収納ガイド
収納が苦手な人におすすめ!片付けの目標設定と5つの効果とは?
片付けが苦手です。雑誌やブログで紹介されている収納グッズを買って、キレイに整理しようと試してみたのですが、結局モノが収納しきれず片付けが終わりません。キレイに片付いた部屋を目指すためには何から始めたらよいのでしょうか。片付けのコツを教えてください。
まず「なぜ片付けたいのか」を考え、そのゴールの「理想の暮らし」を書き出しましょう。目標設定が片付け成功の明暗を分けます。片付けによって得られる5つの効果を知っておくことも目標設定に役立ちますよ。
情報提供:整理収納アドバイザー 今井 知加
「部屋の片付けを始めてもいつも上手くいかず、買った収納グッズも無駄にしてしまう…私は片付けが苦手」
こう思っていらっしゃる方は多いのですが、上手くいかない理由のひとつは、「目標設定が適切でないこと」。やみくもに引き出しの整理を始めたり、収納グッズを購入したりする前に、まず目標設定がきちんとできているかどうかが、片付け上手・苦手の明暗を分けるのです。
世間には、いろいろな片付けの情報があふれています。自分に合った情報を得るためにも、まずは自分自身の「片付けたい理由」を明確にしてみましょう。そもそも、なぜ片付けたいと思うのでしょうか?その理由は人によって違いますし、それによって片付け方も違ってきます。
片付けたい理由に基づいて、適切な目標設定をすれば、片付けを効率的に進めることができますよ。
片付けの目標設定とは?
片付けにおいて目標設定をするうえでのポイントは、「理想の暮らしを具体的に思い描くこと」です。
それにはまず、「片付け」がゴールなのではなく、その先の「暮らし」がゴールであるということを意識してみてください。そして、思ったことを次のように書き出してみましょう。
・毎日、誰と、どんなふうに過ごしたいか
・どんなことに時間を費やしたいか、または、費やしたくないのはどんな時間か
・理想が叶ったら、どんな気持ちになるか
叶えたい理想は、できるだけ具体的に書いてください。それが、具体的な目標につながるからです。
たとえば、ダイエットに置き換えて考えてみましょう。次の2人のうち、どちらの方が成功しそうですか?
A:何となく痩せたい人
B:3ヶ月後の同窓会に○○を着るために痩せたい人
もちろん、Bの人ですよね。具体的な目標が設定されていると、やるべきことも自ずと具体化していきます。さらには、それが達成のための原動力ともなるのです。
手に入れたい暮らしを考えた目標設定と、その効果
次に、「目標設定の仕方」と「片付けの5大効果」についてご説明しましょう。
自分なりの目標を考えてみましょう
先ほどお伝えしたような方法で、理想の暮らしをイメージして具体的に書き出すことはできましたか?たとえば、次のようなことを書き出したとしましょう。
・毎日の掃除をできるだけラクにしたい
・いつでも人を呼べる家にしたい
・「片付けなさい!」と言わずに、子どもと一緒に笑顔で過ごせる家にしたい
・子どもが勉強に集中できる環境づくりをしたい
・本当に必要なものだけに囲まれて過ごしたい
これらは、それぞれ「片付けによって得られる効果」に分類することができます。
たとえば、「毎日の掃除をできるだけラクにしたい」というのは、ラクになれば掃除にかかる時間が少なくなるということ。つまり、「時間的効果」が得られるわけです。
「毎日の掃除をできるだけラクにしたい」というだけでは単なる願望ですが、「私は、趣味に使える時間がほしい。だから、毎日の掃除をできるだけラクにしたい」と効果を意識すれば、具体的で達成度がわかりやすい目標設定になります。
このように、「片付けによって得られるいろいろな効果の中から、何を選ぶか?」を考えると、片付けの目標を設定しやすくなるのです。
「片付けの5つの効果」とは?
