収納ガイド
ベッド下も収納場所に!湿気、カビ対策で有効活用
先日友人の新居を訪れた際、収納スペースが少なく見えるのに、とても大きなクリスマスツリーを飾っていました。使わない季節はどこに収納しているのか聞いてみたところ、何とベッドの下に大きな収納スペースがあると聞いてびっくり。ちょうどベッドを購入しようと思っていたので、ぜひベッド下のスペースを活用したいと思っています。ベッド下収納について教えてください。
いくつかのポイントを押さえれば、ベッドの下は優秀な収納場所に!まずは部屋の使い方を考えて、ベッド下をうまく活用してみましょう。
情報提供:整理収納アドバイザー 大熊 千賀
目次
モノがたくさんあって収納場所が足りない、もともとの収納が少ないなど、収納スペース不足は代表的な収納のお悩みの1つです。「収納場所がなければモノを捨てればいい!」などという話もありますが、モノを簡単に捨てられれば苦労はしませんよね。
ベッド下のデッドスペースは、そんな人への強い味方になってくれます。今回はベッド下のスペースを無駄にせず、収納場所としての使うときの注意点とともに、活用方法を分かりやすくご紹介します。
ベッド下収納の種類
ひとくちにベッド下収納といっても、さまざまな種類があります。ベッド下収納のタイプによって収納するモノが変わってきますので、もしこれから購入される方は、何を収納すると部屋が使いやすく、日々の生活が快適に送れるかどうかを考え、それに合ったベッドを購入しましょう。
ここからベッド下収納の種類をご紹介しますので、自分が何を収納したいのか、それに合ったベッドはどれなのかを考えて選んでみましょう。
ベッド下が引き出しになっているタイプ
ベッド下に引き出しのある、引き出し付きベッド。引き出しは1段で左右に分かれたタイプもあれば、2段に引き出しが付いたタイプもあります。2段タイプのベッドは、床からマットレスまでが高くなる分、収納スペースは大きくなります。
ベッド下収納が跳ね上げ式のタイプ
マットレスを敷く床板を持ち上げると、ベッド下が収納スペースになっている跳ね上げ式ベッド。ほかのタイプに比べて広い収納スペースが特徴で、多くのモノを収納できるのが魅力です。 収納部分の深さが選べる跳ね上げ式ベッドもあります。大量の荷物を収納したい場合は、深型タイプを。圧迫感を抑えたいなら、浅型タイプをおすすめします。
ベッド下が空間になっているタイプ
ベッドの下に空きスペースがある脚付きベッド。このタイプのベッドの場合、下の空間を収納スペースとして利用できます。ベッドの広さや雰囲気に合った収納ボックスを置くとよいでしょう。
ロフトタイプ
ベッドが高い位置にあり、その下が勉強机や収納スペースになっているロフト式のベッド。ロフト式ベッドの下のスペースは、チェストといった収納家具を収めるのに向いています。ただし、ベッド下のスペースには大人が立てるほどの高さがない場合が多いです。そのため、ベッド下に入って何かを取り出す際はかがんでものを出し入れすることになります。
ベッド下収納を利用する際の注意点
収納スペースが少ないときにベッド下が使えるようになれば、タンス1個分にもなる収納スペースができてお部屋がスッキリ!ただしベッド下収納には、実は気をつけなくてはいけないことがあるのです。
ベッド下収納は、しまうモノによっては出し入れすることが面倒なモノも。そのうち入れていることをすっかり忘れてしまい、あとで探し物に困ることも起こります。「入れっぱなし」にならないように注意しましょう。
湿気が溜まりやすい
ベッド下は湿気が溜まりやすい場所でもあります。湿気はカビや悪臭の原因になり、特に服や布類にとっては大敵。「北側にある息子の部屋のベッド下から、夫の思い出の革ジャケットがカビだらけで出てきた!」というのは、実際にあった話です。
ほかにも、圧縮袋に入れて長く収納していたスキーウェアから、違和感のある湿気の匂いがしたという例も。使うたびに洗濯し、前回出し入れしたときには問題のなかった収納方法でも、しばらく入れっぱなしにすることで湿気の影響を受けてしまうことがあります。人は寝ている間にコップ1杯分の汗をかくといいます。そんな汗が染みこむベッドの下は、換気や湿気対策が必要です。
