マンション購入ガイド
デザイナーズマンションとは?メリットや注意点などの疑問にお答え!
マンションの購入を検討中です。一般的な雰囲気のマンションより、自分の好みにぴったりくる物件を…と思っていたところ、「デザイナーズマンション」をおすすめされました。なんとなくおしゃれなイメージは浮かびますが、普通のマンションとはどう違うのでしょうか?
デザイナーズマンションとは、デザイナーや建築家のコンセプトを反映したマンションのことです。ただし、明確な定義はなく、デザイナーズマンションを名乗るかどうかは販売側の裁量になります。そのため、内装や設備は物件によってさまざまです。好みの物件が見つかれば満足できる暮らし方が実現できますが、物件によっては注意点もあります。
情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸
目次
デザイナーズマンションとは?
不動産のポータルサイトや不動産会社のサイトを検索すると目にする機会がある、デザイナーズマンション。個性的なデザインで、重厚感のあるタイル張りの壁があって…というような、おしゃれなイメージが浮かんでくるでしょう。
ですが、「デザイナーズマンション」とはそもそも何を意味するのか、普通のマンションとどう違うのかといった具体的なことは、意外と知られていないものです。そこで今回は、そんなデザイナーズマンションの疑問にお答えします。また、デザイナーズマンションに暮らすメリットや注意点もご紹介します!
コンセプトを持って設計されたマンション
デザイナーズマンションとは一般に、「デザイナーや建築家によって、コンセプトを持って設計、建築されたマンション」を指します。ですが、法律的な根拠はなく、明確な定義もありません。つまり、不動産会社やオーナーがそう判断すれば、デザイナーズマンションになるのです。
そのため、デザイナーズマンションといっても具体的な内装や設備などは、物件によって大きな差があります。新築だけでなく、リノベーションされた中古マンションをデザイナーズマンションと呼ぶこともあります。
また、間取図では一人暮らし向けのワンルームや1LDKでも、実際に内見してみるとスタイリッシュで使いやすい工夫がされていることもあります。さらに、ペットを意識した物件で、猫専用のドアやキャットウォークがあるお部屋もあります。
2LDK~3LDK、メゾネットといった広い部屋になると、水回りや玄関など細部の色彩や空間まで統一され、洗練された暮らしのイメージが膨らむ魅力があります。なかにはユニークなテラスやバルコニーを備えた部屋もあるため、「おしゃれな庭を作りたい!」といった趣向に合わせてアレンジの仕方を考えるのも楽しいでしょう。
「ハイグレードマンション」との違いは曖昧
デザイナーズマンションとよく似たものに、「ハイグレードマンション」がありますが、デザイナーズマンションとは異なります。ハイグレードマンションは、一般的なマンションよりも外装や内装、設備などにこだわりがあり、コンシェルジュサービスやセキュリティに優れた高級物件の通称です。高級住宅地を始めとした一等地に建つことが多くあります。
しかしこちらも、デザイナーズマンション同様に明確な定義はありません。ハイグレードマンションでもデザインにこだわっていれば「デザイナーズマンション」と呼ばれる場合があり、2つの線引きは曖昧で、不動産業者やオーナーの判断にゆだねられます。なかには、ハイグレードデザイナーズマンションとすることもあります。
デザイナーズマンションは高価で都市部限定?
デザイナーズマンションは家賃も売買価格も、一般的な物件より高い印象がありますよね。東京や大阪、名古屋など都市部にしかないイメージもありますが、実際はどうなのでしょうか?
