櫻井幸雄の人生相談
第11回 男の子が3人。マンションの間取りは4LDK必要?
櫻井先生こんにちは。
3人の男の子を持つ母です。新しく購入するマンションについて質問させてください。
1歳、5歳、6歳の男の子がいるのですが、将来的には1人ずつの部屋を用意した方が良いでしょうか?
私は2人姉妹で1つの部屋だったこともあり、子どもたちには1人1部屋用意してあげたい気持ちもあるのですが、一方で子どもたちが独り立ちした後は部屋を持て余してしまうという心配もあり悩んでおります。
部屋の数はどのように決めたら良いでしょうか?教えてください。
(31歳パート妻)
子どもが3人いるので、4LDKのマンションを買いたいと思う。その気持ちはよくわかります。3LDKだと、個室を持つことができる子(たぶん長男)と2人で1室を使う子(たぶん、次男と三男)の間に差ができてしまう。親としては、そのような「差」をつけたくないのですね。
でも、マンションの4LDK住戸は数が少なく、求める場所に都合よく4LDKが見つかるとは限りません。加えて、4LDKは3LDKよりも面積が広くなるので、価格が高くなるという問題もあります。
つまり、ご質問者は3人のお子さんのため、必要ならばいくつも無理をしても良いと考えている。が、本当に必要なのだろうか、という疑問が生じているわけですね。
ズバリお答えしましょう。求める場所に、考えている予算内の4LDKが見つかれば、購入しましょう。でも、それが難しければ3LDKで問題ありません。
そもそも、家には子どもを良い方向に導く力も、悪い方向に引きずり込む力もありません。そのことを勘違いしていらっしゃる人は、「一戸建てで2階に子ども部屋を設ける場合、2階に上がる階段をリビング内に設置すべし。そうすれば、2階に上がる子どもの友人を見ることができ、非行を予防できる」などと言い出します。しかし、子どもが友達を連れてくる度に親が監視するような目を向けたら、どうなるでしょう。その方が子どもを非行に走らせる原因になってしまいそうではありませんか?
子どもが育つ方向を定める力を持っているのは家ではなく、「親」です。その「親」であるご質問者が「3人の子に差を感じさせたくない」と強く念じていらっしゃる。それだけで、もう3人のお子さんは祝福されています。3人とも、明るくまっすぐ育つはずです。
さて、ここから3LDKを選ぶ時の実践的なアドバイスをしましょう。
3LDKは、3つの個室とリビングダイニングという間取りです。3つの個室は、「全て同じ広さ」ということは希で、普通は広い個室が1つと、それより狭い個室が2つとなります。3LDKは4人家族を想定しているので、広い寝室は夫婦の寝室。いわゆる主寝室と位置づけられます。狭い個室2つは2人の子ども用です。
この3LDK間取りで、主寝室がより広い住戸を選んでください。7畳でもいいのですが、8畳以上の広さがあると理想的です。残り2つの個室は5畳程度で十分です。理由は、8畳の個室があれば2つに区切って2人の部屋としやすいからです。
お子さんが3人とも小さい内は、8畳の個室を3人一緒に使えば良いでしょう。長男が個室を欲しがったら、5畳程度の個室をあてます。8畳の個室は2人で一緒に使い、夫婦は5畳の部屋を寝室とします。
8畳の部屋を使う次男、三男が個室を欲しがる年齢になったら、8畳を区切ります。中央に本棚を並べ、照明の位置を変えるだけで、スペースを分けることができます。中央に2段ベッドを置き、ベッドに入る方向を上下で逆の方向にする。そして、開いている面を合板で覆う。必要に応じてカーテンをつけることで2人のプライバシーを保つことができます。
このように、広い個室が1つあれば、工夫次第で2人のスペースを確保できるわけです。楽しい空間ができれば、個室を与えられた長男がうらやましがるかもしれません。大きな個室が1つある3LDKがあれば、そんな「うらやましい空間」を作り出すことができるのです。
適当な4LDKが見つからない場合は、ぜひ、このような3LDKを探してみてください。
情報提供:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄
1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。以後、多くの著書を送り出し、新聞雑誌への寄稿、コメント出しも精力的にこなす。2000年の文化放送「梶原放送局」を皮切りに、テレビ・ラジオに多く出演。