マンション購入ガイド
ペントハウスとは?高級マンションの最上階に広がる別世界を知ろう
ペントハウスのあるマンションが近所にできて、気になっています。ペントハウスはどういう造りになっているのですか?ペントハウスで暮らすと、どんなよいことがあるのか興味があります。教えてください。
ペントハウスは、マンションを始めとした建物の、最上階に造られる特別仕様の高級な住戸のことを指します。ペントハウスには、上階がないことに加えて眺望がよい住戸が多く、新築で建築中のマンションでは、早期契約する場合、購入する人が間取りを自由にできる住戸もあります。最上階のためよりプライバシーを気にせず、開放的で洗練された空間での暮らしを楽しむことができるでしょう。
情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸
目次
ペントハウスとは?
海外ドラマや映画で「ペントハウス」と呼ばれる豪奢な住戸を見たことがある人でも、ペントハウスについて具体的に説明するのは難しいかもしれません。ペントハウスの語源はラテン語で、「appendicium」で「付属建造物」という意味があります。一般的にペントハウスというときには「マンションの最上階にある豪華な住戸」、「ホテルの最上階のスイートルーム」、「屋上にある塔屋」、「屋上にあるエレベーター機械室や給水タンク置場」などさまざまな意味があります。
今回は、ペントハウスが表すそれぞれの意味と、ペントハウスに暮らすメリットなどについてご紹介します。
マンション最上階にある豪華な住戸
「ペントハウス」というとき、日本では高級マンションの最上階に造られた特別な住戸を指すことが一般的です。イメージとしては海外映画に出てくるような富裕層の邸宅をイメージすると分かりやすいかもしれません。
また、ペントハウスは同じマンション内のほかの住戸のような仕様ではなく、ほかの住戸とは違う特別な仕様になっています。では、ペントハウスによく見られる特徴をご紹介しましょう。
●ペントハウスに多い特徴
・最上階に1戸から数戸と限定的である
・間取りが特別仕様になっている
・専有面積が100m2以上あるのが一般的で、200㎡、300㎡以上もよくある
・最上階ワンフロアを専有している住戸がある
・エレベーターや廊下などが専用となっていることがある
・天井が高かったり、窓の開口部が大きかったりする
・ほかの住戸とは違う素材、設備が使用されている
・ジェットバスやサウナなど特別な設備が付いていることがある
・メゾネット形式で上階と繋がり2階分を使用していることがある
・新築の場合は間取りを自由にすることができるものがある
・低層マンションではルーフバルコニーが付いていることがよくある
●メゾネットタイプに関する記事はこちら
メゾネットタイプの概要やメリット、注意点についてご紹介しています。
●ルーフバルコニーに関する記事はこちら
ルーフバルコニーの概要やメリット、注意点についてご紹介しています。
建物の最上階に作られた小さな塔屋を指すこともある
ペントハウスには、ほかにも「屋上にある設備小屋のこと」を意味している場合があります。設備とは、たとえば階段やエレベーター、空調機器、給水タンク、備品倉庫などです。ペントハウスの基本的な意味として「最上階、屋上」といった建物の一番上にある「『小屋』『部屋』」というものがありますので、その意味では設備の設置された小屋をペントハウスといってもおかしくありません。
また、「ホテルの最上階のスイートルーム」を指すこともあり、マンションの最上階の特別な部屋と同様に最上階にある高級な部屋という意味では同じです。
このようにペントハウスには、まったく異なるさまざまな意味があります。今回は、このうち、ご質問にあった「マンションの最上階にある高級な住戸」を表すペントハウスについて詳しく解説していきましょう。
ペントハウスで暮らす5つのメリット
マンションの最上階に造られた特別仕様の住戸で暮らすと、どのようなメリットがあるのでしょう?ペントハウスで暮らすメリット5つをご紹介します。
[ 1 ] 眺望がよい場合が多い
ペントハウスは、マンションの最上階にあるので、優れた眺望の物件が多くなっています。さらに、面積も広く、フロアに限られた戸数しかないため、多方向に窓があったり、窓の面積も大きいなど、より優れた眺望を室内から満喫できる工夫がなされていることも多いですよ。