デザイナーズマンションの相場は高め
デザイナーズマンションの家賃や売買価格は、一般的なマンションより高くなる傾向があります。ほかにはないこだわりのデザインが反映されている分、付加価値が高いというのがその理由です。
デザインに凝っている分、実際に建物の建築費が高い場合もありますが、コストは抑えつつ、デザインによってうまく高級感を演出している物件もあります。イメージでは、家賃や売買価格は「高い」という印象になるかもしれませんが、その物件にしかない個性に惹かれるなら、検討の余地があるといえるでしょう。
また、少しでも家賃や購入価格を抑えてデザイン性の高い住宅に住みたい場合は、物件に対する条件を見直してみるのもよいでしょう。建物へのこだわりを重視し、路線や最寄り駅からの距離、専有面積や設備など、自分の希望する条件の優先順位のなかで建物以外の部分を譲歩して探してみるのがおすすめです。そうすることで、予算に合った物件を見つけることも可能かもしれません。
デザイナーズマンションがあるのは都市部だけではない
デザイナーズマンションは当初、家賃や売買価格の高い都市部の物件を中心に発展していきました。そのため、東京をはじめ各都市の中心部である「都市部にしかない」というイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、不動産情報サイトを検索すると、日本中に「デザイナーズ」と銘打った分譲マンションや賃貸マンションの物件情報が見つかります。賃貸住宅の中には、デザイナーズアパートもあります。
デザイナーズマンションの目的や特徴として、立地や面積などが似ている近隣の競合物件との差別化を図るため、物件独自の魅力があることが挙げられます。そのため、競合の多い地域であれば、地域を問わずデザイナーズマンションが存在するといえるでしょう。
デザイナーズマンションのメリットと注意点
おしゃれで魅力的なデザイナーズマンションですが、見た目にはすてきでも「住みにくいのでは…」と考える人もいるでしょう。実際、デザイナーズマンションの住み心地は、どうなのでしょうか?デザイナーズマンションに住むメリットや注意点を見てみましょう。
3つのメリット
デザイナーズマンションに住むメリットは大きく3つあります。詳しくご紹介しましょう。
●デザイン性
デザイナーズマンションのメリットといえば、なんといっても建物の外観や内装など見た目がおしゃれなことです。住まいの雰囲気を重視する人、「来客にすてきな家だと思われたい人」などには洗練されたデザイナーズマンションはぴったりでしょう。モダンなデザインから少し斬新なものまで、探すとさまざまな物件情報が出てきますよ。
●ライフスタイル
デザイナーズマンションに住むと、その物件でしか体験できないライフスタイルを楽しめます。「高い天井と螺旋階段のあるメゾネットマンション」「窓の大きな明るい室内に洗練されたシステムキッチン」といった個性的な空間と、自分の好みがぴったりマッチすれば、ほかのマンションにはない満足感のある生活を味わえるかもしれません。
●居住者
同じデザイナーズマンションに引かれて入居する人たちは、少なからず似たセンスを持っていたり、暮らしに対する考え方が似ていたりといった、共通点があるとも考えられます。「気の合う人たちが住んでいる可能性が高い集合住宅」であることも、デザイナーズマンションのメリットの1つかもしれません。
デザイナーズマンションに住むときの注意点
デザイナーズマンションに住むときには、以下のような点に注意が必要です。
●立地条件
デザイナーズマンションには、立地条件に多少不便さのある部分を、魅力的な建物のデザインでカバーしている場合があります。通勤や買い物などのライフスタイルを考え、どこまでデザイン性を重視するか冷静に判断するのがおすすめです。
●間取りや設備
デザイナーズマンションのなかには個性的で特徴的な間取りや設備が、実際に住んでみると不便に感じられる物件があるかもしれません。自分の暮らしを想定したとき、デザイン性だけでなく使い勝手はよいか、生活動線に支障はないかを考えてみるとよいでしょう。
多少の不便を覚悟するつもりでも、実際に暮らし始めると不満が大きくなってしまうこともあります。外観上の理由から洗濯物を干すベランダやバルコニーに日が当たらない、室内に収納が少ない、構造的に家具を設置しにくいといった問題点がある場合もあります。そうしたデメリットとなるものがないかも把握し、実生活面からも検討するようにしましょう。
●壁材
賃貸住宅のデザイナーズマンションによく使用されているコンクリート打ちっぱなしの壁ですが、湿度や日当たりなどの環境条件によっては見た目や暮らしに問題が発生する可能性があります。コンクリートが外壁に使われている場合は水垢による汚れが目立ったり、内装に使われている場合は結露やカビが発生しやすかったりという注意点があります。
ほかにも、独特の素材を使っていることによってメンテナンスの必要が出てくる場合があるかもしれないので、内覧の際に質問しておくと安心です。
こだわりを実現したい人にはおすすめ!
「住まいのデザインにこだわりがあって一般的な物件では満足できない」「ライフスタイルがはっきりしていて特徴のある物件に住みたい」という人にはデザイナーズマンションがおすすめです。住まいは長い時間を過ごす場所のため、仮に購入価格が少し高くなっても、気に入った空間で過ごせる時間はかけがえのないものです。気になるエリアのデザイナーズマンションを探してみると、いろいろなタイプのデザイナーズマンションが予算の範囲内で見つかるかもしれませんよ。
デザイナーズマンションの中には、間取りはシンプルであっても、実際に室内を見るとおしゃれな素材を使っていたり、細かなところまで行き届いた工夫が凝らされていることがあります。気になるデザイナーズマンションが見つかったら、積極的に内見をしましょう。
不動産情報をインターネットで探すなら「デザイナーズ」「マンション」という条件を入力するとよいでしょう。また、不動産会社に直接聞いてみると、自分では見つけられなかったよいデザイナーズマンションが見つかるかもしれませんよ。
気になる物件が見つかったら、第一印象は大切にしつつ、実際の住み心地を検討し、予算とも慎重にすり合わせることで、後悔のない決断ができるはずです。こだわりを実現し、満足できる住まいを探している方はぜひデザイナーズマンションを検討してみてくださいね!
情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸
不動産サポートオフィス
代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。不動産コンサルタントとして、物件の選び方から資金のことまで、住宅購入に関するコンサルティングを行なう。
HP:http://2103-support.jp/?page_id=14