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Question

RC造とは?建物構造の種類やそれぞれのメリットを解説!

現在、引越しのため物件を探しています。不動産のポータルサイトを見ていたら建物の構造に「RC造」とありました。木造はイメージできるのですが、RC造とはどういうものですか?ほかにどのような構造の物件があるのでしょうか?

Answer

RC造とは、建築物の構造の種類で、「鉄筋コンクリート」で造られた建物の構造を意味します。このほか建物の構造には、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)、S造(鉄骨造)、W造(木造)といったものがあります。それぞれ特徴や注意点があるので、それらをよく知ったうえで、自分に合った構造の住まいを選ぶとよいでしょう。

情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二

目次

住まい選びのポイントの1つである「構造」

住まい探しをするとき、広さや間取り日当たりのよさなどを重視する人は多いですよね。では「構造」というポイントではどうでしょうか?意外と見落としがちな要素かもしれませんが、住まいの構造は、安心して快適な生活を送るためには重要な要素となってきます。

「家賃の安さに引かれて入居したら、隣人の生活音がうるさくて悩まされることになった…」「冷房をつけても、暑くて電気代がとんでもないことに…」など、入居後に困らないように住まいの構造について理解することが大切です。今回は、建物の構造について詳しく解説していきます。住まいを探す際の参考にしてみてくださいね。

まず、住まいの構造には、主にRC造(鉄筋コンクリート造)SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)S造(鉄骨造)W造(木造)の4タイプがあります。これら4タイプの構造を比較しながら、それぞれのメリットや注意点について詳しく見ていきましょう。

高層マンション
※イメージ写真
どのような構造があるの?

ここでは、建物の構造を素材別におおまかに見ていきましょう。建物の構造は、前述の通り、以下の4タイプがあります。

構造名 特徴
RC造(鉄筋コンクリート造) 鉄筋とコンクリートが相互に補完し合う
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造) 鉄骨の周囲に鉄筋を配してコンクリートを打ったもの
S造(鉄骨造) RC造やSRCに比べしなやか
W造(木造) 日本の気候や風土に適した木造
※イメージ写真

上の表でご紹介した素材による構造分けのほかにも、組み方を基準とした構造の分類もできます。たとえば、ラーメン構造や壁式構造があります。

ラーメン構造とは、ドイツ語の「Rahmen(額縁)」を指し、柱と梁(はり)を主体とした構造です。低層から高層まで幅広い建築物に用いられており、自由な空間の妨げとなる耐力壁を出さない点が特徴です。また、ラーメン構造はリフォームの際も自由に間取りの変更がしやすいという特徴もあります。

一方、壁式構造は柱や梁ではなく、壁を利用して建物を支える構造です。壁式構造は、主に5階建て以下の建物に用いられることが多い傾向にあります。柱と梁で支えるラーメン構造に対して、壁を利用した面で支える壁式構造は、頑丈なためより耐震性に優れています。

ラーメン構造と壁式構造
※イメージ写真

では、ここからはRC造から順番にそれぞれの構造のメリットや注意点を見ていきましょう。

RC造とは?

RC造(鉄筋コンクリート造)とは、「Reinforced Concrete構造」の略称で、鉄筋とコンクリートを組み合わせることでより強化された造りです。RC造は、柱や梁に鉄筋を組み、その周辺に型枠を作ってコンクリートを流し入れて固めた構造です。

柱や梁、床や壁など、建物の構造に強度が必要になる主要構造部分に鉄筋とコンクリートが用いられます。RC造の建物のなかには、「打ちっぱなしコンクリート」の内装によって人気を高めているデザイン性の高い物件もあります。

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続いて、RC造のメリットと注意点について、具体的に見ていきましょう。

メリット
RC造のメリットは以下のような点が挙げられます。

●強度が高い
RC造は、引っ張りに強い鉄筋と圧縮に強いコンクリートを組み合わせることで、両者の欠点を補完しており、強度が高いです。そのため、RC造の物件は耐震性に優れています。

●遮音性が高い
RC造は耐震性だけでなく遮音性に対しても力を発揮します。遮音性は比重や密度が大きいほど高まることから、S造(鉄骨造)やW造(木造)よりも比重の重いRC造は音が伝わりにくくなっています。そのため、音に敏感な人には向いている構造といえるでしょう。

●耐火性が高い
RC造は耐火性の高いコンクリートが鉄筋を覆い、火から守る役割を果たしていることで、全体として耐火性が高い構造になっています。加えて、建物自体が燃えにくいことから、周囲への延焼の恐れが低いというメリットがあります。