[ 2 ] プライバシーが守りやすい
ペントハウスは、最上階にあるだけでなく、フロアには1戸〜数戸程度しかない造りが多いため、プライバシーが守りやすい住環境にあるといえます。また、上階には人が住んでいないうえ、隣に住戸があっても音への対策がなされていることが多いので、他人の生活音が気になることもほとんどありません。このように騒音トラブルが発生しにくいこともメリットといえるでしょう。
[ 3 ] 空間を広く取りやすい
ペントハウスは、基本的に面積が大きく空間を広く取った贅沢な物件です。最上階であることから、設計段階で天井を高くしたり、2層分の住居をメゾネット式にして2階建ての住居のような仕様にすることも可能です。また、眺望のよさやプライバシーが守られるメリットを活かして、大きな窓を設けている物件もよく見かけます。
こうした普通とは違う開放感のある空間で暮らせることは、ペントハウスの魅力の1つでしょう。
[ 4 ] 特別感がある
これまでご紹介したように、ペントハウスは特別な住戸になっており、ほかに同じ造りの住戸は存在しません。内装についても基本仕様でもハイグレードな仕様の床材や建具、設備などが採用されており、最近のペントハウスでは購入者の希望に合わせて内装を造るケースが多くなっています。
当然ながらその分、価格も相当に高価なものになります。ほかにはない自分だけの空間を所有するという特別感を得られることもペントハウスのメリットといえます。
[ 5 ] 資産価値が落ちにくい
ペントハウスは、好立地や人気の高いエリアに建つマンションで販売されることがほとんどで、最上階というその建物では唯一無二の位置にあり、内装や設備などの仕様も最上級なものが多いでしょう。こうした物件は数が限られ、ほとんど流通しないことから希少性もあるため、資産価値が落ちにくい傾向があります。
このようにペントハウスでは、贅沢な住空間とそれに見合う資産価値を含めて、非常に優れたメリットを感じられるポイントがいくつもあります。「住んでみたい」と憧れを持つ人もいるかもしれませんが、ペントハウスに住むのはよいことばかりなのでしょうか?
ペントハウスで暮らす4つの注意点
その特殊性もあり、多くのメリットを感じられるペントハウスですが、よい面ばかりではありません。では、どんな不安点があるのでしょうか?ここでは、ペントハウスで暮らす前に知っておきたいポイントを見ていきましょう。
[ 1 ] 物件価格が高い
ペントハウスは、販売価格が同じマンションのほかの住戸や近隣の一般的な価格相場と比較して高いといえます。賃貸住宅として借りる場合でも、相場の賃料と比べて格段に高い賃料となります。
物件価格が高くなる理由の1つは、ペントハウスの物件数自体が少ないことです。ペントハウスが造られるのは、好立地に建てられたハイグレードマンションの最上階に1戸~数戸程度です。そのため、そもそも対象となるマンションが限られるうえに、最上階に数戸という非常に希少性が高い分価値が高くなります。加えて、ペントハウスは床材や建具、壁紙などの内装の素材のほか、キッチンや浴室などにもグレードの高いものを使用していることも、価格が高くなる理由の1つに挙げられます。
さらに、ペントハウスの付きのマンションは、主に都市部や高級リゾート地など人気の立地に建てられるため、もともと近隣の不動産の価格相場自体が高い傾向もあります。
[ 2 ] 管理費や修繕積立金が高い
ペントハウスは、同じマンションのほかの住戸に比べてマンションの管理費や修繕積立金が高くなる傾向があります。
マンションの管理費や修繕積立金は専有面積に応じて負担する費用が決まるため、面積の大きなペントハウスはその分管理費や修繕積立金といった負担が大きくなります。ほかにも、室内の空間にゆとりがある分、冷暖房や照明などの光熱費が多くかかる傾向があります。
ただし、ペントハウスを望む人はあまりこうした費用については、気にしない人が多いともいえます。
[ 3 ] 風の影響を受けやすい
最上階にあるペントハウスは、下層・中層階よりも風や日照りなどの天候の影響を受けやすい位置にあるといえます。ただし、通常、グレードの高いマンションでは、一層、環境に対する配慮がなされているので、基本的に心配となることはほとんどありません。
[ 4 ] 災害時に不便な可能性がある
