マンション購入ガイド
高級マンションの驚くべき価格・間取り・設備とは?
友人がマンションを購入しました。いわゆる「億ション」と呼ばれる物件で、超高級マンションにしかない仕様・設備があると聞きました。一体どのようなものがあるのでしょうか?
高級マンションは、高級という名にふさわしい外観やラグジュアリーなエクステリアをはじめ、ホテルのようなフロント・コンシェルジュサービスや防犯性の高いセキュリティ、ハイグレードな設備・仕様が用意された室内となっています。高級マンションならではのサービスや仕様・設備はマンションによってさまざまです。
情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸
高級マンションってどんなマンション?
高級マンションと呼ばれる物件は、立地のよさや部屋の広さ、設備のグレードの高さがほかのマンションとは違い、住まいとしての魅力にあふれています。多くの人が「そこに住みたい」と思う理由があるからこそ、価格が高額であっても高い人気を維持していられるのです。
人々の憧れとなっている高級マンションとは、具体的にどんな特徴があるのでしょうか?高級マンションが持つ魅力について、詳しくご紹介していきます。
価格が億を超える、通称「億ション」
高級マンションの代名詞として「億ション」という言葉がよく用いられます。1980年代後半に流行した言葉で、購入価格が億を超えるマンション物件を指します。昨今では、都心の不動産価格の上昇とともに販売価格が1億円を超える物件は珍しくないものとなってきました。
もちろん、億ションではなくても、高級マンションと呼ばれる物件はたくさんあります。高級マンションの価格としての明確な定義はありません。グレードの高い仕様で建てられ、相応の価格として、地域の周辺物件と比べて高めの価格で販売(売買)されるマンションを高級マンションとして考えるようです。
立地がよく、間取りに対して部屋が広い
高級マンションは、立地のよさと、間取りに対しての部屋の広さに特徴があります。立地の特徴としては、利便性が高いうえに閑静な立地に建設されていること。そのため、人気があり地価の高い立地になる傾向があります。
東京なら、アクセスのよい山手線や東京メトロの銀座線、日比谷線、千代田線沿線の都心の人気駅が最寄りといった感じです。ほかにも都営地下鉄の都営浅草線や都営三田線、都営大江戸線などの都心部の人気の高い駅に点在しています。
具体的な駅名・地名の例を挙げるなら、港区の麻布十番や表参道、赤坂などは、みなさんもイメージしやすいかもしれませんね。そのほか、市ヶ谷や恵比寿、広尾、中目黒、代々木、飯田橋、浜松町、永田町など歴史のある街も挙げられます。
また、街の開発が進む高輪や虎ノ門、さらにやはり人気の高い六本木や代官山、原宿など、地価の高い地域で挙げていけば、キリがないほどです。
加えて、駅からの近さも立地の特徴といえるでしょう。人気の高い駅で、なおかつ駅からの距離が徒歩10分以内、なかには2分、1分といった駅近の物件も多くなっています。
また、高級マンションの特徴の1つである部屋の広さは、一般的なマンションと比べて大きな違いがあります。たとえば、高級マンションでは200m2以上もある物件も珍しくありません。特に、間取りに対して面積が広い物件が多く、たとえば、3LDKで80m2以上あるといったように一般的なマンションに比べて、ゆったりとした間取り構成となっています。
ちなみに、国土交通省が出している、4人暮らしの場合の健康で文化的な生活をするために必要な住宅の面積は、50m2※1ほどですから余裕の広さといえるでしょう。
ゆったりとした間取り構成となっている高級マンションでは、リビングが20畳以上あったり、主寝室が10畳以上あったり、キッチンにはアイランドキッチンが採用されているなど、価格に見合った居室面積とグレードの高い設備が用意されています。
タワーマンションなど付加価値の高いマンションに多い
立地や部屋の広さのほかにも、高級マンションの特徴としては一般的なマンションでは得られない付加価値があることが挙げられます。
たとえば、タワーマンション。タワーマンションとは、建築業界では高さ60m以上、およそ20階以上の居住用のマンションを指します。利便性の高い立地にあることに加え、高層の建物ならではの優れた眺望が魅力といえます。居住者専用の共用施設や行き届いた管理サービスがあったり、防犯性の高いセキュリティが備わっていたりなど、たくさんの付加価値があることが高級マンションといわれる理由となっています。