[対策]
クローゼットの引き出しに使う防虫剤、除湿剤を入れておくようにしましょう。湿気対策で一番効果的な方法は、お天気のよい日にベッド下の扉や引き出しを全開にしておくことです。ついでにクローゼットなども空けて空気を通すことがおすすめです。
たとえば、朝出かける前に開ける、家にいるときに窓と一緒に開ける、などの工夫を。ベッド下の引き出しを開けてもしホコリがあれば、見つけたときだけでも掃除機をかけましょう。それだけでもかなり改善できます。
ホコリがたまりやすい
忘れてはならないのは、ベッド下はホコリも溜まりやすい場所であるということ。ホコリがあるところには、必ずダニが発生します。
[対策]
ベッドの下に空間がある場合は、できる限りスペースにピッタリの収納ケースを見つけましょう。
キャスター付きの引き出しにするのもよいですね。DIYが得意であれば、すのこにキャスターを取り付けることで、オリジナルの引き出しを作ることができます。そうすれば引き出しを出し入れしやすくなり、掃除も億劫ではなくなりますね。
布物や籐の籠などのケースを選ぶときは、確実にホコリがつくので注意しましょう。毎日使うモノなら蓋なしでも大丈夫ですが、そうでないモノの場合は上の写真のような蓋付きケースをおすすめします。
●キャスター付き収納に関する記事はこちら
キャスター付き収納の種類や使用例、作り方についても紹介しています。
ベッドの置き場所を選ぶ
寝室の大きさや、ベッドの種類によって、ベッドを置く場所を考えなければなりません。
たとえば引き出し式のベッドであれば、引き出しを引くために自分の体の分も含めたスペースの広さが必要です。部屋の狭さが心配な場合は、そのスペースがあるのかどうかを確認しましょう。
ヘッドがあるベッドの場合は、引き出しがどちら側についているかの確認が必須です。いざ置いてみると壁側が引き出しになってしまう、などということもあります。
また、跳ね上げ式の収納タイプは、床板を持ち上げたとき、天井に当たらないか、圧迫感がないかなどサイズ感の確認を行いましょう。
[対策]
ベッド下の引き出しや、収納ボックスなどを引き出しやすいスペースを確保しましょう。
クローゼットがある場合は扉や寝室のドアの開閉がしやすいようにベッドを配置します。引き出しやドアが開けにくいと収納が億劫になり、モノが乱雑する要因にも。
ベッド下に何を入れる?
ベッド下収納の基本は、使用頻度が低いモノを収納することです。たとえば、スキー用品、釣り竿、思い出の品、年に一度以上は使わないモノ。ベッド下収納の高さにあった蓋付きのケースや袋に入れて、しっかり除湿剤、乾燥剤、防虫剤が効く状態にしましょう。
取り出しやすい手前の方には、収納したモノの中でも使用頻度が高いモノを置いておきましょう。その場合は思い出の品よりは、シーズンごとに使うスキーウェアの方を手前にする、などの工夫を。少しでもスムーズに取り出しやすい状態を考えるのが大切です。
ベッドの下に空間がある場合は、引き出し式のモノが使いやすいですよ。ただし気をつけなければいけないことは、ベッド幅はシングルでも100cm程あるということ。さすがにそんな長い収納ケースはなかなか見つからないですよね。そのため、日々はベッド下収納の手前だけを使うイメージとなります。
そんなベッド下の空間におすすめなのは、引き出し式の収納ケース。 下の写真のように片手でサッと取り出すことができ、とても便利です。
※イメージ写真収納ケースにこだわりたい人は、最近は100円均一ショップでもおしゃれなボックスが手に入ります。お気に入りのケースを探すのも楽しいものです。たとえば木製ベッドなら、落ち着いた木目調の収納ボックスもよいですね。高さのないベッド下であれば、薄型の収納ボックスや引き出し、不織布ケースなどを用意しましょう。
