マンション購入ガイド
40代で家を購入するメリットと頭金の必要性について解説
現在40代で家の購入を考えているのですが、今からでも可能なのでしょうか?また、購入資金はいくらくらい用意しておけばよいですか?

40代で家を購入することは十分可能で、むしろ40代は住宅購入の中心といえます。40代での住宅購入では、その年代ならではのメリットや注意点があります。頭金をできるだけ多く準備しておくと、住宅ローンの返済に無理のない計画が立てれらるでしょう。
情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸
目次
40代でも家を購入できる?
40代で家の購入を検討している人のなかには、年齢的に住宅ローンの返済期間が長くなってしまうと、マイホームの購入そのものに不安を感じる人がいるかもしれません。確かに40代では仕事や家族のことなど30代とは事情が変わってきます。そうした40代特有の事情もありますが、40代でも家を購入することは十分可能です。
国土交通省が公開している令和2年度の「住宅市場動向調査」のよると、新築注文住宅の21.4%、新築建売一戸建住宅の26.6%、新築分譲マンションの29.4%、中古一戸建住宅の30%、中古マンションの28.2%の購入者が40代となっており、いずれも30代に次いで40代が多くなっています。
ただし、40代で家を購入する場合には、年代的に住宅ローンの返済期間や返済額に注意が必要で、そのため頭金を含めた購入資金の用意が重要になってきます。
今回は、40代で一戸建て、マンション購入を考えている方に向けて、40代で家を購入するメリット・注意点をご紹介します。まずは40代で家を購入する際のメリットを見ていきましょう。

返済計画が立てやすい
40代で住宅を購入する場合、住宅ローンを利用して物件を購入した場合、返済計画が立てやすいと言えます。20代や30代と比べれば年収が高く、貯蓄ができている人も多いことから、住宅ローンが利用しやすく、頭金も含めた購入資金の準備が整いやすいからです。頭金とは、購入する住宅の物件代金のうち、住宅ローン以外の部分のことです。
住宅購入時に相応の頭金の用意が可能で、その分住宅ローンの借り入れ金額を抑えることができ、返済計画は立てやすくなるでしょう。一般的に40代後半になるに従い、金融機関によっては住宅ローンの返済期間が短くなります。つまり、同じ金額を借りた場合、返済期間が短くなるにつれて毎月の返済額は高くなるということです。
そこで、特に40代後半では、頭金をある程度用意することで、住宅ローンの借り入れを抑え、無理のない返済計画とすることがポイントです。さらに40代では、生涯年収の想定がある程度可能になり、老後も含めた将来の必要資金も把握しやすくなるため、ローンの返済や住宅の維持費なども考慮して今後の計画を立てる必要があります。

老後を視野に入れた購入ができる
40代では、一般的には20代や30代と比べれば、結婚や子どもの誕生といった家族構成の変化、特に家族が増えるということは少なくなる傾向があります。また、40代後半にもなると子どもの独立が見え始める人もいるでしょう。そのため、40代では、自身の老後も視野に入れた住宅を選ぶということも可能になります。
20代、30代の場合は、住宅購入後に転勤や転職のように仕事の環境が変わることや、結婚や出産など家族構成の変化などが発生しやすいため、「通勤の関係で住むことができなくなる」あるいは「購入した家が手狭になる」といったことが起こる可能性が高いともいえます。
一方、40代は、仕事や家庭もある程度落ち着いていることが多い年代です。そのため、現在の状態を前提として住宅を選択でき、自身の老後のことも視野に立地や周辺環境を考えて住宅を購入する人も増えてきます。
また、40代で比較的新しい家を購入することで、高齢になってからの老朽化による家の建て替えやリフォームが不要になるというのもメリットになります。