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タワーマンションを購入する際に知っておきたいポイントをご紹介しています。
付加価値の高いマンションの中には、ヴィンテージマンションとして相場より高い価格で取引されている中古マンションもあります。立地だけでなく時代を超えて魅力あるデザイン性、優れた建物管理などの魅力によって、築年が経過しても資産価値が下がりにくい物件となっています。多くの点で人を魅了する特徴を持っていることから、高級マンションといわれているのです。
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ヴィンテージマンションについての魅力を紹介しています。
また、デザイナーズマンションも付加価値のある物件の1つです。本来のデザイナーズマンションは、著名な建築家などがコンセプトを持って設計した物件のことをいいます。好立地にあり、洗練されたデザインの内外装やハイグレードの設備を備えていることから、こだわりのある高級マンションとして売買されます。低層の建物や少し駅から離れた立地のこともありますが、その個性に惹かれる人から高い人気を得ています。
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デザイナーズマンションについて詳しく紹介しています。
高級マンションの驚きの設備やサービス4選
高級マンションには、一般的なマンションではあまりみられない設備やサービスもたくさんあります。一体、どのような設備やサービスがあるのか、具体的に見ていきましょう!
[ 1 ] ホテルのようなエクステリアとインテリア
高級マンションの施設は、「ホテルのようだ」と形容されることがあります。建物の外観は洗練され、広々としたエントランスロビー、常駐のフロントはもちろん、庭園まであるマンションもあります。まさにホテルのような外観と雰囲気を備えている物件も少なくありません。
たとえば入居者や訪問者を迎えるエントランスロビーは、そのスペースの広さや天井の高さに驚く人もいるでしょう。テーブルやソファーも上質なインテリアが使用され、飾られているオブジェをはじめとした調度品も高級感にあふれています。
高級マンションでは、ホテルのように建物の内に内廊下を採用している物件が多くなります。内廊下は、外気にさらされない屋内のスペースであるため、建物内の移動は天候を気にする必要がありません。また、建物の外から部屋への出入りが見られることがないため、プライバシーが保てるというメリットもあります。内装は、壁や床、照明に至るまで、それぞれに洗練された高級感のある素材やデザインで居住者を満足させてくれますよ。
また、廊下やエントランスのような共用部分だけでなく、住居スペースである専有部分にも大きな違いがあります。たとえば玄関は、スペースが広く、床の素材も高品質なものが採用さている傾向があります。また、玄関近くにシューズインクローゼットが設置されており、たっぷりの収納が用意されている物件もみられます。
リビングの広さも、一般的な物件とはやはり異なってきます。20畳や30畳以上のゆったりとしたスペースを確保したリビングダイニングが用意されています。ウォークインクローゼット付きの10畳以上の寝室があったり、書斎やパウダールームがあったりなど、ゆとりある広さがあるからこその間取りになっているような物件もよく見受けられます。
キッチンは、海外製のアイランド型を採用している物件もあります。デザイン性が高く、天然石をはじめ使用している素材が高級感にあふれているのも魅力的です。手軽に生ゴミを処理できるディスポーザーや食後の片付けが楽な食器洗い乾燥機、一体型のコンベックなど、家事をサポートする設備を標準装備している物件もありますよ。
[ 2 ] コンシェルジュ常駐のフロント
高級マンションのフロントでは、入居者の要望に応える「コンシェルジュ」が常駐しているところもあります。マンションによって異なりますが、代表的なコンシェルジュサービスには以下のようなものがあります。
●共用施設の予約受付
ゲストルームや展望ラウンジなどさまざまな施設の予約を受け付けます
●来訪者の受付・案内
外部からの来訪者の受付、取次ぎと同時に入出館の管理をします
●荷物の一時預かり
