マンション購入ガイド
コンパクトマンションとは?単身・DINKsなどに人気の理由を解説
現在、1人暮らしです。住宅購入を検討しているのですが、先日、知人からコンパクトマンションの購入を勧められました。コンパクトマンションとはどのようなものなのでしょうか?特徴やメリットを教えてください。
コンパクトマンションとは、単身や二人暮らし向けに、そこまで広さのない住戸で作られたマンションを指し、少人数の世帯にとって住みやすく、単身世帯や共働きで子どもがいない夫婦(DINKs)、シニアの夫婦などに人気があります。ファミリー向けマンションより居住面積が小さい分、好立地な物件でも比較的リーズナブルに取得できる傾向があります。
情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二
目次
コンパクトマンションとは?
分譲マンションの購入を考えている単身者や2人暮らしの夫婦といった人のなかには、ファミリータイプのマンションは広過ぎると考える人もいるのではないでしょうか?単身世帯や2人暮らし世帯が心地よく住めるように、ほどよい広さで設計されたのがコンパクトマンションです。今回はコンパクトマンションの特徴や魅力についてお伝えします。
コンパクトマンションに明確な定義はありませんが、ファミリー向けマンションよりも住居面積が小さいマンションを指します。広さは30~50m2が一般的で、間取りは1LDKや2LDKが主流です。なかには、単身世帯向けで間取りが1DKのコンパクトマンションもあります。
一般的なワンルームマンションは20m2程度で、ファミリータイプのマンションは60m2以上です。つまり、ワンルームタイプよりも広く、ファミリータイプより狭いのがコンパクトマンションということになります。これまで分譲マンションの主流はファミリータイプでした。しかし、近年は晩婚化や共働き世帯の増加によって、コンパクトなサイズを求める人が増え、コンパクトマンションが注目されています。
コンパクトマンションは、都心部や駅前など立地条件のよい所に建てられる傾向があります。同じ好立地にあるファミリータイプのマンションよりも、コンパクトマンションのほうが面積が狭いためリーズナブルに購入できる可能性があります。
コンパクトマンションの魅力とは?
近年、人気が高まりつつあるコンパクトマンションにはどのような魅力があるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
利便性が高い
コンパクトマンションは人気のエリアや駅近に建てられることが多く、利便性が高いのが魅力の1つです。
駅から近いコンパクトマンションに暮らしていれば、自宅から勤務先までが近い、いわゆる「職住近接」が可能になるというメリットがあります。郊外型のマンションに比べて仕事先までのアクセスがよく、通勤時間を短縮することができます。また、駅周辺には駅ビルやショッピング施設などの商業施設が多いため、日常生活に不便を感じることは少ないでしょう。
●通勤がラクになる住まいの選び方に関する記事はこちら
平均通勤時間についてご紹介しています。
ファミリーマンションより低価格
コンパクトマンションはサイズが小さい分、同じ立地で比較すると価格はファミリータイプよりリーズナブルに設定される傾向にあります。ローンを組む場合も、同じ面積と築年数の賃貸マンションに住むよりも、月々の返済額を賃料と同じかそれよりも安く設定できる場合もあるでしょう。
共用部、室内設備が充実している
近年のコンパクトマンションは、共用部や室内設備が充実している物件が多くあります。たとえば、日中不在になりがちな単身者やDINKsにうれしい、セキュリティシステム、宅配ボックス、浴室乾燥機などが設置されていることがあります。
●家事を時短できる施設・設備に関する記事はこちら
分譲マンションの接施設や設備についてご紹介しています。
狭い?売れない?疑問と不安にお答え
コンパクトマンションを購入するにあたって、「手狭で使いにくいのでは?」、また「売りたくても売れずに困るのでは?」といった疑問や不安がある人もいるでしょう。そうした懸念点について、詳しく見ていきましょう。
狭さは工夫でカバーできる
購入時にはちょうどよい広さでも、結婚や出産といったライフイベントで「家族が増えたら狭く感じてしまうのでは?」と考える人もいるでしょう。実際、大人数向けの設計ではないため、部屋数が足りない、リビングが狭く感じてしまうといった事態に陥る可能性があります。そのため、購入後、後悔しないためにもライフプランを見据えて購入するのがよいでしょう。
ただし、インテリアの工夫により、狭さをある程度カバーすることは可能です。本記事では詳しいインテリアの工夫を紹介しているので、以下の記事と合わせて、参考にしてみてください。
将来の売却もおおむね安心
近年、少子高齢化や晩婚化により、単身世帯やDINKsが増加しています。※2こうした社会的な影響を受け、コンパクトマンションの需要は高まっているといえます。また、立地がよいコンパクトマンションを選ぶと購入後時間が経過したとしても、資産価値を高く維持しやすいです。そのため、立地のよさは売却や賃貸を行ううえでのメリットになるでしょう。
以上の理由から、コンパクトマンションは居住用・投資用ともに需要が高い傾向にあり、買い手や借り手を見つけやすいといえるでしょう。
それゆえコンパクトマンションを不動産投資用として購入する人もいます。いずれ家族構成が変わってファミリータイプのマンションに移ったとしても、賃貸を行えば安定した家賃収入が期待できるためです。
コンパクトマンションがおすすめの人は?