住宅ローンの利息を抑えることも
40代は、20代や30代での購入と比べれば、収入も多く、また頭金もある程度準備しやすい傾向があるため、住宅ローンの返済期間を短く設定することも可能で、その分支払う利息の金額を抑えることができます。
たとえば、3,000万円のマンションを購入した場合に、頭金の金額を変えた場合と返済期間を変えた場合の支払う利息の総額をシミュレーションしてみましょう。
<例> ・3,000万円のマンションを購入する場合
頭金 | 借入金額 | 返済期間 | 金利 | 毎月返済額 | 支払う利息 の総額 |
---|---|---|---|---|---|
なし | 3,000万円 | 35年 | 1% | 84,685円 | 約557万円 |
1,000万円 | 2,000万円 | 35年 | 1% | 56,457円 | 約372万円 |
なし | 3000万円 | 20年 | 1% | 137,968円 | 約312万円 |
1,000万円 | 2,000万円 | 20年 | 1% | 91,978円 | 約208万円 |
※返済方法は「元利均等返済」
返済期間は同じでも、借入金額が減れば当然ながら支払う利息の総額は減り、また、同じ借入金額でも返済期間が短くなれば、同様に支払う利息の総額が減ります。
なお、利息だけでなく、毎月の返済額も異なってきます。期間が短く、借入金額が大きくなると、毎月の返済額も高額になります。上記の表を見てわかる通り、支払う利息の総額を意識しつつも、毎月の返済額に無理のないようにすることも大切です。
40代で家を購入するときの注意点
40代で家を購入する場合、上記のようなメリットが考えられますが、注意点もあります。
一般的に住宅ローンを利用できる年齢は安定した収入の見込める20~60歳となっています。また、住宅ローンの借入期間は最長35年までとなっていますが、金融機関ごとに完済年齢が定められています。完済年齢とは、住宅ローンを借りたとき、最終的にすべての返済を終える年齢のことです。
たとえば、完済年齢が75歳の金融機関であれば、46歳の人が住宅ローンを借りる場合、75歳までの最長29年が返済期間となります。返済期間が短くなるということは、同じ金額を借りた場合、その分毎月の返済額が増えることになり、逆に、毎月の返済額を同じにした場合には、借入できる金額が減ってしまうということになります。
このように40代で住宅ローンを利用して家を購入する場合には、金融機関が定めている完済年齢について注意する必要があります。
また、40代で長期の住宅ローンを利用すると、退職後も住宅ローンを払い続けることになる可能性があります。たとえば、45歳で35年の住宅ローンを組んでしまうと、そのまま繰り上げ返済せず完済する場合の年齢は80歳になります。このとき、65歳が定年年齢だとすると、定年後の15年間も住宅ローンの返済が続くことになります。こうした定年後の支払いのことを考慮して住宅ローンの返済計画を立てることも重要になります。

なお、長期の住宅ローンを組んでも、繰り上げ返済をすれば予定よりも短い期間で返済することができます。繰り上げ返済とは、ローン返済中にローンの元金の一部、または全部を返済することです。
繰り上げ返済する場合には、返済する金額に最低金額が設定されていることがあります。また、繰り上げ返済した場合、減ったローンの元金に応じて、その後の返済について、毎月の返済額を減らす、または同じ金額を返済して期間を短くする、のいずれかを選択することができます。
繰り上げ返済は、多くの人が利用しており、ボーナスや臨時収入、相続などの資金のほか、退職時の退職金で全額返済している人もいます。ただし、住宅ローン控除を利用している場合は、繰り上げ返済のタイミングに注意が必要です。
住宅ローン控除については以下の記事で詳しく解説しているのでぜひチェックしてください!
●住宅ローン控除に関する記事はこちら

住宅ローン控除についてご紹介しています。
住宅ローンを利用するときのポイント
特に40代後半で住宅ローンを利用する場合は、完済までの期間が短くなることがあるため、審査が厳しくなる傾向があります。以下の、住宅ローンを利用しやすくするためのポイントを押さえておきましょう。

頭金を多く、借入額を少なくする
頭金を多く準備し、借入額を少なくすれば審査は通りやすくなります。また、同じ返済期間なら、借入額を減らすことで毎月の返済額が減るので、収入が減る退職後の住宅ローンの支払いに無理のない計画にすることもできます。
頭金は、物件代金の20%程度用意することが理想とされています。頭金が多いほど借入額が減るので、返済総額も減り、支払う利息もその分減ることになります。
一方、毎月無理なく支払える返済額から、借入金額を逆算して、その借入金額に対して必要な頭金を考えるというのもよいでしょう。返済額の目安としては、収入の25%内に収めるのがおすすめです。
現在賃貸住宅に住んでいる場合は、支払っている家賃と毎月の支払いを同程度にすると安心です。ただし、マンションを購入した場合には、管理費や修繕積立金など毎月必要なものが住宅ローン以外にも発生するため、ローンの返済額とこれらの費用を合わせた額が賃貸住宅の家賃と同程度になるようにするとより安心です。
特に、子どもがいる場合は養育費や教育費が必要になることや親の介護費が発生するなど突然の出費もあるかもしれません。ローンの返済額は、余裕を残しつつ毎月支払いできる金額を設定することが理想です。