宅配便のほか、外出時の手荷物を預かります
●メッセージ預かり
来訪者からのメッセージを預かります
●クリーニングの取次
フロントでクリーニングを預かり、提携しているクリーニング会社との受け渡しをします
●宅配便の発送受付
宅配便の発送手続きをフロントで受け付けます
●タクシー・ハイヤーの手配
希望する時間に車を手配します
●デリバリー・ケータリング紹介
提携先のほか、希望に応じて紹介してくれます
●各種レンタルサービスの紹介
レンタカーの紹介をはじめ、さまざまなレンタルサービスを紹介します
上記で挙げた以外にも、マンションによってはこんなサービスがあります。
・郵便物の発送
・ハウスクリーニングの手配
・ポーターサービスの対応
・ゴミ出しの代行
・長期間外出時の室内換気やペットの世話などの対応
特に、最高級といわれるマンションになると、有名なホテルと提携し、施設だけでなく、毎日のルームクリーニングやリネンの交換などを利用できるところもあります。
ただし、サービスによって無償で提供されるものと、利用時に有料となるものがあり、マンションによってもその範囲が異なるようです。
[ 3 ] 多様な共用部分の施設
物件によって内容は異なりますが、マンション内の共用部分にあたる施設や設備もとても充実しています。集会室や会議室のほか、フィットネスジムやキッズルーム、展望ラウンジ、ゲストルーム、パーティールームといった一般的なマンションにはあまり見られない施設を備えています。
それらの施設を居住者が「専用」に利用できることは、高級マンションの大きな魅力の1つです。マンションによっては、スパ(大浴場)やサウナ、託児施設、図書室、ラウンジバーまで併設しているところもあります。
[ 4 ] 防災・防犯への配慮
高級マンションは、防災や防犯への配慮が行き届いています。まず、防災としては、建物に免振や制振工法を採用し、備蓄庫を設置するなど、地震をはじめとした災害に対する備えが充実しています。
居住者の安全や安心への対応は当然のものとして、高額な資産としての建物も守るという意味からも災害への配慮がなされているのでしょう。
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マンションの地震に対応した構造や個人でできる地震対策を紹介しています。
次に、防犯について見ていきましょう。高級マンションでは、エントランスだけでなく、エレベーターホールやエレベーター内など複数カ所で鍵が必要なダブル、トリプルオートロックシステムを採用しているところがあります。また、共用部分のさまざまな箇所に防犯カメラが設置されているだけでなく、24時間365日警備員が常駐している場合もありますよ。ほかにも、セキュリティ会社と連携するなど外部からの侵入に対して徹底した配慮がなされています。
高級マンションを購入する前に知っておきたい注意点3つ
一般的なマンションに比べ贅沢な設備やサービスが採用されている高級マンションですが、住むうえで注意したい点もあります。ここでは高級マンションの注意点をご紹介します。
管理費が高い場合がある
共用施設やサービスが充実しているので、それだけ維持費の負担も大きくなります。コンシェルジュサービスや24時間常駐する警備や管理の人員を含めれば必要な人件費も大きくなります。共有部分が充実している分、自分が使用しない施設が多い場合は、損した印象を持ってしまうこともあるでしょう。とはいえ、高級マンションに住む方には、そうしたことをあまり気にされない方が多いようです。
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共用部分は利用できない場合がある
居住者のために用意されたたくさんの共用施設ですが、ゲストルームやパーティールームなど特定の時期に人気のある共用施設は、予約の倍率が高いこともあります。時期的に人気のある施設は、利用したいときに利用できないというケースもあるようです。
高層階では外に洗濯物を干せない場合がある
タワーマンションの高層階では、安全上の理由で洗濯物や布団などを外に干すことができない物件もあります。高層階に住む場合には、そういったことも想定し、実際に洗濯物などが干すことができるのかを確認しておくようにしましょう。また、タワーマンションならではの悩みといえば、朝の通勤時間帯に一時的にエレベーターの待ち時間が長くなるといったこともよくきかれます。
高級マンションは誰が買う・住むの?
