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マンション購入ガイド

2018.03.30

Question

マンション販売員が見た!住宅ローン審査が通らない理由とは?!

マンションの購入を考えているのですが、住宅ローン審査が通らなかったら…と不安でなかなか実際の購入に踏み込めません。住宅ローンに落ちる場合は、どのようなことが原因になるのでしょうか?詳しく教えてください。

Answer

自分の金銭関連を漏れなく把握していないと住宅ローン審査が通らなくなる原因に!

情報提供:ファイナンシャルプランナー 吹田 朝子

目次

そもそも住宅ローンとは?

マンションの購入を検討中、気に入った物件が見つかって「この家で暮らせたら…」とイメージが膨らんでいるなか「住宅ローンの審査が通りませんでした」などという審査結果が出たりしたら…と不安になったことはありませんか?

今回は、マンション販売担当者にお伺いした、「実際に見た住宅ローン審査に落ちた理由」についてご紹介します。

そもそも住宅ローンとは、自分や家族が住む住居(土地や建物)を担保にして、金融機関から35年を上限として長期間お金を借りることができるものです。マンションなどの住居を買うためなら誰でも借りられると思っている人が多いようですが、実は、「物件に対しての担保価値についての審査」とともに「借りる人に対しての返済能力についての審査」の両方の審査を通過することが必要です。

物件の担保価値については、権利関係や建築基準法など法規上の問題がないかなどが対象になりますから、新築マンションの場合、住宅ローンの審査を左右するのは圧倒的に借りる人の返済能力といえます。
その返済能力というのは、「ローンを借りた後、滞りなく返済が進んで貸した額が利息とともに完済されるかどうか」を指します。これらをチェックする項目にはどのようなものが挙げられるのでしょうか?

返済能力を問われる審査では何を見られる?

住宅ローンの審査を申し込みする際、おおむね次のような項目がチェックされるといわれています。

・年齢…借り入れ時年齢から、完済時の年齢
・年収…収入の水準や過去数年の安定度
・雇用形態…正社員かその他の契約形態か
・勤続年数…どのくらい勤めを継続しているか
・他の借り入れ状況…車のローンや各種分割払いなど、他に借り入れがあるか
・健康状態…団体信用生命保険に加入できるか

これらの項目によって、借り入れ時に年収に対するローン返済額の割合が膨らみすぎないかどうか、また、借り入れ後も長期的に収入が確保されて返済が順調に進むかどうか、が審査されることになります。ただし、実際には自己申告したこれらの項目以外にも、申し込み者の信用情報が調査されているので、油断は禁物です。
では、実際に住宅ローンの審査が通らなかったケースを見てみましょう!

実録!住宅ローンの審査に通らなかった事例集

マンション販売担当者から実際に聞いた例を挙げますと、以下のような理由が多いそうです。

たくさんのクレジットカードを持っている
最近、ポイントを貯めるなどの理由で、クレジットカードを4~5枚、またはそれ以上持っている人もかと思います。実は、クレジットカードにはキャッシングの枠が自動的についていることが多々あり、実際にキャッシングを利用していなかったとしても、そのキャッシング利用枠を最大まで利用した場合を仮定して審査されることがあります。

それによって、クレジットカードの枚数が多ければ多いほど、住宅ローン自体の借り入れ可能額が小さくなる要因となり、希望の借り入れ申し込みが承認されないという事態になることも。不要なクレジットカードの契約は避けるようにしたいですね。

見落としがちな分割支払いのローン
住宅ローンの審査申し込みの際に見られるポイントとして、「他の借り入れ状況」についてお話ししましたが、例えば車のローン、脱毛エステ等で組んだローン、リボ払い等、他に分割払いローンがあることを忘れて申告していなかった場合、審査が通らないかもしれないという事態を招くことに。

・申告漏れがあったこと
・既に借入金があること

これらにより金融機関からの信用度が薄れてしまいます。事前に借入金の漏れがないよう洗い出しておきましょう。

転職して間もない
最近は、様々な理由で転職される人が増えてきています。住宅ローンの審査申し込みの際に見られるポイントとして、「勤続年数」についてもご紹介しましたが、転職したてで今の職場での勤続が1年または2年に満たない場合、収入の安定度について厳しく見られることになります。

転職は一度経験すると何度も繰り返される傾向もあると警戒される場合もあるようですので、同じ企業に勤続して2年以上経ってから住宅ローンを申し込んだ方が、より良い条件で借りることができるでしょう。

住宅ローン審査に通らなかった…そんな時はどうしたらいいの?

