収納ガイド
デッドスペースを活用した収納アイデアとは?
収納の少ない家に住んでいるため、何かと苦労が多いのが難点です。たとえばトイレットペーパー1つ挙げても12個入りなどとても置けないので、割高でも少ない個数の品を購入するしかありません…。これに限らず、いろいろなストックをどうすればうまくしまうことができるのか教えてください。
壁との隙間や扉裏のデッドスペースなど、今まで使っていなかった空間の有効利用を覚えましょう。これはこうした収納でなければならない、という決まりはありません。工夫を楽しむ習慣を身に着けて!
情報提供:整理収納アドバイザー 角一 まり子
部屋の中にはデッドスペースがあふれている!
あなたはデッドスペースと聞くと、どのようなものを思い浮かべますか?デッドスペースとは、家の中などでうまく利用できていない空間のこと。たとえば、棚と壁の間にある隙間、ソファやベッドの下にある空間、押し入れやクローゼット内の使えていない空間など。
今まで気がつかなかった新たな収納スペースを見つけ、空間を上手に使った片付けやすい仕組みを作りましょう。
場所別「よくあるデッドスペース」
「収納場所が少ない」「欲しい場所に収納スペースがない」などのお悩みを耳にすることがあります。使いづらいなと思う狭い場所、収納スペースのなかにも収納に使える空間があるかもしれませんよ!「よくあるデッドスペース」を場所別に見ていきましょう。
キッチンにあるデッドスペース
キッチンでは、冷蔵庫と壁の間にある隙間や食器棚と壁の隙間など、数センチの隙間を活かしたい!という声をよく聞きます。
たとえば、隙間が10センチあれば置くことができる、隙間収納専用の棚があります。調味料類や缶詰、1リットルのペットボトルなど、容器が8センチ前後のサイズのものが多いので、主に食材のストックを収納することが可能です。
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また、壁面利用もとても有効です。壁面も立派な収納空間。フックを活用して、よく使う調理道具を壁面にかけて見せる収納をすれば、その分キッチンのシンク下の収納スペースに余裕ができます。最近では耐荷重が十分にある強力なマグネットフックなどもあり、加えてデザイン性の高いものもありますので、自分好みの「見せる&魅せる収納」をしてみるのもよいですね。
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意外なデッドスペースである壁面を活用した収納は、DIYも可能です。壁面収納の活用例や注意点などをお知らせします。
観音開きのキッチン戸棚の場合、上部の空間が空いていることも…。高さを活かせば、収納力はアップします。コの字ラックを使ったり、棚板に吊り下げラックを設置したりして縦の空間を活かすことで、収納できるスペースが増えるのです。また扉の内側にタオルハンガーを設置すると、鍋蓋などをしまう場所を作ることができます。
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洗面所にあるデッドスペース
洗面所は、限られたスペースでさまざまなことを行います。たとえばお風呂の準備、洗濯、掃除、身支度など…。収納したら便利と思われるアイテム数がとても多い場所です。いろいろな生活シーンで使う場所であることから、狭い空間ながらたくさんのモノを収める必要がありますが、意外と収納空間が少ない家が多いのです。
この悩みを解消するためには、たとえば突っ張り棒を壁に設置し、ティッシュペーパーのストックやタオルなどを置くスペースにしたり、洗濯機の側面にマグネットつきのゴミ箱を設置したりして、なるべく床部分を使わずして収納スペースを確保するとよいですよ。
ただし、突っ張り棒を使う際には耐荷重の注意が必要です。便利なのでついいろいろな用途で使用したくなってしまいますが、なるべく軽いものを乗せることをおすすめします。
洗面所は、隙間収納やデッドスペースを活用することで過ごしやすくなる可能性の最も高い場所です!
