マンション購入ガイド
一畳の大きさはどのくらい?引っ越し、家具購入に役立つ基礎知識
賃貸物件で一人暮らし用の物件を探しています。間取り図を見ていると、居室が「〇畳(じょう)」と書かれていますが、「〇畳」が実際にどのくらいの広さなのかイメージできません。一畳の大きさとは、どのくらいあるのでしょうか?
間取り図上の一畳の大きさは、1.62平米以上と定められています。複数の物件を比較するときは、畳数、坪数、平米の単位を揃えて考えましょう。
情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二
目次
一畳のサイズとは?
引っ越しをするとき、またはホットカーペットやラグなどを購入するとき、気になるのが部屋の面積。
マンションやアパートの間取り図をみると「6畳」「10帖(じょう)」などと書かれていますが、「そもそも1畳ってどのくらいの大きさ?」「畳と帖はどう違うの?」「比較の仕方が分からない」と、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか?
1畳=1.62平米が目安
不動産広告の間取り図に書かれている1畳の大きさは約1.62平米(m2)が目安です。
不動産広告を規制する公正競争規約によると、「1畳」の広さは、下記のように定義されています。
「住宅の居室等の広さを畳数で表示する場合においては、畳1枚当たりの広さは1.62平方メートル(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上の広さがあるという意味で用いること。」※1
「平方メートル」と「平米」は同じで、どちらも「m2」で表されます。数学では「平方メートル」が一般的な呼び方ですが、建築業界では「平米」と呼ばれることが多くあります。
不動産広告の間取りに使用される「1畳」は、「1.62m2以上」とされており、「1.62m2ピッタリ」ではありません。このため「1畳=1.62m2」というのは、あくまでも目安なのです。
ではなぜ、「1畳は1.62m2以上」というルールができたのでしょうか?実は、地域によって畳の大きさに違いがあるからです。
地域により畳の大きさが異なる
地域によって家の建て方には、畳を基準にするもの(畳割り)と、柱と柱の距離を基準にするもの(柱割り)などの違いがあります。こうした理由から、畳には大きさの違う種類が生まれたといわれているのです。
主な畳の種類は、大きい順に次のようなものが挙げられます。
※下記は「cm(センチメートル)」表記です。
地域による畳の呼び名 | サイズ | 使用地域 |
---|---|---|
京間(きょうま) | 縦191.0cm×横95.5cm (=18240.5cm2) |
主に西日本エリア。「本間(ほんけん)」とも呼ばれる。 |
中京間(ちゅうきょうま) | 縦182.0cm×横91.0cm (=16562cm2) |
主に東海エリア。幅3尺、長さ6尺なので「三六間(さんろくま)」とも呼ばれる。 |
江戸間(えどま) | 縦176.0cm×横87.8cm (=15452.8cm2) |
主に東京を中心とした関東エリア。長さが5尺8寸なので「五八間(ごはちま)」とも呼ばれる。 |
団地間(だんちま) | 縦170.0cm×横85.0cm (=14450cm2) |
経済成長期以降、全国の公団住宅やアパート、マンションなどで使われるようになった新しいタイプ。多くは長さが5尺6寸であることから「五六間(ごろくま)」とも呼ばれている。 |
面積を比較してみると、京間と団地間には3790.5㎝2もの差があることが分かります。6畳では2274.3㎝2もの差になるのですね。
「畳」と「帖」は同じ意味
物件広告の中には、「畳」と同じ読み方の「帖」という記載があります。これらに違いはあるのでしょうか?
「1帖」は、畳の「1畳」と同じです。
「畳」と「帖」は、和室と洋室どちらにも使用してもよいことになっていますが、「畳(たたみ)」の漢字のイメージから、「畳」は和室だと思われる傾向があります。一説では、昔の日本家屋と比べて現在ではフローリングの部屋が増えたため、和室と洋室の違いが一目で分かるように「帖」が使われるようになったといわれているのです。
ほかにも不動産広告の表記で、「平米(m2)」や「坪」という表記を目にしたことはありませんか?これらにはどのような違いがあるのでしょう?
畳・平米・坪を換算するには?
物件情報のなかには、畳数ではなく「平米」や「坪数」で広さが書かれていることもあります。広さを表す単位が違っていると、間取りを比較する際にサイズが分かりにくく、部屋のレイアウトを決めにくいので困りますよね。
物件を正しく比較するには、広さを同じ単位に揃えることが必要です。そこで、おすすめの換算の仕方をご紹介します。
約2畳=約3.3m2=1坪
間取り図を比較したいのに、それぞれの記載が「1畳」「1平米」「1坪」など違う場合は、全ての数値を「ⅿ2(平米)」に統一してみるとよいでしょう。
「m2」に揃えるための計算式は、「約2畳=約3.3m2(平米)=1坪」がおすすめです。
「約2畳=1坪=約3.3m2」を覚えておけば、6畳なら3倍して「約9.9m2」。10畳なら5倍して「約16.5m2」と簡単に計算できますよ。
さらに身近な単位で表したい場合は、m(メートル)に変換してみましょう。
「1m2=(縦1m×横1m)」になります。
6畳なら「約9.9m2 = 縦・約3.15m×横・約3.15m」くらいの広さをイメージできますね。ここに、間取りによって縦横の比率が変化すると考えてみてください。
あくまでも目安ですが、坪や畳よりは「何m×何m」となった方が、イメージしやすいのではないでしょうか?
物件の比較で困ったら、ぜひ試してみてくださいね。
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生活をするのに最適な広さは何畳?