ここまではコンパクトマンションの特徴やメリットについてご紹介してきましたが、コンパクトマンションはどのような人におすすめできるのか、さらに詳しく見ていきましょう。
単身世帯
立地のよいコンパクトマンションは、通勤の利便性を求める単身者におすすめです。同じ立地で比較すると、物件価格がファミリータイプと比べて安い傾向にあるため、一人暮らしの方でも無理なく住宅ローンを組めるでしょう。実際に、賃貸住宅で家賃を払い続けて暮らしていくより、不動産を資産として持っておきたいという単身者がコンパクトマンションを購入するケースが多く見られます。
また、一般的に築年数の新しいコンパクトマンションは、防犯カメラ、オートロック、宅配ボックスなどのセキュリティが強化されているため、シングルの女性でも安心して暮らすことができます。
●一人暮らしのマンション購入に関する記事はこちら
単身者がマンションを購入する際のポイントを解説しています。
DINKs(ディンクス)
夫婦共働きで子どもがいない、いわゆるDINKsにもコンパクトマンションはおすすめです。特に通勤時間は短いほうがよいと考え、立地を重視するカップルにとって、交通の便がよく、商業施設から近いコンパクトマンションは暮らしやすく便利であるといえるでしょう。
今後のライフステージの変化に合わせて、いずれ買い替える必要も出てくる可能性もありますが、すぐに広いスペースが必要でない場合は、コンパクトマンションを購入するのも1つの手です。
●DINKs(ディンクス)に関する記事はこちら
DINKsのマンション選びのポイントを解説しています。
シニア世代
コンパクトマンションはシニア世代にもおすすめです。最近は、子どもが独立して夫婦2人となった後は、3LDKや4LDKといったファミリータイプのマンションは広過ぎると感じる人も多く、コンパクトマンションに住み替えるケースが増えてきています。
また、駅や商業施設から近いコンパクトマンションは、出かけるときに長い距離を歩くのが負担に感じているシニア世代におすすめです。
上記で説明した通り、特に新築のコンパクトマンションはセキュリティ面が充実していることが多いうえに、一般的にバリアフリーを考慮して設計されるため、シニア層も安心して住むことができます。
シニア層の場合、DINKsと同じく、老後の夫婦2人暮らしを想定した50m2ほどのコンパクトマンションが選ばれることが多いようです。
●シニア向けの分譲マンションに関する記事はこちら
シニア層の住み替えに役立つ情報を解説しています。
コンパクトマンション購入の注意点
コンパクトマンションを購入する際の注意点として、将来、貸し出す可能性がある人は、周辺の家賃相場を把握しておくことが挙げられます。あらかじめ、検討しているコンパクトマンションと同じような広さ、立地の物件を調べておくことで、いくらで貸すことができ、およそどのくらいの収入を得られるのかを知ることができます。
施設が充実していると相場が高くなる傾向があるため、コンパクトマンションを探す際は、マンションの共用施設が周りの賃貸住宅よりも魅力があるかといった視点で探してみるのも方法の1つです。
40m2未満は住宅ローン控除を受けられない
一定の省エネ要件を満たす新築、または新築未入居の住戸であれば、登記床面積が40㎡以上なら住宅ローン控除の対象となります。ただしこの要件は、合計所得金額が1,000万円以下の人に限られます。
また、中古マンションはこの要件に該当しないので注意しましょう。
50m2未満は対象外となる税金の軽減措置がある
コンパクトマンション(貸家以外)の床面積が50m2未満の場合、「登録免許税」と「不動産取得税」の軽減措置が受けられなくなります。登録免許税と不動産取得税は購入時に1回だけ支払う税金ですが、軽減措置が受けられない場合は初期費用が高くなるので注意しましょう。
また、登録免許税や不動産取得税については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひチェックしてください。
●登録免許税や不動産取得税に関する記事はこちら
不動産取得税の計算方法や軽減措置についてご紹介しています。
登録免許税の計算方法や軽減措置についてご紹介しています。
周辺の家賃相場をチェック
将来、貸し出す可能性がある人は、周辺の家賃相場を把握しておくことをおすすめします。あらかじめ、検討しているコンパクトマンションと同じような広さ、立地の物件を調べておくことで、いくらで貸すことができ、およそどのくらいの収入を得られるのかを知ることができます。
施設が充実していると相場が高くなる傾向があるため、コンパクトマンションを探す際は、マンションの共用施設が周りの賃貸住宅よりも魅力があるかといった視点で探してみるのも1つの方法です。