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玄関にあるデッドスペース
玄関は、「その家の顔」と言いますよね。家族だけでなく、お客さまも迎える大切な空間です。靴やスリッパ、傘などであふれていませんか?デッドスペースも有効活用してスッキリした玄関にしたいですよね。
まず玄関収納のポイントとなるのは、靴以外のモノ、玄関にあったらよいなというモノを収納するために空間を使い切ることです。靴は男性用・女性用・子ども用でサイズや形も異なるため、下駄箱にはデッドスペースが発生しやすいもの。アイデア次第でより多くのアイテムを収納できるようになります。
靴を収納する際、棚板が上下に動かせない際は上部に使い切れない空間ができます。この使いきれない余った空間・上側のデッドスペースに、突っ張り棒を奥と手前に2本設置します。2本の突っ張り棒が棚代わりとなり、その上にシューズボックスを置けば使用頻度の少ない靴を保管できます。透明なシューズボックスにすれば中身も見えるので、使用したいときにスムーズに取り出せますよ。下駄箱の扉裏にもタオルハンガーをつければ、スリッパなど軽いモノをひっかけて収納することができます。
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下駄箱横にできるスペースは、使い切れずモノだまりになってしまいがちです。下駄箱のサイドにアイアンバーを取り付ければ、立派な傘置き場に。すぐに目に付くので、雨が降りそうなときに傘を忘れて出かけてしまうなんていう心配もなくなります。また、コートハンガーを置いて、家の中まで持ち込む必要のないアウターやコートをかけておく場所として活用してもよいですね。
下駄箱上の壁に板を貼ってフックを取り付ければ、帽子やスカーフなどをおしゃれに収納できます。
クローゼットにあるデッドスペース
クローゼット収納にできてしまう見落としがちな隙間も、片付けやすく、整理整頓もしやすいスペースに有効活用できます。
収納ケースを置いてできた端のデッドスペースには、突っ張り棒とフックを組み合わせた吊り下げ収納を作れば、そこにカバン(バッグ)をかけることができますね。普段使いしないバッグも、目につく場所なので必要なときにすぐに取り出せます。
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デッドスペースで使えるアイテム別収納アイデア
ここではデッドスペースを有効に活用できるアイテムを使った収納アイデアをご紹介します。
タオルハンガー
●キッチン扉裏で鍋蓋を引っかけて収納
●壁に縦に2本取りつけてタオル収納(壁に沿ってタオルを縦に積み上げることが可能)
●下駄箱の扉裏に取りつけてお客様用スリッパを収納
おしゃれに収納したい、インテリアと合わせたいときには、アイアンバーがぴったりの場合も!
フック
●キッチン扉裏にゴム手袋やブラシ類などの軽いものをかけて収納
●玄関にて鍵の定位置に
●バッグをかけて収納
●ドレッサー周辺にてピアスやネックレス、ブレスレットなどのアクセサリー類を収納
突っ張り棒
●洗面所にてタオルの収納
●トイレにてトイレットペーパーの収納
●ダイニングテーブル裏に2本渡してボックスティッシュの定位置に
●クローゼット内の両端デッドスペースに渡し、S字フックなどで吊るすスペースを増やす
ファイルボックス
●キッチンの引き出しに並べて置き、フライパンや鍋、鍋蓋などの付属品を立てて収納
●ストック品や出番の少ないアイテムを入れて収納
隙間収納を含め、雑誌や本などにはさまざまな収納術があふれています。でも、手の込んだ収納方法というのはかえって「収納を目的」にしてしまい、「グッズの使いやすさ」を忘れがちです。使いにくい収納はその状態を維持できないため、つい「モノだまり」になってしまいます。あまり工夫しすぎないシンプルな使い方が「続く収納」のポイント。「使いやすく、戻しやすい」という考えを基に、シンプルな収納を目指しましょう。
デッドスペースを収納として活用するメリット
モノが増え、しまう場所がないからといって収納家具などを増やしていく…、よくあるパターンですね。そうなると、広くて大きな居住空間はどんどん狭くなっていってしまいます。
実際に、モノが増える度に収納家具を増やした結果、生活スペースを占拠され、身動きが取れなくなってしまったお宅もあります。家具が過剰に増えれば、「人の動き=動線」まで塞いでしまい、非常に生活しづらくなります。
しかし、小さな隙間も使い方次第で収納スペースになります。デッドスペースを上手に活用すれば、生活スペースを狭めてしまうような収納家具を増やさずに済みます。デッドスペース利用の最大のメリットは、生活スペースを圧迫することなく、モノを収めることができることです。
デッドスペース用収納グッズの選び方と注意点
デッドスペースに使用する収納グッズも、通常の収納グッズと同様シンプルな色使いやデザインにすることをおすすめします。人は視覚から得る情報が8割以上と言われています。あまりにカラフルな色使いや特徴的なデザイン性があると、せっかく片付いていてもごちゃついた印象になってしまうのです。
また、隙間から引き出すためには器具にキャスターがついているタイプを選ぶと出し入れしやすく、使える収納になります。出し入れしにくいとせっかく作った収納が活かしきれずに終わってしまいますので、隙間をパズルのように埋めるだけではなく、使いやすい収納を心がけましょう。
デッドスペースがゴールデンゾーンに
ここまで紹介してきたように、デッドスペースは工夫次第で「ワンアクションで取り出せるゴールデンゾーンに変わる」ことがあります。空いてしまった隙間から収納を考える方法もありますが「ここにこれがあったら便利だな」ということを考えるうちに、自然とデッドスペースの活用法が見えてくることもあります。
自宅の中でそんな有効な場所がないか見渡して、いろいろと工夫を楽しむとよいでしょう。ほんの少しのデッドスペースを活かすだけで、日々の暮らしがとても快適になることを実感してみてください。
(撮影協力:今井 知加)
情報提供:整理収納アドバイザー 角一 まり子
整理収納アドバイザー1級認定講師/&STORAGE代表 1000件を超えるご家庭の整理収納サービスや多数の住宅メーカーで収納監修を手掛ける。(セミナー受講生は6000名を超える)人・モノ・空間を整え『美しく、心地よく暮らしやすい』を提案している。