マンション購入ガイド
家や土地の固定資産税はどのくらいかかる?計算方法や軽減措置について解説
新築マンションを購入しようと思います。聞くところによると、住宅ローンの支払いのほかに、固定資産税を納める必要があるようです。固定資産税とはどのようなものですか?またその税金はいつから発生し、いつ支払えばよいのでしょうか?
固定資産税とは、家や土地など所有する不動産にかかる税金のことで、毎年納税する必要があります。年に4回、分割で納税することが一般的です。
情報提供:税理士 宮原 裕徳
目次
固定資産税とは?
固定資産税とは、毎年1月1日時点で所有しているマンションや一戸建てなどの建物、あるいは土地にかかる税金です。これらの不動産を所有している限り、固定資産税は全ての人に納税義務があります。
住宅の購入を検討している方のなかで、固定資産税についてきちんと知っておきたい方は多いのではないでしょうか?この記事では、固定資産税が発生するタイミングや相場、また計算方法などについて詳しく解説していきます。固定資産税を軽減できる特例についても併せてお伝えするので、ぜひ参考にしてくださいね。
固定資産税はいつから発生する?
先ほどもお伝えした通り、固定資産税は毎年1月1日時点で所有している建物や土地に課されます。なお、1月2日以降に不動産を購入した場合、1月1日時点で売主が負担した固定資産税を引渡し日に応じて、日割りで買主が負担することが一般的です。
そして、固定資産税の納税義務のある方には、一般的に4~5月に納税通知書が届きます。1年分をまとめて納税することも可能ですが、6月・9月・12月・2月の年に4回に分けて納税することが一般的です。ただし、自治体によって異なる場合もあるため、自治体のホームページや窓口で確認するとよいでしょう。
●固定資産税の確認方法に関する記事はこちら
固定資産税の確認方法についてご紹介しています。
なお、納税が遅れると、延滞金が発生したり、建物や土地が差し押さえられてしまったりするので注意しましょう。
●固定資産税の延滞金に関する記事はこちら
固定資産税の延滞金についてご紹介しています。
固定資産税の相場を知ろう!
固定資産税の相場は、アパートやマンション、一戸建てといった建物の種類によって変わり、どちらも「土地」と「建物」それぞれに課税されます。ここでは、マンションと一戸建ての固定資産税の相場についてお伝えします。ただし、固定資産税はさまざまな要因によって変動するため、相場はあくまで目安である点をご了承ください。
マンション
固定資産税は建物の価値と、所有する土地面積の割合によっても変動しますが、新築マンションの固定資産税の相場は床面積が75m2ほどで、10万円~30万円程度といわれています。
納税額は土地面積が広いほど高くなり、狭いほど安くなる仕組みとなっています。マンションの場合、その敷地をマンションに住む世帯数で割っているため、1戸あたりの面積は一戸建てよりも小さくなることがほとんどです。そのため、一戸建てよりも土地に対する納税額が少なくて済む傾向にあります。
一方、マンションの耐用年数は47年とされており、一戸建てより建物の資産価値が長く保たれる特徴があります。そのため、固定資産税評価額が低くなりにくく、結果として固定資産税が高くなりやすい傾向にあります。なお、固定資産税評価額については、後ほど解説します。
一戸建て
敷地面積によって異なりますが、一戸建ての固定資産税の相場は10万~15万円程度です。一戸建ての土地はマンションより所有面積が広いことがほとんどであるため、土地に課せられる税金は比較的高くなりやすいといえます。一方、木造住宅の場合、耐用年数は22年と資産価値が早く下がっていくため、建物に対して課せられる固定資産税は安くなる傾向にあります。
上記のような特徴のほか、固定資産税には地価も関係します。地価が高い都市部や駅に近い不動産は、それだけ固定資産税が高くなりやすいことも覚えておきましょう。
まとめると、マンションの場合は土地に対する固定資産税が安く、建物に対する固定資産税が高くなります。対して一戸建てはマンションの場合とは逆になります。そのため、どちらの固定資産税が高いかは一概にはいえないでしょう。
固定資産税の計算方法
相場についてお伝えしてきましたが、具体的な税額はどのようにして決まるのでしょうか?ここからは、固定資産税の計算方法についてお伝えします。
固定資産税は「固定資産税評価額(課税標準額) × 税率1.4%」の計算式で算出されます。固定資産税評価額とは、国が定めた「固定資産評価基準」に基づいて市町村が決定したものをいいます。
固定資産税評価額は公示価格が基準となります。公示価格とは、国土交通省が毎年発表する土地の価格のことを指します。土地の固定資産税評価額は公示価格の70%程度、建物の場合は建築費の50~70%程度とされています。また、固定資産税評価額は不動産価格の変動に合わせるため、3年に1度見直されます。そして、税率は1.4%が一般的ですが、自治体によって変わることもあります。
●固定資産税評価額に関する記事はこちら
固定資産税評価額の調べ方や計算方法についてご紹介しています。
次は、以上の計算式を用いて、土地と建物にかかる固定資産税をそれぞれ算出してみましょう。
土地
土地の公示価格が1,000万円の場合、固定資産税評価額は70%の700万円と考えられます。この場合、土地の固定資産税は700万円 × 1.4% =
9.8万円となります。
なお、土地に住宅が建っている場合は住宅用地とみなされるため、「小規模住宅用地の特例」が受けられます。小規模住宅用地の特例とは、住宅用地の200m2までの部分の固定資産税が6分の1、それを超える部分の面積は3分の1に軽減されるという特例です。※1
土地の面積が200m2以内でこの特例が適用された場合、固定資産税額は9.8万 × 1/6 = 1.6万円となり、大幅に節税できることが分かります。
建物
建物の固定資産税評価額は、納税通知書に添付されている「課税明細書」で確認できます。中古であれば市区町村の「固定資産課税台帳」でも確認できますが、閲覧できるのは納税者本人やその相続人といった関係者に限ります。
たとえば、建物の固定資産税評価額が3,000万円の場合、固定資産税は3,000万 × 1.4% = 42万円となります。新築の場合は、まだ固定資産税評価額が確定されていないため、「購入価格 × 70%」でおおよその税額が算出できると覚えておくと便利でしょう。
固定資産税の軽減措置とは?
