マンション購入ガイド
延床面積とは?含まれない部分や広さの目安を解説
家を建てるために土地を購入してあります。どんなマイホームにしようかと毎日考えていますが、ハウスメーカーの資料に「延床面積」という用語がありました。不動産用語には「面積」がつくものが多く分かりにくいので、延床面積とは何かを教えてもらえますか?
延床面積とは、建物各階の床面積の合計のこと。ロフトやバルコニーは含まれません。マイホームを建てるときなどに部屋の面積を広く取りたい場合は、延床面積に含まれない部分を上手に利用するという方法もあります。
情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二
目次
延床面積とは?
夢のマイホームを建てることになったら、できれば広い家がいいな、と考える人もいることでしょう。そんな家の広さに深くかかわってくるのが「延床面積」です。ここでは、延床面積が一体どのようなものなのか具体的に見ていきましょう。
延床面積は床面積の合計
延床面積とは、建物各階の床面積の合計のことを表します。「建物面積」や「延べ面積」ともいわれます。面積を出す際は、壁あるいは柱の中心を基準として算出します。
そのため、家の面積を大きくゆったりと取りたい場合には、延床面積を大きくすればよいということです。しかし延床面積が大きくなると、それに比例して値段も高くなる傾向があります。
延床面積に含まれない部分がある
いくら延床面積と値段が比例する傾向があるといっても、「できるだけ値段は抑えて、広い家にしたい…」と思いますよね。
実は、家の敷地の中でも延床面積に含まれない部分があります。もし延床面積を増やせない場合でも、延床面積に含まれない部分を利用すれば、さらに広々とした家にすることが可能です。ただし、延床面積に含まれない部分が増えすぎると、その分、知らない間に値段が高くなってしまうこともあるので注意が必要です。では、延床面積に含まれないものや例外には、どんなものがあるのか、見ていきましょう。
●ロフト
ロフトは「小部屋収納」ともいいます。天井の高さが1.4m以下ではしごが固定されていなければ延床面積に含まれません。ロフトの面積は、ロフトがある階の1/2以下の面積であることが条件となります。ロフトの分だけ建築費は増えますが、空間を増やすことはできます。
●玄関ポーチ、庇(ひさし)、バルコニー、ベランダ
手すりや外壁などで囲まれていない玄関ポーチ、庇、バルコニーやベランダは延床面積には含まれません。ただし庇やバルコニーは外壁から2mを超える場合、超えた部分は延床面積に算入されます。
外壁から2m以下であれば延床面積には含まれませんが、庇やバルコニーを造る以上、その分は建築費がアップします。
●外部階段
外付けの外部階段は延床面積には含まれません。外部階段の面積の分、広い建物を造ることができます。
●吹き抜け
床がなければ延床面積には含まれません。縦に広がりを感じる吹き抜けは、圧迫感が少ない、より開放的な空間造りに役立つでしょう。
●緩和措置(容積率不算入)で除外されるもの
容積率の緩和措置によって延床面積に含まれないものもあります。容積率とは、敷地の面積に対する延床面積の割合のことです。その容積率を計算するときには、緩和措置がいくつかあります。
たとえばビルトインガレージといって家の内部にある車庫は、延床面積の1/5以内であれば延床面積から除外されます。また地下室も天井が地盤面から1m以内であれば、住居部分の床面積の1/3までは延床面積には含まれません。
間違いやすい建築用語がある
家を買う際や建てる際に、延床面積と並んでよく出てくる用語があります。中でも「面積」についての用語は多数あり、分かりにくいですよね。よく出てくる「面積」用語をまとめて紹介します。
●建築面積
建物を真上から見たときの面積のことです。建坪(たてつぼ)ともいい、おおむね1階部分の面積に等しいといえます。ただし、2階が1階よりも面積が大きいときは、2階部分の大きさが建築面積となります。
●施工面積
バルコニー、玄関ポーチなど延床面積に算入されない部分を含めた面積。一般的には、延床面積よりも大きくなることが多いです。
●敷地面積
土地面積ともいい、真上から見たときの敷地の広さのこと。
延床面積に加えて、上に挙げた3つの面積はマイホームを購入する際には外せない用語です。それぞれの用語の違いをしっかり押さえておきましょう。
生活に必要な家の広さはどれくらい?