●法定耐用年数が長い
RC造は、税務上の資産価値がゼロになるまでの年数を表した法定耐用年数が長く、W造(木造)と比べて2倍以上となっています。

RC造は、S造(鉄骨造)やW造(木造)と比較して、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)とともに最長となっています。それぞれの構造の具体的な法定耐用年数は以下の通りです。

建物構造 法定耐用年数
RC造(鉄筋コンクリート造)、
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
47年
S造(鉄骨造) 19~34年
W造(木造) 22年

このように、RC造とSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)は、そのほかの構造と比較すると10年以上も法定耐用年数が長いことが分かります。建物の資産価値を少しでも長く維持したい人におすすめといえるでしょう。

法定耐用年数は上の表のように定められていますが、建物の寿命とは異なります。そのため、法定耐用年数をすぎても、経年劣化や地震で生じたひび割れなどを簡単なメンテナンスで補正することで、建物の寿命自体を延ばすことは十分可能です。マンションの寿命については以下の記事をご参照ください。

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マンションの模型と虫眼鏡
※イメージ写真

注意点
RC造はメリットだけでなく、以下のような注意点もあります。

●建築コストがかかる
RC造はS造(鉄骨造)やW造(木造)よりも建築コストがかかるため、住宅価格や家賃が高くなる傾向にあります。その背景には、工期が長く建築コストがかかることが挙げられます。加えて、RC造の物件は、石やタイルといった比較的高価な仕上げ材を用いる傾向が強いことも要因といえるでしょう。

●結露が起こりやすい
RC造は気密性が高いため、木造や鉄骨造と比較すると結露がたまりやすくカビが発生しやすいです。定期的に換気を行ったり、窓に発生する結露を可能な限り取り除いたりする必要があります。ただし、2003年の建築基準法の改正後、24時間換気システムは全ての住宅に設置が義務付けられましたので、それ以降に建築された物件は安心して住めるでしょう。

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)とは?

ここからは、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)について見ていきましょう。SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)とは、「Steel Reinforced Concrete構造」の略称で、鉄骨と鉄筋、コンクリートを使用した造りです。鉄骨の骨組みの周りに鉄筋を配し、コンクリートを流し込んで造る構造です。SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)は一般的に強度が求められるタワーマンションのような高層の建物に用いられます。

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メリット
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)のメリットは、基本的にRC造と同じですが、RC造の耐久性に加えて、鉄骨も採用しているため、RC造よりもさらに強度が高くなっています。

注意点
注意点としては、RC造と同様に建築コストがかかるため、価格が高くなる傾向があることが挙げられます。

また、鉄骨と鉄筋コンクリートを併用しているため建築の工程が長くなり、長期の工事になりやすいことも注意点といえるでしょう。

SRC柱の鉄筋工事
※イメージ写真
S造(鉄骨造)とは?

ここからは、S造(鉄骨造)について見ていきましょう。S造(鉄骨造)とは「Steel構造」の略称で、柱や梁などの骨組みに鉄骨を使った構造です。S造(鉄骨造)のなかでも鉄骨の厚さにより、「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」の2種類に区分されます。

軽量鉄骨造は、鉄骨(鋼材)の厚さが6mm未満のものを使用しており、一般住宅やアパートなど低層の住宅や、小規模の店舗などで採用されることが多いです。一方で重量鉄骨造は、厚さ6mm以上の鉄骨(鋼材)を使用しており、主に3階建て以上のマンションやビルなどで採用されています。

メリット
S造(鉄骨造)は比較的自重が軽く、強度が強いため、倉庫や体育館などの大きな建物を造るのに適した構造といえます。また、ハウスメーカーが提供している「軽量鉄骨造」の場合、工場で部材を大量生産できるため、材料費が安く、工期も短く済むので費用を抑えられるでしょう。その理由から、賃貸物件の賃料も安い傾向にあります。

一方の「重量鉄骨造」の場合は、軽量鉄骨造よりも強度が高いため建物の揺れが少なく、石やタイルといった重い仕上材も使用できます。石やタイルなどを使って建物に高級感を出したい場合は、重量鉄骨造がおすすめです。

また、S造(鉄骨造)は耐震性に優れています。地震が生じた際にも、建物に使用されている鉄がしなり、エネルギーを吸収することで、建物を地震から守ります。重量鉄骨のような頑丈な鋼材を使用すれば、構造が倒壊する可能性はさらに低くなり、安心です。

注意点
S造(鉄骨造)はRC造やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)と比較すると耐火性はあまり高くないといえます。鉄骨は熱に弱いため、耐火被覆という仕上げを行う必要があります。また、RC造やSRC造よりも比重や密度が低いため、生活音が響きやすい点にも注意が必要といえるでしょう。この場合には、遮音性の高いサッシ等を採用することで、防音性、遮音性を高めるといった対策が可能です。

加えて、S造(鉄骨造)は重量があるため、土地の状態によってはきちんとした地盤補強が必要になります。その際は、住宅の建築費に加えて、地盤補強に必要なコストが余分に発生するため、予算とよく照らし合わせましょう。ただし、地盤が軟弱な場合、S造(鉄骨造)以外の構造でも地盤補強の基礎工事を行うことがあります。

●S造(鉄骨造)に関する記事はこちら

鉄骨造とは?木造や鉄筋コンクリート造との違いも解説

鉄骨造(S造)について詳しくご紹介しています。

マンションのリビング
※イメージ写真
W造(木造)とは?

