セカンドハウスとは?
セカンドハウスとは、現在ある住まいとは別に使用するマンションや一戸建てなどの住まいを指します。セカンドハウスを持つことで、「普段は都心部に暮らして通勤を楽にする」「週末はのんびり田舎暮らしを楽しむ」といったライフスタイルが可能になるでしょう。
セカンドハウスと別荘の違い
セカンドハウスとよく比較されるものに「別荘」がありますが、所有した場合、使用目的と使用頻度の違いによって、税制上ではセカンドハウスと異なるものとして見なされます。
別荘とは、地方税法施行令※1において「日常生活の用に供しない家屋又はその部分のうち、専ら保養の用に供するもの」と定義されています。つまり、日常の利用ではなく、避暑や保養のための住居という認識です。
一方、セカンドハウスは、「別荘以外の家屋で週末に居住するため郊外などに取得するもの」「遠距離通勤者が平日に居住するために職場の近くに取得するもの」などを指し、国土交通省※2において「毎月1日(1泊2日)以上居住の用に供するもの」と定義されています。
また、以下のようにどちらに定義されるかによって、税制上の優遇措置の有無も変わるのが大きなポイントです。
比較項目 | セカンドハウス | 別荘 |
---|---|---|
使用目的 | 自分または家族の生活拠点になる住居 | 避暑や余暇を楽しむための専ら保養の用に供する住居 |
使用頻度 | 最低月1日(1泊2日)以上 | 月1日未満 |
税制上の扱い | 一般住宅と同様の優遇措置を受けられる | 優遇措置を受けられない |
セカンドハウスは、生活を目的とした住居であるため居住用財産に含まれます。そのため、セカンドハウスと認められれば、一般住宅と同様に税制上の優遇措置を受けられるのです。
セカンドハウスのメリット
セカンドハウスを持つと、主に次のようなメリットがあります。
- 通勤や移動が楽になる
- 生活を豊かにできる
- 家族の生活拠点にできる
それぞれについて、以下で詳しく見ていきましょう。
通勤や移動が楽になる
自宅からの通勤時間が長い方や、定期的に特定の遠方へ出張する方は、職場や出張先の近くにセカンドハウスを持つことで、移動の負担を大きく減らすことができます。たとえば、「平日は職場近くのセカンドハウスから通勤して、週末は郊外の自宅で過ごす」「出張時はセカンドハウスを滞在先にする」といったように利用することで、時間も労力も軽減でき、より余裕のある生活が実現できるでしょう。
生活を豊かにできる
自宅にいると、休日も仕事のことを考えてしまって気が休まらないという方も多いのかもしれません。また、自宅でのテレワークにより、仕事とプライベートの区別があいまいになってしまい、気持ちの切り替えが難しくなることもあるでしょう。そのような場合に、都会から離れた場所にセカンドハウスを持ち、週末はセカンドハウスで生活することで、普段とは違う気分でゆったりと休日を楽しめます。
家族の生活拠点にできる
家族のためのもう1つの生活拠点として使用できるのも、セカンドハウスのメリットの1つです。たとえば、親の通院先や子どもの通学先が遠方の場合、セカンドハウスを拠点にすることで、家族の移動時間を短縮できるだけでなく、移動にかかる費用や賃貸住宅を借りるための家賃、ホテル代を節約できます。
セカンドハウスを購入するときに知っておきたい注意点
魅力あるセカンドハウスですが、購入する場合には次のような点に注意が必要です。
- セカンドハウスとして使用することを登録申請する必要がある
- 維持費がかかる
- 一般的な住宅ローンを利用できない場合がある
セカンドハウスとして使用することを登録申請する必要がある
セカンドハウスを購入した場合、税制優遇を受けるには、都道府県や市区町村への申請・届け出が必要です。セカンドハウスは住民票を移さないことも多いため、そのままでは別荘と判別が付きません。そのため、セカンドハウスとして認定してもらうには、手続きとして物件を取得してから60日以内に都道府県税事務所へ申請し、市町村役場に毎月1泊2日以上の滞在を証明する書類を提出する必要があります。
具体的な例としては、月ごとに何日から何日まで滞在し、合計で月間何日滞在したかを申告する「家屋の利用状況に関する申告書」に電気の検針のお知らせや領収書を添付して申請するといったものになります。
ただし、申請方法や必要書類などは各自治体によって異なります。税制優遇を受ける場合は、あらかじめ確認してから購入しましょう。なお、申請しなければ優遇は受けられません。
維持費がかかる
生活拠点となる家が2軒あるということは、水道光熱費やインターネット料金などの生活費だけでなく、家の維持費も2軒分かかります。特に不動産を所有している場合、毎年固定資産税や都市計画税などを納税する必要がありますが、2軒所有していれば、税金も2軒分です。
また、たとえば一戸建てのセカンドハウスを購入した場合、時間がたつにつれ、屋根や外壁など建物の修繕が必要になります。マンションの場合は、管理費や修繕積立金などの維持費が必要です。古くなった建物や設備は一戸建てやマンションにかかわらず修繕や交換が必要になるでしょう。さらに、自宅と違い不在である時間が長ければ、防犯カメラといった防犯対策に必要な費用が出てくるかもしれません。
一般的な住宅ローンを利用できない場合がある
セカンドハウスは、主たる生活拠点となる住まいではないため、購入の際、セカンドハウスの目的によっては、一般的な住宅ローンの利用対象外となってしまいます。たとえば、単に余暇として週末を過ごすためのセカンドハウスの場合は、一般的な住宅ローンを利用できないことが多くなります。
子どもや親が普段生活するためのセカンドハウスであれば、一般的な住宅ローンを利用できる金融機関もありますが、そのほかに、条件を満たせば利用できるセカンドハウス専用の住宅ローン「セカンドハウスローン」があります。セカンドハウスローンを扱う金融機関は、一般的な住宅ローンを扱う金融機関に比べると限られるので、注意しましょう。