マイホームの建築を計画する際、家はどのくらいの広さにするとよいのか悩む人は多いでしょう。
国土交通省が発表している「住生活基本計画における居住面積水準」によると、住宅の平均坪数は30~40坪といわれています。1坪は約2畳、約3.3㎡に相当します。※1
また、国土交通省は、世帯人数に応じて健康で文化的な住生活を送れる基本水準(最低居住面積水準)と、世帯人数に応じて豊かな住生活を実現する基本水準(誘導居住面積水準)を発表しています。
3人家族の場合
最低居住面積水準:40㎡=約12.1坪(35㎡=約10.6坪)
誘導居住面積水準:100㎡=約30.3坪(87.5㎡=約26.5坪)
※()内は3~5歳児が1名いる場合
4人家族の場合
最低居住面積水準:50㎡=15.1坪(45㎡=約13.6坪)
誘導居住面積水準:125㎡=37.8坪(112.5㎡=約34坪)
※()内は3~5歳児が1名いる場合
この結果からも、30坪から40坪あれば一般的な家族が暮らしていく面積としては十分な広さといってもよいかもしれません。
都道府県別に見た場合
国土交通省発表の「一住宅当たり延べ床面積の都道府県比較」※2によると、都道府県別の1住宅当たりの平均的延床面積は、東京都が65.9㎡、神奈川県が78.24㎡、埼玉県で87.15㎡、千葉県では89.74㎡となっています。
ちなみに一番狭いのが東京都、最大が富山県の145.17㎡と、平均延床面積は地域によって大きな差があることが見て取れます。
延床面積と坪単価から家を建てる費用を知ろう!
家の広さの目安が分かったら、次に気になるのは費用ではないでしょうか?
マイホームを建てる費用のなかで大きな部分を占めるのが、建物本体の工事費(本体価格)です。1坪あたりの建築費のことを坪単価といいますが、一般的にはこの坪単価と延床面積から、本体(建物)価格を算出することができます。
本体(建物)価格=坪単価×延床面積
〈 例 〉
坪単価90万円、延床面積65.9㎡(約19.9坪)(東京都平均)の家を建てる場合
90万円×19.9坪=1,791万円
つまり、本体(建物)価格は1,791万円となります。
上の計算式を見て分かる通り、延床面積が大きくなれば本体価格は上がります。加えて、家を建てれば固定資産税をはじめとした税金を支払う必要があります。
延床面積が大きくなると本体価格が上がるとすれば、延床面積が小さくなると安くなるのでは?と考えますよね。
しかし、実はそうとはいい切れません。なぜなら、延床面積が小さくなると坪単価は高くなることが多いからです。
たとえ延床面積を小さくしてもバスルームやキッチンなどの設備を外すわけにはいきません。加えて、こうした水回りなどの設備はほかの場所に比べて割高です。そのため、延床面積が小さくなると、それらの設備の面積あたりの費用が高くなってしまう傾向にあるのです。
なお、坪単価の算出方法に明確なルールはなく、ハウスメーカーごとに基準が変わってきます。延床面積で工夫しても本体価格が大きく違う可能性もあります。
そうであっても、延床面積に入らない部分を上手に取り入れることにより、開放感があり広さを感じさせる家を造ることは可能です。快適ですてきなマイホームを目指し、いくつかアイデアを検討しながらしっかり計画しましょう!
※1出典:国土交通省「住生活基本計画における居住面積水準」
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h23/hakusho/h24/data/html/ns830000.html
(最終確認日:2024年10月24日)
※2出典:国土交通省「(2)一住宅当たり延べ床面積の都道府県比較」
https://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000002.html
(最終確認日:2024年10月24日)
情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二
株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、不動産キャリアパーソン、中小企業診断士。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングを行う。
HP:https://grow-profit.net/