高級マンションについて分かってくると、どんな人が住むのかも気になってきますよね。高級マンションを購入するのは、収入の高い職業の人や資産家が多いということは、イメージできると思います。企業経営者や個人事業主、上場企業の役員、弁護士や医師などといった人をイメージしているのではないでしょうか。そうした人に限らず、資金的に余裕のある方が、立地や利便性、住環境を追求した結果、高級マンションを選んでいるようです。
一方、高級マンションの賃貸物件に住む方は、企業経営者や芸能関係やフリーランスの人など、収入は多いものの住宅ローンが組みにくい職業の人が多く見られます。こうした人は、よりよい住環境に住みながら節税にも繋がるため、高級賃貸物件に住むこともあります。というのは、高額な所得があり、賃料を経費として認められる人の場合、賃料を経費として処理することで節税したいと考えるためです。
高級マンションを購入するには?
高級マンションならではの魅力を知ることで、将来住んでみたいという人もいるでしょう。では、もし高級マンションを購入するとなったら、そのときにどんな流れになるのでしょうか?具体的にご紹介しましょう。
購入までの流れ
高級マンションも一般的なマンションと購入する際の流れはほとんど変わりません。新築か中古か、物件が完成しているのかこれから完成するのかなど、物件の条件によって若干流れが異なってきます。いずれにしても、情報収集や物件探しなどは、早め早めに行っておくとよいでしょう。主な流れは以下の通りです。
・情報収集/相場を知る
・物件を探す(希望イメージ)
・モデルルーム見学
・物件を決める(資金計画)
・購入手続き:購入申し込み後、売買契約
・住宅ローン審査:1カ月前後
・ローンの契約(金銭消費貸借契約)
・決済:物件代金の支払い
・引き渡し:契約から完成済みの物件なら1カ月前後、未完成物件は完成後
まずは、情報収集から始めます。高級マンションに特化した物件サイトもありますので、ネットや雑誌で情報を収集するとよいでしょう。また、物件を選ぶ際には、立地や間取り、予算など、具体的に希望するイメージを明確にしておくのもポイントです。
希望の物件が絞り込めたら、モデルルームの見学や実際の物件を見に行きましょう。室内だけでなく周辺環境など、実際に目で見て肌で感じることが重要です。住みたい物件が決まったら、購入の申し込み手続きを行います。新築物件では、申込金などが必要になる場合もあるので事前に確認しておきましょう。
高級マンションの購入も一般の物件と同様に、一括支払いによる購入もできますが、住宅ローンの利用も可能です。住宅ローンを利用する際には、ローンの審査が必要になります。審査を経て、ローンの利用が承認されると売買契約へと進みます。その後、住宅ローンの本審査を通過したら、金融機関とのローンの契約を結び、決済日に融資を受けて残代金の支払いを行い、鍵の引き渡しを受けます。その後、晴れて入居することができるのです。
●マンション購入の流れに関する記事はこちら
新築マンションの探し方や購入の流れについてご紹介しています
購入前の下見は必須
住宅購入は、大きな買い物。それが高級マンションとなればなおさらのことです。後悔しないためにも、購入前の下見が重要になってきます。新築物件ならモデルルーム、中古物件なら内見に行くことで、実際に自分が住むことを明確にイメージしながら、物件の状況を確認できますよ。
●モデルルームや内覧に関する記事はこちら
マンションの内覧について紹介しています。
一般的なマンションとはよりもグレードが高い施設やさまざまなサービスが充実している高級マンション。その魅力や特徴についてご紹介してきました。これから先、マンションはもっと進化して、もっと驚きの環境が整備された高級マンションが誕生するかもしれませんね。
https://www.mlit.go.jp/common/001098415.pdf(最終確認:2020年5月15日)
情報提供:不動産コンサルタント 秋津 智幸
不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。不動産コンサルタントとして、物件の選び方から資金のことまで、住宅購入に関するコンサルティングを行なう。