W造(木造)とは、「Wood構造」の略称で、建物の主な構造部分に木材を使用した構造です。W造(木造)は主に一戸建てやアパート、小規模店舗といった3階建て程度までの低層の建物で用いられています。

●木造住宅について詳しくはこちら

木造住宅とは?構造やメリット、耐用年数や注意点など特徴を解説

木造住宅の特徴やメリットなどをご紹介

メリット
W造(木造)には、主に4つのメリットがあります。

●建築コストが低い
W造(木造)は、RC造・SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)・S造(鉄骨造)と比べて施工業者が多く相見積もりを取りやすいことから建築コストを抑えやすく、加工しやすいというメリットがあります。そのため、W造(木造)の賃貸物件は、立地や築年数が同じであるほかの構造の賃貸物件と比較した際に、賃料が安いことが多いです。

●リフォームがしやすい
また、W造(木造)には主に、柱や梁などを組み合わせた骨組み中心の木造軸組工法と、枠材に面材を緊結させた壁を組み合わせる木造枠組壁工法の2種類があります。木造軸組工法を選べば、間取りを変えるような大胆なリフォームがしやすいというメリットもあります。

●断熱性が高い
木の熱伝導率は、コンクリートや鉄に比べて非常に低いため、木造建築は断熱性の高さが特徴です。また、木は断熱材と併せて使用することで優れた断熱性能を発揮し、外気の影響を受けにくいことから夏は涼しく、冬は暖かい室内空間を比較的保ちやすくなります。

●通気性に優れている
一般的な木造建築物は、通気性がよく、湿気の吸収性が高いため、日本の風土・気候に最も適した構造ともいえるでしょう。

●環境に優しい
木造に使用される木材は、炭素を固定(貯蔵)する性質を持っており、空気中の二酸化炭素を減らす役割を果たしています。そのため、そのほかの鉄骨や鉄筋を使った造りより環境に優しいといわれ、近年、脱酸素や環境配慮の観点より建築物に木造を使用する動きが注目を集めています。

注意点
メリットがある一方で、いくつかの注意点もあります。

●遮音性が低い
W造(木造)は軽い素材のため、RC造と比べると振動が伝わりやすく、遮音性が低いといえます。

●気密性が低い
気密性が低いと、冷暖房の効率がほかの構造に比べるとよくない点にも注意が必要です。

●耐火性が弱い
万が一、火災が起きた場合、木材は燃えやすいため、ほかの素材に比べると焼失しやすいというリスクがあります。

不動産会社のスタッフと女性客
※イメージ写真
ライフスタイルに合った構造を選ぼう!

ここまでご紹介してきたように、建物の構造によって費用やメリットは大きく異なります。これらの構造ごとの特性をよく理解して、ご自身のライフスタイルに合った構造の住まいを選ぶことは、快適な暮らしを実現するうえで非常に重要です。

たとえばRC造の住宅は、耐震性や耐火性、遮音性を重視する方、安全性を求める方には最適といえます。なお、ある程度の耐震性は欲しいけれど新築時の建築コストや借りる際の家賃を抑えたい方はS造(鉄骨造)、最優先で建築コストや家賃を抑えたいというコスト重視の方は、W造(木造)を検討してみるとよいでしょう。

また、防音性を求める場合は構造だけでなく、壁の厚さや床の構造、窓サッシの性能なども確認し、可能であれば隣の生活音がどの程度聞こえるかを実際に室内で確かめるのがおすすめです。

一緒にスマホを見る男女
※イメージ写真

これらの構造選びについて自分で判断するのが難しい場合は、不動産会社や管理会社に問い合わせてみるのもよいでしょう。長谷工アーベストでは、豊富なノウハウを持った住まいアドバイザーがお客さまの住まい選びをきめ細かくサポートしています。住まい探しにお悩みの方は、ぜひ一度長谷工の住まいアドバイザーにご相談ください。

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情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二

株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、不動産キャリアパーソン、中小企業診断士。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングを行う。

HP:https://grow-profit.net/