ペントハウスはマンションの最上階にあるため、災害時に不便になる可能性があります。たとえば、地震や停電でエレベーターが停止してしまうと、階段を利用することになり、最上階からの非難に時間を要してしまう可能性があります。
ただし、グレードの高いマンションでは、災害時に備えて非常用電源が設置されていることも多く、余程大きな災害でなければ、エレベーターやマンション共用部の電源は維持される可能性は高いと思われます。それでも、災害時はやはり階段を使ったほうが安全なので、その意味では不便は発生し得るでしょう。
ペントハウスにはこうした不安点があるものの、魅力的なメリットがあり、特に不安な点は経済的なものなので、それが気にならない経済的余裕のあるセレブが住まいに選ぶのですね。
ペントハウスは物件情報が少ない
今回はペントハウスについてメリットや注意点をご紹介しました。
ペントハウスは、本当に限られた贅沢な住宅です。海外ドラマや映画で見た人は、ペントハウスでの暮らしに憧れる人もいることでしょう。実際にペントハウスに住みたいと思ったら、どうしたらよいのでしょうか?
ペントハウスは、これまでご紹介したようにそもそもの物件数が多くありません。また、都内の新築物件であれば、立地や仕様によって異なりますが、価格は簡単に数億円、中には十数億円となるため、購入可能な特定の人にのみ紹介される物件です。
ペントハウスまではいかなくても、マンションの最上階にある住戸も人気となる傾向があります。
今回はペントハウスについてご紹介してきましたが、ペントハウスとはいわなくても特徴のあるマンションに住んでみたいという人は、「タワーマンション」や「デザイナーズマンション」、「ヴィンテージマンション」といった種類の特徴のあるマンションも検討してみるとよいでしょう。それぞれの特徴を簡単にご紹介します。
タワーマンション | 明確な定義はないものの、一般的には20階以上あり、高さが60mを超えるマンションがタワーマンションと呼ばれます。立地がよく、上層階の眺望は優れており、共用施設が充実している一方で、管理費や修繕積立金が高い傾向があり、エレベーターの混雑や災害時の避難が大変な可能性がある点には注意が必要です。 |
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デザイナーズマンション | 本来は、著名建築家やデザイナーのコンセプトを反映したマンションをいいます。建物の外観や内装などのデザイン性が高い一方で、デザインが独特で、好き嫌いがはっきりする傾向もあります。また、デザイナーズマンションには定義がないので、単にデザインが独特なだけで特に著名な建築家やデザイナーによるデザインではない場合もありますので注意が必要です。 |
ヴィンテージマンション | 築年数が経ってもなお人気の高いマンションです。新築当時から将来を想定し、時を経ても普遍的で、管理の行き届いた物件が多く、人気があるため資産価値も下がりにくい一方、建物や設備の維持のために管理費や修繕積立金が高い傾向があるため注意が必要です。 |
このように、ペントハウス以外にも特徴のあるマンションがあります。自分のニーズに合った物件がどんなものかよく調べ、理想のマンション選びに活用しましょう!
●マンションの最上階での暮らしに関する記事はこちら
マンションの最上階で暮らす魅力とメリットと注意点を解説しています。
●タワーマンションに関する記事はこちら
タワーマンションを購入する際に知っておきたいポイントをご紹介しています。
●デザイナーズマンションに関する記事はこちら
デザイナーズマンションの概要やメリットや注意点についてご紹介しています。
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ヴィンテージマンションの魅力についてご紹介しています。
情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸
不動産サポートオフィス
代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。不動産コンサルタントとして、物件の選び方から資金のことまで、住宅購入に関するコンサルティングを行なう。
HP:http://2103-support.jp/?page_id=14