分譲マンションとは?
そもそも「分譲」とは「分割譲渡」という言葉の略です。一棟のマンションを一戸ごとに「分割」して販売しているので、分譲マンションと呼びます。
通常、マンションを購入するとなると、マンションの一戸を購入することになりますが、不動産を対象にした投資目的でもない限り、一棟の建物をまるごと購入することはありません。
そのため、「そろそろマンションを買おう!」という考えに至った場合は、必然的に分譲マンションを探すことになります。
ちなみに、「分譲戸建住宅」も、ほぼ同じような意味合いです。デザインが統一された戸建住宅が、同じ区画の中でまとまって販売されているのを見たことはありませんか?そのような住宅は、1つの敷地に一軒だけ住宅を建てる戸建住宅に対して、分割した土地に戸建住宅を建てて販売している分譲戸建住宅ということになります。
分譲マンションと賃貸マンションの2つの違いとは?
分譲マンションと賃貸マンションは何が違うのでしょうか?言葉の通り、賃貸マンションとは貸すことを目的としたマンションやアパートのことです。一般的な賃貸マンションの場合、オーナーが一棟まるごと所有して、一戸ずつ貸し出します。
引越しやすい賃貸マンションと長く住める分譲マンション
賃貸マンションは、気軽に引越しやすいのが特徴です。特に定住地が決まっていない方にとって、今後のライフプランを考えながら、自身が納得のいくタイミングで引越せる安心感は、大きなメリットといえるでしょう。
対して、分譲マンションは、購入して長く住むことを想定して建てられているため、建物や設備のグレードが高いのが特徴です。管理や修繕も計画的に行われています。
分譲マンションは自由度が高い
賃貸マンションは部屋を借りている状態のため、自由に内装を変えることはできません。たとえば、リフォームをしたり壁紙を変えたりして自分好みの部屋にすることは認められていません。
一方、分譲マンションを購入すると「自分の持ち家」になるため、規約の範囲内であれば自由に使えます。たとえば子どもの成長に合わせて間取りを変えることも可能です。また、ペットが飼える分譲マンションもあるので動物好きな人にもうれしいですね。
なお、分譲マンションとして建てられて、賃貸として貸し出されているマンションもあります。
分譲マンションの相場は?
2023年の新築マンションの平均価格※1は、以下の通りです。なお、1年間のなかでも、月によって相場は大きく変動するため、購入時期に合わせて物件情報を確認するとよいでしょう。
エリア | 平均価格 |
---|---|
東京23区 | 11,483万円 |
神奈川県 | 6,069万円 |
埼玉県 | 4,870万円 |
千葉県 | 4,786万円 |
また、2023年1~12月の中古マンションの成約平均価格※2は、以下の通りです。
エリア | 平均価格 |
---|---|
東京23区 | 6,126万円 |
神奈川県 | 3,711万円 |
埼玉県 | 2,872万円 |
千葉県 | 2,762万円 |
以上は首都圏のデータですが、住みたいエリアのマンション価格の相場を事前に知っておけば、購入価格の目安になります。積極的に情報収集しておきましょう。
分譲マンションを購入するメリットとは?
分譲マンションがどのようなものか分かったところで、次は分譲マンションのメリットについてお話ししましょう。
家事や暮らしに役立つ設備が充実
分譲マンションは、入居者が長く快適に暮らせるように、家事や暮らしをサポートする施設や設備をたくさん設けています!分譲マンションを購入する方に、以下の人気な施設や設備について紹介します。
- 宅配ボックス
- 24時間利用可能なゴミ置き場
- ディスポーザ
- 共用施設
宅配ボックス
不在時も宅配便を受け取れる宅配ボックスは、普段から外出時間が長い単身世帯や、自宅が誰も居ない状況になることが多い一般世帯などにとって、非常に実用的な設備です。ネットショッピングの際も、配達の時間を気にせずに購入できます。
24時間利用可能なゴミ置き場
マンション敷地内の決められた場所に、ゴミ収集日に関係なくいつでもゴミを出すことができる分譲マンションもあります。
※年末年始など利用が制限されている場合があります。各マンションの管理規約に沿ってご利用ください。
ディスポーザ
ディスポーザとは、食べ残しや野菜の皮などの生ゴミを粉砕処理できる設備です。ニオイの元となる生ゴミが減らせるので、いつでもキッチンを清潔に保てますよ!
