長谷工の住まい HASEKO URBEST

長谷工アーベストの新築マンション等住まい検索サイト

MENU

マンション購入ガイド

Question

譲渡所得とは?不動産売却にかかる税金について解説

マンションを売ろうと思っています。住宅を売って得た利益は「譲渡所得」になると聞きましたが、これには所得税がかかるのでしょうか?

Answer

不動産を売って利益が出た場合、その利益は「譲渡所得」とみなされ、課税対象になります。売った不動産の所有期間によって「短期譲渡」または「長期譲渡」に分類され、税率が変わります。また、一定要件を満たすと「特別控除」や「特例」がありますので、確定申告で申請しましょう。

情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二

目次

譲渡所得とは?

転勤による引越しや住宅の買い替えで、一戸建てやマンションなどのマイホームを売ることになったとき、できるだけ手元にお金が残るようにしたいですよね。不動産を売ると大きな利益が見込めますが、不動産を売却して得た利益は「譲渡所得」とみなされます。この譲渡所得には、譲渡所得税を始め、いくつかの税金がかかります。不動産の売却は大きな金額のため「税金はいくらかかるのか?」「税金を安くする方法はないのか?」と、いろいろと気になることでしょう。

そこで、今回は不動産を売った場合の譲渡所得税とはどんな税金なのか、そのほかどんな税金がかかるのか、詳しくご紹介します。また住宅の売却で損をしないよう、特別控除や特例についてもご説明します。

譲渡と確定申告の書類
※イメージ写真

資産を売って得た利益
譲渡所得とは、土地や建物などの資産を売却して得た利益のことをいいます。譲渡所得は不動産を売った金額がそのまま譲渡所得の金額になるのではなく、取得費や譲渡費用を差し引いた「利益分」の金額です。

ちなみに土地や建物以外に、株式やゴルフ会員権といった財産を譲渡した際の利益も「譲渡所得」に含まれます。ただし、不動産業者が販売の目的で所有している事業用地や建物の不動産、山林を立木のままで譲渡する売買で生まれる利益は譲渡所得には含まれません。

譲渡所得は計算式によって求められる
譲渡所得を割り出すには、住宅や土地を売却した金額から、購入した金額を差し引きます。

「収入金額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額= 課税譲渡所得金額」※1

・収入金額:住宅や土地を売った金額
・取得費:住宅や土地を買ったときに支払った金額
・譲渡費用:売る際にかかる金額
・特別控除:マイホームを売ったり、公的な事業で土地や建物を売ったりした場合に、一定条件をクリアしていると受けられる税金の控除のこと

取得費と譲渡費用に含まれる主な内容は以下の通りです。

●主な取得費
・土地・建物の購入金額(ただし、建物は減価償却後の価額です。)
・購入時に支払った測量費
・新築した際の設計料
・設備費
・購入する際の税金(登録免許税、不動産取得税、印紙税)
・購入時に支払った不動産会社への仲介手数料など

●主な譲渡費用
・売却時に支払った不動産会社への仲介手数料
・売却時の売買契約書に貼った印紙税
・取り壊し費・整地費
・借家人に支払う立ち退き料
・売買契約締結後に支払った違約金
・借地権の名義書換料など

取得費のうち、土地代は購入した金額がそのまま適用されますが、建物の金額は減価償却費を差し引いた金額になります。「減価償却費」とは、建物の劣化に伴って出される費用のことです。建物は時間がたつにつれて劣化し、価値が下がるので、その分を差し引いて計算しなければなりません。

家の模型と計算機とお金
※イメージ写真

税金がかかる
住宅を売って得た譲渡所得には、税金がかかります。住宅を売却した場合、必要な場合は売却の翌年に確定申告をしなければなりません。譲渡所得に課税されるのは、「所得税」「住民税」「復興特別所得税」の3つです。

なお、所得税と住民税は、譲渡所得に税率をかけて計算されます。税率は、不動産を譲渡した年の1月1日を基準に計算した所有期間によって異なります。所有期間は以下のように、「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」に分かれます。

・短期譲渡所得:所有期間5年以下の場合
・長期譲渡所得:所有期間5年超の場合

それぞれの税率や内訳については、次の章で詳しく解説します。

なお、不動産取得税については、以下の記事で詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。

●不動産取得税に関する記事はこちら

不動産取得税はいくらかかる?軽減措置も併せてご紹介
不動産取得税はいくらかかる?軽減措置も併せてご紹介

不動産取得税の計算方法や軽減措置についてご紹介しています。

譲渡所得にかかる税額の計算方法は?