固定資産税の負担は、多くの人にとって重く感じられるものでしょう。しかし、要件を満たすと軽減措置を受けられる場合があります。ここからは、知っておきたい固定資産税の軽減措置についてご紹介しましょう。
新築住宅の特例
新築住宅には固定資産税の軽減措置があり、要件を満たすとマンションの場合は5年間、一戸建ての場合は3年間、固定資産税が2分の1に減税されます。※2具体的には以下の通りです。
新築マンション | 認定長期優良住宅 (マンション) |
新築一戸建て | 認定長期優良住宅 (一戸建て) |
|
---|---|---|---|---|
年数 | 5 | 7 | 3 | 5 |
減額 | 床面積120m2分の固定資産税が2分の1 | 床面積120m2分の固定資産税が2分の1 | 床面積120m2分の固定資産税が2分の1 | 床面積120m2分の固定資産税が2分の1 |
新築マンションの場合は5年間、床面積120m2分の固定資産税が2分の1になります。この築年数と床面積の条件に加えて、耐火・準耐火建築物で3階建て以上が条件となります。そして国土交通省が定めた基準を満たしている認定長期優良住宅には、7年間特例が適用されます。
一方、新築一戸建ての場合は、床面積120m2分の固定資産税が3年間、2分の1となります。この場合も認定長期優良住宅は5年間適用可能です。
軽減措置を受けるには、決められた期限までに税務署へ申告する必要があります。新築マンションの場合は6年目から、新築一戸建ての場合は4年目から軽減措置が適用されなくなり、通常の固定資産税を納めることになるので、早めに申告を行いましょう。
ちなみに、新築住宅以外でも、バリアフリー化改修や耐震改修を行うと軽減措置が適用される場合があります。詳しい要件は、国土交通省や自治体のホームページでご確認ください。
小規模住宅用地の特例
先ほどもお伝えしましたが、小規模住宅用地の場合、面積が200m2以内の部分は6分の1、200m2を超える部分は3分の1に固定資産税を軽減できます。※1住宅用地とは、マンションや一戸建てといった住宅を建てる土地のことをいいます。駐車場やトランクルームとして土地活用をしている場合は適用されないため、注意が必要です。
以下の記事では、固定資産税の軽減措置について基礎知識や申告方法などを分かりやすく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
●固定資産税の軽減措置に関する記事はこちら
固定資産税の軽減措置についてご紹介しています。
固定資産税の納税方法
固定資産税の納税には以下のような方法があります。
・現金
・電子マネー
・クレジットカード
・スマホ決済アプリ
・口座振替による自動引き落とし
現金払い、クレジットカード払い、口座振替が一般的で、現金の場合は、金融機関の窓口に納付書を持参します。バーコードがある場合はコンビニでも可能で、最近では、電子マネーやスマホ決済アプリを利用できる場合もあります。詳しくは納税通知書や各自治体のHPで納税方法を確認しておきましょう。
固定資産税を正しく理解して資金計画を立てよう
今回は固定資産税について、発生するタイミングや相場、計算方法などのほか、軽減措置についてもご紹介しました。住宅の購入を検討する際に、固定資産税についてよく理解しておくと、より正確な資金計画につながります。疑問点がある場合は、不動産や税金の専門家に相談すると固定資産税についての詳しい知識やアドバイスを聞けますよ。
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※1出典:国土交通省「土地の保有に係る税制」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000073.html
(最終確認日:2024年10月30日)
※2出典:国土交通省「新築住宅に係る税額の減額措置」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000021.html
(最終確認日:2024年10月30日)
情報提供:税理士 宮原 裕徳
株式会社ラムチップ・パートナーズ代表取締役。税理士。LAMTIP PARTNERS(Thailand) Co., Ltd. CEO日本と東南アジアの不動産にかかわる会計・税務に詳しい。法人や個人向けに、無駄な税金を払わないための節税対策セミナーなども行う。