櫻井幸雄の人生相談
第1回 部屋数と収納が欲しい!賃貸で充分という夫をどう説得したらいい?
櫻井先生、聞いてください。
私は、結婚して4年目の専業主婦です。現在、2歳の子どもが一人います。
今、私たちは2LDKの賃貸マンションで暮らしているのですが、今後の人生設計を考えると、早めにマンションを買いたいと考えているのですが、夫が全く乗り気ではありません。
子どもと3人暮らしの今の状態で、部屋数は足りていないし、私としてはもう一人子どもが欲しいと考えているので、正直、間取りは3LDKで、収納もきちんとあるマンションに住みたいと考えています。
夫にマンション購入の話をしても「賃貸でいいだろ」「頭金がない」「もったいない」などと言って、話になりません。
どうしたら夫を説得できるでしょうか?教えてください。
(36歳主婦妻)
奥さんがマイホームを欲しい!と思っているのに、ご主人が乗り気ではない……困った状況ですね。
家は賃貸で十分という賃貸派の意見で多いのは、「マイホームを買うと、大地震など災害で壊れてしまうかもしれない。だから、買いたくない」という意見です。
日本の分譲マンションは、阪神淡路大震災にも、東日本大震災にも耐えました。阪神淡路大震災で亡くなった人の多くは、古い木造住宅と古い木造の賃貸アパートに住んでいた人たちです。そう考えると、家族の命を守るためには頑丈なマンションを買った方がよいことになります。
分譲マンションを買うと、大きな安心が手に入るわけです。
でも、ご主人が乗り気ではない……じつは、そういう男性は世の中に少なくありません。「家を買うのは、面倒くさい」「無理して買うことないよ」という人たちです。
なぜ、そう考えるのでしょう。じつは、私自身、そんな人たちと話をしたことが何度もあり、気づいたことがあります。それは、まじめな人、慎重な方が多いということ。まじめな性格なので、ローンの返済ができなかったらどうしよう、とわるいケースを先に考えてしまうのです。
ご質問者のご主人も、もしかしたら、そのようなタイプかもしれません。
まじめな方は、ローンの審査にも慎重になります。「もし、審査に落ちたら、落ち込む」という不安が先に立ち、尻込みしがちなのです。
住宅ローンを申し込むとき、奥さんも子どもも期待して見守ります。その期待のなか、審査に落ちたら、どうしよう……この不安は並大抵ではありません。
私自身、無名のフリーライターという職業のときに最初の住宅ローン審査を受けました。だから、その不安がよく分かります。
不安を持っているとき、妻から「審査に落ちても、命もお金も取られない。状況が今よりわるくなるわけでもない」と言ってもらえて、すーっと気持ちが楽になりました。
そして、実際にマンション販売センターでローンの申し込みを行うと、予想と違うことに驚きました。書類に記入した後、金融期間と交渉するのは私ではなく、販売センターの営業員。営業員がいくつもの金融機関と交渉し、私でも組めるローンを探してきてくれました。
実際、マンションを買うことに慣れている人は、「こんな私でも組める住宅ローンを用意して。それがみつかったら、契約するよ」という態度で臨むこともあるほど。住宅ローンの審査は決して怖くないのです。
そんなことを話すと、面倒くさいと言っているご主人も前向きになるかもしれません。一度、試してみてはいかがでしょうか。
情報提供:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄
1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。以後、多くの著書を送り出し、新聞雑誌への寄稿、コメント出しも精力的にこなす。2000年の文化放送「梶原放送局」を皮切りに、テレビ・ラジオに多く出演。