完済年齢の高い金融機関を選ぶ
40代後半では、定める完済年齢が高い金融機関を選ぶことで住宅ローンが利用しやすくなります。住宅ローンの審査では、収入に対する返済額の割合(返済比率)がポイントになるため、完済年齢が低く、返済期間が短くなってしまうと、同じ金額なら返済比率が高くなり、ローンの審査に通らないということも発生します。そこで、できるだけ完済年齢の高い金融機関を選べば、返済期間が長くなり、返済比率が下がるため、ローンの審査に通りやすくなるのです。
たとえば、45歳の人の場合、完済年齢71歳の金融機関では、最長の返済期間は26年ですが、81歳完済の金融機関であれば、返済期間は最長35年になります。
住宅ローン以外のローンをなくす
住宅ローンの審査では、その人のすべてのローンを考慮して借入可能額を算出します。したがって、自動車ローンやカードローンを利用している場合は、その分もすでに借りているローンとして見られ、その分借りられる住宅ローンが減ってしまうことがあります。
そこで、そういったローンを完済してからのほうが住宅ローンの審査に通りやすくなります。
購入時の諸経費と購入後の費用の準備も忘れずに
40代で家を購入する場合も、最初の資金準備が大切です。特に頭金についてご紹介しましたが、家を購入するときには、頭金以外にも準備しておかなくてはいけない費用があります。また、購入後の費用についても意識しておく必要があります。どんな費用があるのか見ていきましょう。

購入時の諸費用
家を購入する際には、物件にかかるお金以外にも諸費用がかかります。諸費用は一般的に物件価格の5~10%程度といわれています。頭金とは別に諸費用を現金で用意する必要があります。
諸費用には、住宅ローン借り入れのための融資手数料や保証料、名義変更や抵当権設定のための登記費用、中古物件では仲介手数料、火災保険などがあります。たとえば、5,000万円のマンションを購入するケースで、住宅ローンを利用して購入した場合、諸費用が8%だとすると400万円は諸費用として現金で用意しておく必要があります。さらに引越し代、新規で購入する家具や電化製品の購入費も必要になる場合もあります。
諸費用が多くかかるため、頭金なしでフルローン(物件価格と同額までローン)を利用する人もいます。しかしその場合でも、購入後の返済に無理のない範囲に借入額を抑えることを忘れないようにしましょう。やはり家を購入するなら、ある程度は自己資金を貯めておくことをおすすめします。
購入後の費用
分譲マンションの場合、購入後、建物の維持費として毎月管理費・修繕積立金が必要になります。建物が古くなっていくにつれて修繕費は増えていくため、新築当初の修繕積立金は1万円でも20年後には2~3万円になるのが一般的です。
また、不動産を所有することで、固定資産税や都市計画税という税金が毎年必要になります。金額は所有する不動産により異なりますが、数万円~数十万円、一等地であれば数百万円にもなりますので、念頭に入れておく必要があります。
こうした費用は、購入後にローンの支払い以外の費用として必要になるので、後で慌てないためにも知っておきましょう。
資金計画をしっかり立てて家を購入しよう!
40代での家の購入では、子どもの学費に加えて、自身の老後資金などを考えることがより重要になってきます。老後のライフプランを意識して、いつどの程度のお金が必要になるのかを考慮しながら、住宅購入の資金計画を立てるようにしましょう。

計画を立てるには、具体的に計算してみることが大切です。たとえば、現在の収入に対して必要な生活費から今後貯蓄できる額が分かります。そこから現在の貯蓄額と今後の可能な貯蓄額の合計が老後に必要な資金と照らして問題ないか確認します。そのうえで、住宅購入に充てることのできる頭金や諸費用がどのくらい出せるか、また、購入後の支払いが無理のない範囲でどこまで可能かといったことを計算してみましょう。こうした計算をすることで、今の状況での家の購入が現実的なのかが見えてきます。
こうした将来のことを具体的に考えることも40代だからこそ大切です。そのうえで住宅購入の資金計画を決め、経済的にも無理のない範囲で最適な住まいを購入するようにしましょう!

情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸
不動産サポートオフィス
代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。不動産コンサルタントとして、物件の選び方から資金のことまで、住宅購入に関するコンサルティングを行なう。
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