部屋探しをする際、間取りから探すと暮らしのイメージがしやすいですが、それぞれの部屋の広さを確認することも忘れてはいけません。「2DKで振り分けタイプだからよい物件だ」と思っていても、35平米と50平米では、家具を置く場所も生活に使えるスペースも変わってくるのです。
それでは、生活をするために適した広さとは、どのくらいなのでしょうか?
国土交通省から面積について水準が発表されている
平成23年に閣議決定された「住生活基本計画」※2には、豊かな生活を送れる居住サイズとして、2つの水準が書かれています。
1つは、都市部の共同住宅居住での暮らしを想定した都市居住型誘導居住面積水準。もう1つは郊外での戸建住宅居住の暮らしを想定した「一般型誘導居住面積水準」です。
それぞれのエリアで、最適といわれる居住サイズは単身者と、同居者がいる場合で発表されています。
単身者の場合 | 2人以上の世帯の場合 |
---|---|
40平米 | 20平米×世帯人数+15平米 |
単身者の場合 | 2人以上の世帯の場合 |
---|---|
55平米 | 25平米×世帯人数+25平米 |
実際の物件探しでは、条件などから理想通りにいかないこともあるでしょう。しかし、住まいは日常のベースになります。
部屋を探す場合は、間取りと併せて広さについても考えてみてください。さらに、クローゼットやロフト、浴室、トイレなどの居室以外のスペースも含めて、「暮らしやすい物件」を探してみてはいかがでしょうか?
厚生労働省が出している「住生活基本計画」※2では、一人暮らし、二人暮らし、ファミリーのそれぞれの居住面積水準を出しています。ここからは各々の理想の広さをみていきましょう。
一人暮らしの場合
一人暮らしの理想の広さは都心で40平米、郊外で55平米となっており、最低でも25平米以上がよいとされています。
●使用方法別の広さ※2
・寝室と学習スペース 8.1平米
・リビング・ダイニング 7.8平米
・トイレ・お風呂・洗濯・キッチン 8.7平米
・収納 2.7平米
一人暮らしの使用方法別のスペースの広さでは、寝室、リビング・ダイニング、水回りはそれぞれ8平米前後になっています。一人暮らしでは、寝室とリビングと水回りは、それぞれ同じくらいの広さが理想なのが分かります。
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二人暮らしの場合
二人暮らしの理想の広さは、都心で55平米、郊外で75平米、最低でも30平米の広さが必要であるといっています。
●使用方法別の広さ※2
・寝室と学習スペース 16.2平米
・リビング・ダイニング 10平米
・トイレ・お風呂・洗濯・キッチン 8.7平米
・収納 3.9平米
二人暮らしの使用法別の理想の広さでは、寝室とリビング・ダイニングは一人暮らしの倍の広さが必要とされていますが、水回りと収納は一人暮らしと同じか、少し広い程度で足りるようです。
ファミリーの場合
ファミリー3人の場合、理想の広さを「居住面積水準」でみると、都心で75平米、郊外で100平米。最低でも40平米の広さが必要だといわれています。
●使用方法別の広さ(3人家族の場合)※2
・寝室と学習スペース 24.3平米(子どもの年齢と人数により変化あり)
・リビング・ダイニング 12.2平米
・トイレ・お風呂・洗濯・キッチン 9.4平米
・収納 5.1平米
ファミリーの場合は、子どもの人数や年齢、性別によって必要な広さが変わっていきますので、一概に理想の広さを出すことは難しいでしょう。ご紹介した数字は参考として出されているものなので、ファミリーの場合は、自分の家族構成や今後のライフスタイルの変化を見据えた広さを考えていく必要があります。
これまでみてきたように、部屋の広さを表す表記は平米や畳、帖などさまざま。必要な広さも同居者の数や暮らし方によって変わってきます。
部屋探しで大切なことは、具体的に暮らすイメージをすることなのです。
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畳数はあくまで目安
畳数は広さをイメージするのに便利な単位ですが、間取り図上での「〇畳」はあくまで「目安」と捉えておきましょう。なぜなら、部屋の内側に柱や梁が出っ張っていて、面積を正確な畳数で表現できない場合もあるからです。
また、専有面積の表記には、柱や壁の厚みの中心線から測る「壁芯面積」、壁の内側の実際に使える面積を測る「内法面積」の2種類があります。登記簿謄本の面積は内法で表記されますが、不動産広告は壁芯で表記されることが一般的であるため、「思ったよりも狭く感じる」という場合もあるかもしれません。
ほかにも高い天井のペントハウスの場合は天井高で同じ面積でも広く感じることもあります。また、ロフトやベランダは専有面積には含まれていません。ロフトがある場合は、プラスアルファのスペースを収納にしたり、布団を敷いて寝る場所としたり、子ども部屋や趣味の部屋などの秘密基地にしたりして有効活用するとよいでしょう。ベランダは専用使用権が与えられている部分ですので、区分所有者が専用してよい空間です。ただし、避難経路にも用いられるため、できるだけモノを置かない、経路を塞がないなどの配慮が必要となります。
部屋探しをする場合は、間取り図の畳数だけで判断せず、実際に内見して部屋の広さやイメージを把握して、ライフスタイルに対する使いやすさも含めて検討することが大切ですよ。
https://www.sfkoutori.or.jp/webkanri/kanri/wp-content/uploads/2019/01/h_kiyaku.pdf
(最終確認日:2023年3月9日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000012t0i-att/2r98520000012t75.pdf
(最終確認日:2023年3月9日)
情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二
株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、不動産キャリアパーソン、中小企業診断士。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングを行う。
HP:https://grow-profit.net/