先に述べたように、住宅を売って得た譲渡所得には所得税、住民税、復興特別所得税の3種類の税金がかかります。実際にどのくらいの税金がかかるか気になりますよね。短期譲渡所得、長期譲渡所得、それぞれの場合の税率や内訳は、どのようになっているのでしょうか?ここからは、譲渡所得にかかる税額の総額を出す計算方法についてお伝えします。

計算機とノート
※イメージ写真

短期譲渡所得(所有期間5年以下)の場合※2

「課税短期譲渡所得金額×39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)」

短期譲渡所得の税率は30%です。東日本大震災を受けて、2037年まで復興特別所得税として税率の2.1%も納税に加わるため、短期譲渡所得の税率30%×2.1%で0.63%が課税されています。また、短期の場合は9%の住民税も加算されるため、税率は合計39.63%になります。

長期譲渡所得(所有期間5年超)の場合※3
売却する不動産の所有年数が5超の場合は、長期譲渡所得となり、税金の総額は以下の計算式で出すことができます。

課税長期譲渡所得金額×20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

長期譲渡所得の税率は15%です。さらに、2037年まで復興特別所得税として税率が0.315%加わります。また、長期譲渡所得の場合の住民税は5%になるため、税率は合計20.315%になります。

ビルと税金
※イメージ写真

マイホームの軽減税率の特例が適用される場合※4※5
売却した不動産の所有期間が10年超の場合はマイホーム軽減税率の特例が適用できます。3000万円特別控除後の譲渡所得が6000万円以下の部分は、長期譲渡所得の税率より低い税率が適用されます。

マイホームの軽減税率の特例を受けるためには、所有期間以外にも細かい要件が指定されています。詳しくは、国税庁のホームページで確認しましょう。このときの税金の総額は、以下の計算式で出すことができます。

譲渡所得×14.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%+住民税4%)

マイホーム軽減税率の特例が適用された際の所得税の税率は10%です。さらに、2037年まで復興特別所得税として税率が0.21%加わります。また、この場合の住民税は4%になるため、税率は合計14.21%になります。
なお、マイホーム軽減税率の特例を適用しても、3000万円特別控除後の譲渡所得が6000万円超の部分は、長期譲渡所得と同じ税率になりますよ。

7つの特別控除で納税をお得に!

譲渡所得にかかる税金は、特例や特別控除によって税額を少なくできる場合があります。できるだけ納税額を抑えて手元にお金を多く残すためにも、どのような控除があり、自分の不動産にはどの控除が適用できるかを知っておきたいですよね。

ここでは、不動産を譲渡した場合に使える主な7つの控除や特例について、その内容と条件を説明していきます。控除や特例には、併用ができないものもありますので、内容と条件を確認し、控除額が多いものを優先してくださいね。自分がどの控除を使えばよいか分からない場合は、税務署や税理士に相談してみるとよいでしょう。

計算機を持つ女性
※イメージ写真

[ 1 ] マイホームを譲渡した場合
先ほど出てきた「マイホームの軽減税率の特例」とは別に、マイホームを売った際、所有期間にかかわらず受けられる特別控除があります。これはマイホーム、つまり居住用財産に限り、譲渡した場合、最高3000万円の特別控除を受けられるという特例です。

なお、マイホームの軽減税率の特例を受けていても併せて受けることができますが、購入する住宅に対して節税効果のある住宅ローン控除と同時に併用ができませんので注意しましょう。

[ 2 ] 譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例
マイホームを売った結果、損失が出てしまった場合、それを「譲渡損失」といいます。もし、住宅の買い替えによって譲渡損失が出てしまう場合、一定の条件を満たせば特例として損益通算、加えて繰越控除を受けることができます。

●損益通算
2025年12月31日までにマイホームを売って譲渡損失が出てしまった場合、その年の給与所得や事業所得など、ほかの所得から控除することができます。これを損益通算といいます。

●繰越控除
損益通算をしても譲渡損失を補えない場合は、譲渡した翌年から3年以内に繰り越して控除を受けることができます。

[ 3 ] 特定の居住用財産の買換えの特例
2025年12月31日までに一定の条件を満たす居住用財産を譲渡し、譲渡した年かまたはその前年もしくは譲渡した翌年の12月31日までに代わりとなる一定の条件を満たすマイホームに買い替えた際、売却代金以上のマイホームを購入する場合は譲渡益への課税を将来に繰り延べることができ、売却代金以下のマイホームを購入する場合は、その差額にだけは、繰り延べできず課税される制度です。

なお、この特例も購入住宅に利用できる住宅ローン控除との併用はできません。さらにマイホームの軽減税率の特例、3000万円特別控除との併用もできないようになっているので、条件の確認が必要です。

家の模型を手渡す人の手
※イメージ写真

[ 4 ] 相続や遺贈などにより取得した空き家を譲渡した場合
相続によって空き家を譲渡した場合、要件を満たしていれば3000万円特別控除が適用されます。
必要となる主な条件は以下のとおりです。

・2027年12月31日までにおいて相続開始から3年目の12月31日までに譲渡したとき
・被相続人が亡くなった時点で居住していたこと(ただし、老人ホームの入所等一定の場合を除く)
・1981年5月31日以前に建築した建物と敷地
・マンション以外の家屋であること
・相続から譲渡までの間事業・貸付・居住をしていないこと
・売却代金が1億円以下であること