なお、余暇を過ごすことを目的としたような別荘の場合には、このセカンドハウスローンも利用できません。
セカンドハウスは賃貸か購入か
セカンドハウスを持つ場合、購入するのがよいか、賃貸住宅を利用するのがよいかは、人によって異なります。それぞれにメリットや注意すべき点があるため、それらを踏まえたうえで、自分に向いているのはどちらであるかを検討しましょう。
購入・賃貸の別 | 購入 | 賃貸 |
---|---|---|
メリット | 資産となる | 初期費用や維持費が比較的低く、保有しやすい |
リフォームやリノベーションがほぼ自由にできる | 転居しやすい | |
注意点 | 購入費用が高額で、一定の自己資金が必要 | リフォームやリノベーションが自由にできない |
住宅ローンを利用した場合は、転居が簡単にできない | 賃貸条件がある |
購入する場合
購入する場合の大きなメリットは、住宅を資産として保有できることです。将来、本宅として老後の住まいにしたり、子どもへ引き継いだりできます。また、売却したり賃貸住宅として家賃収入を得たりといった方法で老後の生活費を確保することもできるでしょう。加えて、購入した場合は、内装や設備をほぼ自由にリフォームできます。
一方で、セカンドハウスの利用目的によっては、一般的な住宅ローンよりも金利が高くなったり、融資審査が厳しくなったりするなどの注意点もあります。また、不動産を所有した場合、不動産取得税や固定資産税、都市計画税を納めなくてはなりません。ただし、一定の要件を満たせば税制上の優遇措置も受けられるため、事前に確認するとよいでしょう。
賃貸住宅を利用する場合
賃貸住宅を利用する場合は、購入と比べて初期費用が少なく、セカンドハウスを持ちやすくなります。また、賃貸住宅であれば家賃は発生しますが、建物の修繕費や固定資産税などはオーナーが負担するため、維持費は比較的少なくて済むでしょう。
一方、購入する場合と異なり、リフォームやリノベーションを行うことが難しい点には、注意しましょう。さらに、賃貸住宅としての条件があり、家賃の上昇といった経済的な条件の変更などにも注意が必要です。
セカンドハウスの税制上の優遇措置
冒頭でも紹介したとおり、セカンドハウスを購入した場合、別荘ではなくセカンドハウスと認められ、一定の要件を満たすと、税制上の優遇措置を受けられます。具体的には以下の通りです。
税金・特例 | 優遇措置の内容 |
---|---|
固定資産税 | 土地や建物の面積に応じて定められた減額率を「課税標準額」にかけたものをもとに固定資産税額が算出される |
都市計画税 | 課税標準額に減額割合をかけた額をもとに都市計画税額が算出される |
不動産取得税 | 課税標準額の軽減と軽減税率が適用される |
各種認定住宅に関する特例措置 | 一定の条件を満たした認定長期優良住宅や認定低炭素住宅の新築住宅を建てた場合、あるいは中古住宅を取得した場合に、各種税金の軽減措置を受けられる |
リフォームに関する特例措置 | 一定の耐震改修や省エネ改修などによるリフォームでは固定資産税の軽減措置を受けられる |
セカンドハウスとして認められるために、月1日(1泊2日)以上の居住実態を証明するものとして、郵便物や電気・ガス・水道などの使用料領収書の提出を求められることがあります。そのほか、認定される要件として「自宅から一定以上離れていること」も挙げられます。
なお、セカンドハウスの立地は海辺や山間などどこでもよく、別荘地にあっても問題ありません。加えて、一戸建て、マンションいずれでもかまいません。
セカンドハウスに関するよくある質問
最後に、セカンドハウスに関連する質問に回答します。
- 住民税はどうなるの?
- セカンドハウスローンでも住宅ローン控除を受けられる?
- セカンドハウスのおすすめの探し方は?
住民税はどうなるの?
定住していない場合でも「住民税」は納付しなければなりません。通常、住民税は、前年の所得金額に応じて納税する「所得割」と、住民が全員同額を負担する「均等割」を合計した税額になります。セカンドハウスの場合、住民票の登録はしないものの、均等割のみ負担することになります。
均等割として納付する金額は地域により異なりますが、市区町村民税が3,500円程度、都道府県民税が1,500円程度です。また、2024年度からは、国税である「森林環境税」が住民税の均等割に1,000円上乗せされる形で徴収されますが、自治体によっては標準税率以上の金額となっているところもあります。
セカンドハウスローンでも住宅ローン控除を受けられる?
セカンドハウスローンを組む場合、住宅ローン控除は受けられません。セカンドハウスは住民票のあるメインの生活拠点ではないため、セカンドハウスローンは控除の対象外となってしまいます。
セカンドハウスのおすすめの探し方は?
セカンドハウスの購入を検討しているものの、理想の物件がなかなか見つからないという方は、物件検索サイトである長谷工の住まいをぜひご活用ください。長谷工の住まいでは、エリアや入居時期、特徴などから簡単にご希望条件を絞り、物件を検索できます。
また、長谷工の住まいアドバイザーに相談するのもおすすめです。知識豊富なアドバイザーがお客さまのご希望条件をヒアリングし、おすすめの物件をご紹介します。セカンドハウスに興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※1出典:総務省「地方税法施行令」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325CO0000000245
(最終確認日:2024年9月3日)
※2出典:国土交通省「住宅宿泊事業の用に供する家屋又はその部分の敷地の用に供する土地に対する住宅用地特例の適用について(通知)」
https://www.mlit.go.jp/common/001236733.pdf
(最終確認日:2024年9月3日)