コンパクトでも快適!インテリアのコツ
コンパクトマンションはファミリータイプのマンションよりも面積が小さくなりますが、インテリアの工夫次第では、実際の面積以上に広々とした空間を演出することも可能です。そこでここからは、コンパクトマンションを快適な空間にするためのコツをお伝えしましょう。
家具の取捨選択をする
コンパクトな住まいに暮らす際は、家具を取捨選択して、不要なものは置かないことが大切です。
自分のライフスタイルにはどのような家具が最低限必要となるのか、また適切な家具の大きさがどの程度であるかを考えましょう。
たとえば、テーブルで作業をすることが多い人は、大きめのダイニングテーブルを選び、そのほかの家具はコンパクトなサイズのものを選ぶとよいでしょう。また、リビングでくつろぐ時間を多く取りたい場合は、大きめのソファを設置してダイニングテーブルの設置を思い切って省いてしまうのも1つの手です。
加えて、空間を広く見せるには、空間に奥行きを出すようにレイアウトするとよいですよ。手前には大きな家具、そして奥には小さめの家具を置くと、圧迫感がなくなり空間に奥行きが生まれます。
室内の色数を少なくする
家具の色数はできるだけ少なくして統一すると、スッキリした空間になります。基本的に白や淡い色は空間を広く感じさせます。逆に空間を引き締めるのがダークカラーです。
また、床をダークカラーにして家具やファブリックを白っぽくすると、空間の広がりを感じることができます。
間接照明を使う
間接照明を利用すると、空間に立体感が生まれますよ。壁や天井を照らすことで、同じ空間でも昼と夜の印象が異なるため、気分も変わり、コンパクトな空間をいっそう楽しめるようになります。
インテリアで狭さをカバーするほか、リフォームを行い、間取りを変えることもおすすめです。部屋の間取りや面積にもよりますが、2DKを1LDKの間取りに変えることで広々と暮らしていくことが可能になります。なお、場合によってはリフォームができないケースもあるため事前に管理規約を確認しておきましょう。
ライフプランを考えて購入を検討しよう!
多くの魅力や利点があるコンパクトマンションですが、今後の自分のライフプランをよく考えてから購入することが大切です。コンパクトマンションは部屋が狭い分、同じ立地のファミリータイプと比較すると安い費用で購入できる傾向にあるため、マイホーム購入のワンステップとして検討してみるのもおすすめです。
ただし、住宅ローンの返済プランを考慮したうえで購入するのが重要になります。2022年12月に日銀から長期金利に影響を及ぼす10年国債利回りの変動許容幅の引き上げが発表され、また金融機関も住宅ローンの固定金利の引き上げを発表しました。金利が上昇した場合、返済期間が長いと返済するのに負担がかかってしまいます。そのため、住宅ローンの金利動向を見ながら、住宅ローンの組み方を検討することがおすすめです。
都心、駅近など好立地にあるコンパクトマンションは需要が高いため、将来のために自分の資産として持っていてもよいでしょう。コンパクトマンションの購入を検討するなら、購入直後の暮らしだけでなく、売却・賃貸といった活用も将来に見据え、長期的な視点を持って計画を立てていきましょう。
また、長谷工アーベストでは住まいの探しのプロである「住まいアドバイザー」にて無料相談を受け付けています。現在マンションの購入を検討されている人はお気軽にご相談ください。
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※1出典:国土交通省「住宅ローン減税」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html
(最終確認日:2024年2月27日)
※2出典:総務省「令和2年国勢調査 人口等基本集計 結果の要約」
https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka/pdf/summary_01.pdf
(最終確認日:2024年2月27日)
情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二
株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、不動産キャリアパーソン、中小企業診断士。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングを行う。
HP:https://grow-profit.net/