共用施設
大規模マンションには、入居者同士で使える共用施設が備わっていることがあります。これは、戸建てにはない分譲マンションならではのメリットといえるでしょう。
子育て世帯に便利な「キッズルーム」、大勢で集まることのできる「パーティールーム」、来客時に宿泊可能な「ゲストルーム」など、分譲マンションによってさまざまです。友人が泊まりに来たときにも役立つこと間違いなし!
セキュリティが強固
分譲マンションはセキュリティ設備が充実しているのもポイントです。
オートロック
ほとんどの分譲マンションでは、エントランスがオートロックになっています。なかにはエレベーターに乗ったり、住んでいる階に行ったりする際にも鍵が必要な物件もあります。セキュリティが充実していると、ひとり歩きする子どものいる家庭でも安心ですね。
防犯カメラ
エントランスをはじめとする敷地内には防犯カメラが設置されており、不審者侵入の抑止力になっています。
管理人
分譲マンションにもよりますが、なかには管理人が常駐している物件もあります。防犯のために巡回してもらったり、困ったことがあったときにまず相談できたりするのは心強いですね。
コミュニティが形成されやすい
分譲マンションでは、基本的には長く居住する方が入居しているのでコミュニティが形成されやすいともいえます。
自治会のような「管理組合」としてだけでなく、趣味のサークル活動といった快適な暮らしのために入居者同士で交流したり、協力し合ったりして、より充実したマンションライフを目指してはいかがでしょうか?
分譲マンションなど持ち家を購入するメリットとは?
ここまで、分譲マンションの特徴についてお話ししてきました。では、分譲マンションを購入するメリットとは何でしょう?現在、賃貸にお住まいの方は要チェック!分譲マンション購入のメリットについてお話しします。
資産になる
分譲マンションを購入した場合、賃貸で発生する家賃と違って、支払った分だけ自分の資産となるのもポイントです。
分譲マンションは、住宅ローンを組んで少しずつ返済するのが一般的です。そのため月々の家賃と同じくらいの支払額で住宅ローンを組めば、無理なく返済できるでしょう。「いずれ購入する予定であれば、早いうちに分譲マンションを購入してしまう」という考え方もあります。売却する際にも、資産としての価値が低下していなければ比較的好条件で売ることができるでしょう。
老後に家賃の心配をしなくていい
分譲マンションを購入した場合、ローン完済後は管理費や修繕費など、ローンを差し引いた費用のみを支払いながら住んでいくことになります。老後は収入が減るリスクが高いため、家賃が毎月発生し続けることと比べると安心感がありますね。
分譲マンション購入の4ステップ
分譲マンションは、購入することで資産となり、老後に家賃の心配をしなくていいというメリットがあることが分かりましたね。では、実際に購入する場合、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか?購入の手順について確認していきましょう!
- 物件を探す
- 見学をする
- 購入の申し込みをする
- 販売会社と契約を結ぶ
[ 1 ] 物件を探す
分譲マンション購入の第一歩は、物件情報の入手から始まります。そのきっかけは、インターネットや折り込みチラシなどの広告、自宅近くで建設を始めたマンションを見て興味を持ったなど、さまざまです。いずれにしても、検討の材料となる物件の情報を不動産会社や不動産サイトなどから集め、立地や価格、間取り、仕様・設備などの情報を見てみましょう。
[ 2 ]見学をする
物件情報を見て気になる分譲マンションがあれば、次は物件の見学をします。新築分譲マンションの場合、建設中であればモデルルームを、建設が済んでいれば実物を見学することができます。
軽い気持ちで見に行くことも可能ですから、少しでも気になるようであれば、ぜひ見学をしてみましょう!
[ 3 ] 購入の申し込みをする
購入する分譲マンションが決まり、住宅ローン等の資金計画を固めて家族の同意や資金準備などに一定の目途が立てば、ついに購入の申し込みです。通常、新築、中古を問わず書面による申し込みをします。
[ 4 ] 販売会社と契約を結ぶ
分譲マンション購入の申し込みが済み、住宅ローンの仮審査や宅地建物取引士による重要事項説明を経て購入できる条件が整えば、売買契約を締結して所定の手付金を支払います。契約が済むと契約内容の変更は難しくなるため、確認するポイントを押さえてから契約しましょう!
