マンション購入ガイド
都市計画税とは?概要と計算方法
新築マンションの購入を考えています。固定資産税とは別に、都市計画税というものがあると聞きました。都市計画税とは何のことでしょうか?この税金は固定資産税と一緒に納税しなくてはならないものですか?できれば計算方法も教えてください。
都市計画税とは、都市計画事業や土地区画整理事業に必要な費用に充てることを目的に都市計画区域内の土地・建物に課される税金(地方税)のことです。
情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸
目次
都市計画税とは?
都市計画税とは、固定資産税とともに原則的には市町村によって徴収される税金です(東京都の23区内は都税として徴収)。都市計画事業や土地区画整理事業に用いられ、道路の建設や上下水道の整備、公園の整備などに使用されます。
固定資産税は全ての土地、建物が対象になりますが、都市計画税は、都市計画法によって都市計画区域内のうち、“市街化区域”と指定された地域に所在する土地と建物が対象になる税金です。
市街化区域とは、既に市街地である区域、もしく10年以内で優先的に市街化を計画している区域のことと定義されています。
従って、固定資産税とは違って、都市計画税はかかる地域とかからない地域があります。ご自分の住まいが市街化区域かどうかを調べるには、自治体のホームページや窓口で確認できますが、わかりにくいこともありますので、不動産会社に聞いてみることをおすすめします。インターネットで検索する場合は、“市町村名 + 市街化区域”のキーワードを入れて検索すると、ホームページで公開している自治体であれば、簡単に検索できます。
都市計画税の納税者は、固定資産税と同じく、その年の1月1日時点の土地・建物の所有者となります。納税は、毎年4月~5月頃に固定資産税と都市計画税の額をそれぞれ計算した明細書と一緒に納付書が郵送され、その納付書を使って固定資産税と都市計画税を合算した金額を分割払い(年4回)、あるいは一括払いで納付します。支払期間は市区町村によって異なりますから、納付書に記載された納付期限を必ず確認するようにしましょう。
都市計画税の計算方法
では都市計画税とは実際にどれくらいかかるのでしょうか。具体的な算出方法を見てみましょう。
まずは固定資産税評価額を知る
都市計画税を計算するためには、固定資産税評価額が必要になってきます。
固定資産税評価額は、土地や建物にどのぐらいの価値があるか税金を算出するために評価したもので、固定資産税や都市計画税を計算する際に用いられる指標です。総務大臣が定めた基準に基づいて各市町村によって決定され、3年ごとに見直されます。
土地と建物の評価額の目安は以下のようになります。
●固定資産税評価額の目安
・土地の固定資産税評価額=土地の時価×70%
・建物の固定資産税評価額=建物の時価×70%
しかし、現実には評価額の見直しが3年に1度であるため、特に土地の不動産価格の変動が大きいときには、その時の時価の70%で計算すると全く異なっていることもあります。
なお、実際に適用となる固定資産税評価額の計算では、急激に評価額が上昇することを抑制するために前年度と比較して調整する「負担水準」の確認が行われて、算出されます。実際に適用される評価額を計算することは意外に難しいため、やはり土地の所有者に評価額を確認することをお勧めします。
ただし、新築の建物は、完成後に評価されるので、事前に計算することが難しい場合があります。特に、新築マンションでは土地の利用状況がそれ以前とは大幅に異なることに加え、建物も新築であるため、固定資産税評価額の計算が難しく、自分で計算することはできません。新築マンションの場合は目安についても不動産会社の方に確認することをお勧めします。
固定資産評価証明書は役場で取得可能
では、具体的に固定資産税評価額を知るにはどうしたらよいのでしょうか?
実際の評価額は、「固定資産評価証明書」に記載されています。この証明書は、市町村役場(東京23区は都税事務所)で取得できます。原則は、固定資産(土地・建物)の所有者本人が取得できるということになっていますが、委任状等を用意することで本人の同居家族、代理人、相続人、借地人、借家人でも取得することは可能です。
借家人や購入者、代理人など直接不動産の所有者と関係のない方が取得する場合には、委任状などで所有者の承諾を得なければ取得できませんので、注意が必要です。
固定資産評価証明書を取得する際の必要書類は以下の通り。
・所有者本人が取得する場合:身分証明書 など
・代理人が取得する場合:委任状、代理人の本人確認書類 など
・相続人が取得する場合:戸籍謄本 など
手数料は200円から400円が相場のようです。しかし、市町村によって異なるので取得する際の必要書類を含めて、事前に役場に確認しておくとよいでしょう。
都市計画税の計算式
都市計画税は、固定資産税評価額に税率をかけた税額となります。
都市計画税額=固定資産税評価額×0.3%(標準税率)
都市計画税は市町村が課す地方税のため、税率は市町村によって異なりますが、上限が0.3%までと決められています。それ以上、高くなることはありません。
たとえば、東京都では、都内23区の税率は0.3%、武蔵野市、府中市、多摩市は0.2%、東村山市は0.29%となっています。
都市計画税の税率は、自治体のホームページなどに記載されていますから、確認するようにしましょう。
都市計画税の軽減制度
都市計画税は、土地に対しては軽減措置がありますが、建物に対しては、原則軽減措置はありません。
マンションの場合、所有する土地の面積を求める際は、マンションの敷地全体の面積を住居用住戸の戸数で割った面積で判定します。
●都市計画税の軽減措置
対象物件 | 都市計画税 |
---|---|
建物 | 軽減なし |
土地:一戸あたり200㎡までの部分 (小規模住宅用地) |
土地の固定資産評価額が1/3に軽減 |
土地:一戸あたり200㎡を超える部分 (一般住宅用地) |
土地の固定資産評価額が2/3に軽減 |
では、簡単な例として、マンション全体の敷地面積10,000㎡で総戸数が100戸マンション、土地の固定資産税評価額3,000万円、建物の固定資産税評価額1,000万円の新築マンションの都市計画税を計算してみましょう。
<例>
都市計画税
対象となる土地の面積:10,000㎡÷100戸=100㎡
土地の面積が200以下なので、軽減措置が適用されます。
土地:3,000万円×1/3(軽減措置)×0.3%(税率)=30,000円
建物:1,000万円×0.3%(税率)=30,000円
合計:60,000円
ほとんどのマンションが市街化区域内にあるので、マンションを購入した場合は、固定資産税だけでなく、都市計画税も合わせて納めることになりますから、注意しましょう。
なお、先ほども説明しましたが、市区町村によって都市計画税の税率は異なります。不明な点は行政の窓口やホームページで確認することをおすすめします。
情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸
不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。不動産コンサルタントとして、物件の選び方から資金のことまで、住宅購入に関するコンサルティングを行なう。