片付けには、時間的効果・経済的効果・精神的効果・空間的効果・家事ラク効果の5つの効果があります。
[ 1 ] 時間的効果
時間は、誰にとってもかけがえのない財産です。大きな例では、「毎日の家事が2時間も短縮した」というお客さまがいらっしゃいました。また、「時間がないから片付けられない」と思っていたけれど、「どうしても自分の時間が欲しい」という思いを持って片付けに臨み、いざ家事の時短が叶った後は「暮らしが心地よくなった」など、[ 3 ]の精神的効果につながる方も。
[ 2 ] 経済的効果
経済的効果で多いのは、日用品や食材の重複買いの激減です。「片付けていたら、同じアイテムのストックが数十個出てきた!」という方もいらっしゃいます。重複買いを防げると、家計の大きな節約につながります。
[ 3 ] 精神的効果
精神的効果の例は、「ゆったりとした気分になれる」「居心地がよい」などといった心のゆとり的なもののほか、なんと「子どもの成績がよくなった」というご報告もあります。
脳科学の分野では、人間の脳が瞬間的に記憶できる短期記憶の数は、多くて7つまでといわれています。たとえば勉強するときに、デスクの上にモノがあふれ、雑然としていたらどうでしょう?脳に余計な情報がたくさん入り、肝心な勉強の内容を記憶しにくいという可能性も出てきます。スッキリした環境は、心だけでなく集中力にも影響するのです。
[ 4 ] 空間的効果
限られたスペースを上手に活用することは、多くの人の望みでしょう。「今まで足の踏み場がなかった部屋に、念願のソファーが置けた!」といった声は、空間的効果の最たる例です。また、「同じスペースがとても広く使えるようになり、作業効率が上がった」という方もいらっしゃいます。
[ 5 ] 家事ラク効果
上記4項目には相乗効果があり、最終的に家事や仕事がラクになるという効果につながります。「掃除洗濯などの家事がラクになった」という直接的な効果のほか、「家族が手伝いやすくなったことで家事の負担が減った」という間接的な効果を得た方も多くいらっしゃいます。
ただし、この5つの効果は全て均等に得られるわけではないため、まず自分はどんな効果を得たいのか?という優先順位を決めておくことが大切です。
目標設定から、現在の暮らしの疑問点や希望が見えてくる
「片付けの5つの効果」のうち、どれを優先的に得たいのか?ということを考えるだけでも、片付けの目標設定へとつながっていきます。すると、新たな希望や疑問点などに気づくこともあるでしょう。
「もしかしたら、もっと自分の時間を持てるかもしれない!」
「本当の悩みは、子どもと過ごす時間が少ないことかも?」
こうした気づきがあったら、目標をさらにブラッシュアップしてみましょう。
理想の暮らしを思い描いたり、現状を把握したりすることは、自分自身のライフスタイルを見つめ直すよい機会にもなります。今の暮らしをより心地よくするためにも、ぜひ片付けの目標設定を行ってみてくださいね。
「収納が苦手」を克服するためには?
目標を設定できた方のために、簡単に実践できる収納術についても最後にご紹介します。
毎日使うモノは、取り出しやすい位置に
キッチンの食器、ドレッサーのアクセサリーなど、どのジャンルのモノであっても「毎日使うモノは、取り出しやすい位置に置く」というのが収納の基本。
引き出しなら手前、棚なら「ゴールデンゾーン」といわれる腰から目の高さまでの位置に置きましょう。使いやすさとしまいやすさが、グッとアップしますよ。
また、毎日使うモノをしまうスペースには、なるべく余裕をもたせることもポイント。目に見えやすく、手がスッと入って取り出しやすいように、モノの量はスペースの7~8割までを上限としてくださいそのためには、定期的な見直しと処分も心がけると◎。
モノにそれぞれ居場所を作る
洋服はクローゼット、本は本棚と、居場所がきちんと決まっているモノがある一方、外したあとの腕時計やメガネ、買ってきた雑誌、ポストから取り出したDMなどは、どこに置くか決まっていないご家庭が多いようです。
このように居場所があいまいなモノは、ついその辺に置いてしまい、空間を雑然とした雰囲気にしてしまいがち。小さなトレーやカゴなどを用意して、それぞれ居場所を作りましょう。こうして、「その辺に置く」をストップするだけで、スッキリ度は大きくアップします。
収納グッズは色や素材を統一する
モノをまとめるのに便利な、ケースやカゴなどの収納グッズ。これらは色や素材に統一感を持たせると、限られたスペースをスッキリと美しく見せることができます。
基本のホワイト、落ち着いた雰囲気のブラウン、リラックスムード漂う自然素材など、お好みのインテリアのテイストに合わせて選んでみましょう。子どもの好きな色柄のクロスを貼るなど、アイデアを生かしてDIYしても素敵ですね。
形は、空間に無駄が出にくい四角がおすすめです。購入前にはもちろん、置き場所の寸法をきちんと計っておきましょう。
目標を設定したら、あとは実践するのみ。今度こそ、「片付け苦手」を卒業しましょう!
情報提供:整理収納アドバイザー 今井 知加
薬剤師・整理収納アドバイザー2級認定講師・企業内整理収納マネージャー。整理収納の理論に脳科学を活用した独自のメソッドで「片付け力」を身に付ける方法を、スクールやメディアで発信。家事を効率化して、自分の時間や家族との時間を充実させる方法をご案内。
HP:http://yutorijikan.blog.jp/