分譲マンションの選び方とは?
分譲マンション購入の流れが分かったところで、実際にどう選べばよいか、そのポイントを紹介しましょう。
条件に合うエリア
家族が重視する条件に合ったエリアを決めます。たとえば、「通勤しやすい」「買い物に便利」「子育てしやすい」など、優先したい条件を考慮して検討しましょう。
駅からの距離
移動手段として電車を多く利用する場合には、最寄りの駅からの距離も重要な判断基準になります。駅から近ければ生活利便性が高く、分譲マンションの資産価値も低下しにくくなります。一方で、駅から近い物件は、価格が高かったり交通量が多かったりするので、自身が求める住環境を踏まえて検討しましょう。
広さや間取り
間取りや部屋数なども住まい購入の重要な要素ですよね。世帯人数やこの先のライフステージに見合った最低限の広さや部屋数が確保できているかなど、将来を見据えた選択も視野に入れましょう。
価格
価格の高い物件の方が条件がよいのは当然ですが、収入に見合った支出額でないと購入後に家計を圧迫しかねません。相場に見合わない物件を選んで後悔しないよう、慎重に判断しましょう。
周辺環境
スーパーや病院が近かったり、家の周りに緑が多かったりなど、周辺環境によってもライフスタイルは大きく変わってきます。それぞれの希望するライフスタイルが実現できる環境かどうかも、家族で話し合いましょう。
防災や治安
安心して暮らしていくためには、防災や治安も検討材料に入れておく必要があります。各自治体が公開しているハザードマップを参考にしたり、物件や、最寄り駅周辺を歩いて治安が悪くないかなどを調べたりしておくとよいでしょう。
マンションの規模
マンションの規模や、戸数も住み心地に影響します。防犯面で比較的安心な大規模マンションや、高層階の眺望がよいタワーマンション、比較的静かな印象の小中規模マンションなど、規模ごとに魅力的なポイントがあるため、忘れずに確認しておきましょう。
分譲マンションの人気エリアはどこ?
分譲マンションの購入時には、立地を重視する方も多いのではないでしょうか?2024年度に行われた株式会社長谷工アーベストによる調査で明らかになった、住みたい街(駅)ランキングをもとにマンション暮らしガイド編集部が最新の人気エリアを紹介します。
横浜
住みたい街(駅)として高い人気を維持する横浜は、首都圏版で昨年に引き続き第1位を獲得しました。海が近く景観が美しいみなとみらいや、季節ごとに楽しいイベントが開催される赤レンガ倉庫など、人気スポットが多い街です。また、横浜駅は交通利便性がよく、JRのほかにも複数の路線が乗り入れており、都心部へのアクセスもスムーズです。
大宮
昨年は3位だった大宮が、2024年は2位へランクアップしました。大宮駅周辺には大型商業施設や個性的な飲食店、古着屋などが並び、「買い物天国」といわれています。また、映画館や劇場、大規模イベントが開催できる多目的アリーナなど、文化・娯楽施設が充実していることも人気の理由です。鉄道交通も充実しており、通勤や通学だけでなく旅行・出張にも便利なアクセス環境が整っています。
吉祥寺
住みたい街(駅)ランキングでは、常に上位にランクインする吉祥寺。駅前はにぎやかで買い物や外食をするのに便利ですが、少し離れれば閑静な住宅地が広がっているため、老若男女問わず住むのに適した街といえます。加えて、交通利便性も高く、緑や公園が多いのも魅力です。吉祥寺独自の親しみやすいカルチャーも愛される理由でしょう。
長谷工アーベストでは首都圏の住みたい街ランキング2024年版をご紹介しているので、人気エリアについてはこちらもご参照ください!
ここまで、分譲マンションの特徴や購入するメリット、人気のエリアなどについてお話ししてきました。あなたの暮らしを快適にする分譲マンションはたくさんあります。購入するときは、各物件の設備や特徴を理解し、納得のいく住まいを見つけられるとよいですね!
※1出典:株式会社不動産経済研究所「全国新築分譲マンション市場動向2023年」
https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/579/zm2023.pdf
(最終確認日:2024年9月20日)
※2出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_2023.pdf
(最終確認日:2024年9月20日)