では、もしご紹介したような実録のように住宅ローンの審査が通らなかった場合、どのように対処したらいいのでしょうか?

まずは、その理由を把握することが大事です。理由がわかれば、それに対する対策を取ることができますよね。マンション購入後も安心して返済しながら暮らし続けられることが大切なので、むやみやたらと他の住宅ローンの審査を申し込むのはおすすめしません。

各々の理由に応じた対策としては、以下のようなことが考えられます。参考にしてみてくださいね!

転職や勤続年数、年収、高年齢などが理由と思われる場合は?
住宅購入プラン自体を見直して、購入時期や借り入れ希望額を再検討することも1つの方法です。親から資金援助を受けることができるなら、それによって自己資金額を上げ、借り入れ希望額を下げて審査に通りやすくすることも可能でしょう。

既に車のローンやリボ払いなどローン残高がある場合
既にあるローンは先に完済することで住宅ローンの借り入れ可能額を上げることが可能となる可能性があります。なお、過去の返済で延滞があった場合は審査にはマイナス情報になるので、その理由(普段使わない口座で、たまたま残高が少なかったなど)を説明できるように準備しておくことも大切ですよ。

クレジットカードの枚数が多い等の場合
住宅ローンの審査をよりスムーズにするために、クレジットカードは利用の仕方を見直して、2枚程度に減らすことを考えましょう。キャッシング枠がついていたら、それも外す手続きをしておくとよいでしょう。

貸し手に好印象を持ってもらうためには?

ここまで住宅ローンの審査に落ちてしまった実録と、それぞれの対策についてご紹介しました。そもそも、住宅ローンは私たちにとって長期間お金を借りることができる貴重な信用取引です。それだけに、融資する貸し手側は長期間貸しても大丈夫かどうかを慎重にチェックします。ですから、貸し手側に「この人には貸したい」と思われるような存在になることが、住宅購入プランの強力な武器となります。

返済能力について気になる要素が全くなく、各融資元に「うちから借りてください」といわれるくらいの状況なら、金利優遇を最大まで受けるなどの有利な立場で借入先を選ぶことができます。

自分の信用情報を確認してみよう!
では、どうしたら貸し手にとって好印象を与えることができるのでしょうか?

以前クレジットカードでの支払いや分割払いのローンを組んだことがある方は、現在の残高状況のみでなく、今までに延滞したことがなかったかどうかも審査上で見られています。過去に返済で延滞した記憶があるなど、自分の信用情報に不安がある場合には、個人信用情報機関に前もって確認することが可能です。

個人信用情報機関とは、クレジットやローンなど個人の信用にもとづく契約内容や返済・支払状況・利用残高などの客観的取り引き事実を表す信用情報を管理・提供する機関です。主に、JICC(株式会社 日本信用情報機構)やCIC(株式会社 シー・アイ・シー)といった機関があり、WEBサイト等から自分の信用情報開示の申し込み手続きをして内容を確認することができます。

クレジットカードの支払いの延滞などの情報は、発生日より5年間は信用情報として残されるので、気になったら早めにチェックしておきましょう。そして、日頃から延滞などをしないようにクレジットカードの利用など気をつけておくことも、いざという時に住宅ローンのような大きな金額をスムーズに手続きできる大事なポイントといえます。

何千万円という金額の大きな買い物のための住宅ローンに対しては、自分の返済能力を評価されることを念頭に置き、しっかりと準備しておきましょう!

情報提供:ファイナンシャルプランナー 吹田 朝子

一般社団法人 円流塾 代表理事。ファイナンシャルプランナー(CFP®認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー。1人1人の価値観を尊重しながら、暮らしを豊かにするお金との付き合い方を指南。テレビや新聞などのメディアや著書でも活躍中。