そのほか、生活感が出ないように工夫をするという方法もあります。プラスチックの引き出しを使っていて、どうしても目隠しをしたければ、引き出しの内側に紙や生地を貼っておしゃれに隠してしまいましょう。
衣類やバッグを収納
衣類を収納する場合の基本は、よく着る衣類を入れること。下着や靴下など頻繁に使うモノを収納すれば、朝すぐに着替えることができます。また、ハンカチやバッグ、靴などを日々使うモノを収納することで、引き出しの開け閉めが増えます。そのため、自然と換気される回数が増え、湿気の心配は軽減されます。
しまう衣類の種類を決めておきましょう。部屋着をしまうのか、もしくは下着をしまうのか、きっちり決めておかないと、あとでクローゼットにしまったのか、ベッド下にしまったのか迷うことになってしまいます。たとえスペースが少し空いたとしても、決めた種類のモノだけを必ず入れるようにしましょう。
マンガ、文庫本
ベッド下の引き出しにはマンガや文庫本などの書籍を収納するのもよいでしょう。仕切りを使って種類別に並べれば、きれいに整理もされた状態に!書籍を収納する場合は重くなりがちなので、耐荷重について調べることと、湿気の問題に配慮しましょう。紙類は湿気を吸い取るため、除湿・防虫の対策はしっかりしてください。
布団、毛布、シーツやタオル
長く使わない布団やオフシーズンの毛布、シーツやタオルなどをベッド下に収納するのもよいでしょう。クリーニングに出し、除湿・防虫対策をして収納しましょう。
収納ケースは、弾力性や通気性に優れている不織布でできた収納ケースや、防虫・防カビ効果のある布団専用袋をおすすめします。
ベッド下の収納は広いスペースが魅力。だからといって、家族で使っているモノを何でも乱雑にベッド下に入れることは、管理しやすい状態とはいえません。基本は、自分のモノは自分の部屋にしまうよう心掛けましょう。子どもがいる場合は、自分のモノを自分で管理する力が身につくきっかけにもなります。夫婦のベッド下は子どものモノではなく、夫婦のモノか家族で使うモノを入れる場所として有効活用を。
これらの注意点をふまえ、モノをしまうときには、収納することと同時に「モノを管理する」という意識を持つことが大切です。
ベッド下収納を快適に利用するための工夫
大事なことは、ベッド下の収納に何を入れるかを考えるのではなく、まずは部屋を快適にするにはどうベッド下を使っていくかを考えること。そうすることで、ベッド下が使いやすい収納場所になります。あまり使っておらずただ部屋を占領してしまっているモノを入れた方がいいのか、もしくは普段使っている雑貨や衣類を入れるのか、それぞれの目的に合わせてベッド下を使いましょう。
何を入れるにしても気をつけたいのは、湿気とホコリの問題。しまったモノが残念なコトにならないよう、晴れの日は「開けて換気する」ということを忘れないようにしてください。
そして、めったに使わないモノを入れると、ベッドの下は開けない場所となってしまうことがあるので注意が必要です。めったに使わないということは、いつか使うと思っていたモノがいつの間にか不要なモノになっていた、ということもあるのです。湿気、ホコリの対策と同時に、定期的にベッド下の見直しをするよう心掛けましょう。
自分や家族にとっての優先順位を見つけながら、収納の仕方やベッド選びを考えてみてください。 モノを効果的に収納できれば、散らかっていた部屋の床も片付き、日々の掃除も楽になります。キレイな部屋は、居心地がよいものですよね。
収納スペースがあるからモノをしまうのではなく、快適に暮らすためにモノを収納するということ。そのためにはどこにどのように収納をするかをまず考えましょう。この順番を守れば、使いやすい収納とともに快適な心地よい暮らしができますよ。
(撮影協力:今井 知加)
情報提供:整理収納アドバイザー 大熊 千賀
整理収納アカデミアマスター、整理収納アドバイザー1、2級認定講師、ルームスタイリスト・プロ、住宅収納スペシャリスト認定講師。「笑顔のある暮らし」の実現を目指した、ライフスタイルに合わせた整理・収納法を提案している。暮らしStyle代表、三児の母。