンション管理士 山本直彌
さくら事務所所属マンション管理士。マンション管理士、管理業務主任者、マンション維持修繕技術者、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。マンション・ビル管理、不動産仲介、マンション管理コンサルタントなど、不動産の多岐にわたる業務に従事している。
HP:https://www.sakurajimusyo.com/