詳しい適用要件や手続きに関しては国税庁のホームページ※6をご覧ください。

[ 5 ] 2009年、2010年に取得した土地を譲渡した場合
2009年1月1日から2010年12月31日までに取得した土地を、売却時点の年の1月1日時点で所有期間が5年超を超えるときに売った場合、1000万円の特別控除を受けることができます。ただし、譲渡所得自体が1000万円未満の場合は、譲渡所得額=控除額になります。なお、ほかの譲渡所得の特例との併用はできません。

[ 6 ]公共事業のために土地を譲渡した場合
道路整備や河川改修などの公共事業に活用するため収用権(その土地を強制的に取得する権利)によって自分の不動産を売った場合、課税には2つの特例があり、どちらか1つだけを受けることができます。

1つ目の特例は、ほかの土地建物に買い換えたときは譲渡がなかったものとする特例です。つまり、自分の資産を売ったあと、代わりの資産を買った場合に適用されます。自分の不動産を売った金額と代わりの資産を買った金額を比較して、買った金額のほうが高かった場合、所得税は将来に繰り延べられ、「その年の譲渡所得はないもの」とみなされます。逆に売った金額のほうが高い場合には、差額が譲渡所得とみなされ、課税されます。

2つ目の特例は、譲渡所得から最高で5000万円までの特別控除を差し引く特例です。
要件として固定資産であること、同じ年の間に上記の1つ目の特例を受けていないことなどが挙げられます。
また、公共事業による特例は、2年以上にまたがって資産を売る場合は、初年度の金額しか特例を受けられないことになっています。

[ 7 ] 特定土地区画整理事業等のために土地を譲渡した場合
国または公共団体が、再開発を目的として土地の区画整理をするために、自分の住宅を売るケースです。この場合は、2000万円までの特別控除を受けることができます。

この控除が適応される場面は幅広く、公的な事業計画のために公的な団体に土地を売るさまざまなシチュエーションが存在します。
主なものには、国や地方公共団体が行う土地区画整理事業、住宅街区整備事業等が行う土地の整備の事業に供するために買い取られるケースが挙げられます。

●併せて知っておきたい住宅ローン控除に関する記事はこちら

【最新】住宅ローン控除とは?2022年度税制改正のポイントもチェック
【最新】住宅ローン控除とは?2022年度税制改正のポイントもチェック

住宅ローン控除の概要や最新情報についてご紹介しています。

住宅ローン控除を受けるための確定申告の仕方とは?
住宅ローン控除を受けるための確定申告の仕方とは?

住宅ローン控除を受けるための確定申告の仕方についてご紹介しています。

譲渡所得の税金と特例を知って賢い売却を!
計算機をする女性
※イメージ写真

これまで見てきたように、土地や建物などの不動産を売って得た譲渡所得には、税金が課せられます。しかし、譲渡所得にかかる税金には特例や特別控除が設けられており、節税をすることができるのです。

自分が土地や住宅を売る際には、それぞれの特例の要件をしっかりと確認し、控除額が多い優先順位を整理してみてください。それぞれの適用条件や併用できる控除などについては、国税庁のホームページ※7で確認できます。分離課税分の書き方も確認して、確定申告で賢く節税しましょう。

なお、住まいの買い替えを始め、不動産を売買する際に必要になる知識については以下の記事で知ることができますので、ぜひ参照してみてくださいね。

●買い替えに関する記事はこちら

マンションの買い替えは何から始める?タイミングや費用を紹介
マンションの買い替えは何から始める?タイミングや費用を紹介

マンションの買い替え時期や費用についてご紹介しています。

●登記簿登記に関する記事はこちら

登記簿謄本を取得する方法は?不動産を売るなら早めに準備しよう
登記簿謄本を取得する方法は?不動産を売るなら早めに準備しよう

不動産を売却する際にやるべきことをお伝えしています。

●不動産売買・リフォームの前に知っておきたい基礎知識に関する記事はこちら

インスペクションの意味は?不動産の売買前に知っておきたい基礎知識
インスペクションの意味は?不動産の売買前に知っておきたい基礎知識

インスペクションの概要やメリットについてご紹介しています。

※1 出典:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1440.htm
(最終確認:2024年2月13日)

※2 出典:国税庁「短期譲渡所得の税額の計算」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm
(最終確認:2024年2月13日)

※3 出典:国税庁「長期譲渡所得の税額の計算」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm
(最終確認:2024年2月13日)

※4 出典:国税庁「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm
(最終確認:2024年2月13日)

※5 出典:東京都主税局「個人住民税の概要」
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/kojin_ju.html
(最終確認:2024年2月13日)

※6 出典:国税庁「平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3225.htm
(最終確認:2024年2月13日)

※7 出典:国税庁「譲渡所得の特別控除の種類」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3223.htm
(最終確認:2024年2月13日)

情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二

株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、不動産キャリアパーソン、中小企業診断士。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングを行う。

HP:https://grow-profit.net/