マンション購入ガイド
一人暮らし・単身のマンション購入:後悔しないためのポイントは?
現在、賃貸マンションで一人暮らしをしている独身です。このまま家賃を払い続けるよりも、思い切って分譲マンションを購入したほうがお得かなと考えています。でも、買って後悔したら…と思うと、なかなか決断できません。独身者のマンション購入について、メリットと注意点を教えてください。
分譲マンションは設備やセキュリティが充実しているので、より快適な一人暮らしを楽しめます。ただし、家族構成が変化する可能性やローンの支払いを1人で負うことなど、独身ならではの注意点を考慮することが大切です。
情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二
一人暮らしのマンション購入はあり?
分譲マンションの購入というと、カップルやファミリーだけの話、というイメージがあるかもしれません。ですが実際は、働く独身女性や、20代で頭金を準備して購入するケースなどがあります。
以下では、一人暮らしの独身者(単身者)に向けた具体的なマンション購入の検討ポイントを紹介します。まずは、一人暮らしのマンション購入のメリットについて解説しましょう。
家賃と変わらない支払いで購入できる
手持ちの資金があればマンションを現金一括で購入することもできますが、多くの場合、住宅ローンを組むのが一般的です。マンション購入をするとき、住宅ローンの組み方によっては、賃貸マンションの家賃と同等の月額負担で購入することができます。毎月家賃と同じ負担で自分の資産が手に入るのは大きなメリットといえるでしょう。
また、マンション購入には頭金を用意することが一般的ですが、頭金が用意できなくても、物件価格を全額ローンで賄うことも可能です。その場合、税金や手数料などの諸費用に充てる現金があれば、購入の具体的な検討をすることができます。マンション購入時の初期費用については、以下の記事で詳しく説明しています。
●マンションの初期費用に関する記事はこちら
マンション購入の際に必要となる初期費用や、支払いのタイミングなどをご説明しています。
将来も住み続けられる老後の安心
マンションを購入して、老後も住み続けられる家を持っていると、経済的にも精神的にも安心です。収入が下がる老後の暮らしは、特に独身者にとっては不安が大きいですが、早期に分譲マンションを購入することで、老後も住み続けられる安定した住まいを持つことができます。
最新設備でより快適な暮らしができる
分譲マンションには、最新設備が付いている物件もあります。なかには、日中は家にいることが少ない方や、家事の負担をできるだけ減らしたいと考えている方にとってメリットとなる最新設備もあるため、分譲マンションの購入を検討している方は、そのような設備がある物件を条件として探してみてはいかがでしょうか?
たとえば、一部の分譲マンションでシンク下に設置される「ディスポーザ」は、生ゴミの処理に便利。調理中に出た野菜の皮を、粉砕してそのまま下水に流すことができます。シンクを衛生的に保て、生ゴミの臭いが気になりやすい夏場も、こういった設備を利用すれば快適に過ごせます。
そのほか、不在時でも荷物を受け取れる「宅配ボックス」や、24時間使える「ゴミ置き場」など、便利な設備も多いです。
充実のセキュリティで安心して暮らせる
長く暮らすことを前提とした分譲マンションには、快適に暮らすための工夫がたくさんあります。その1つが、充実したセキュリティです。「オートロック」はもちろんのこと、複製がしにくくピッキングにも強い「ディンプルキー」や、鍵が2か所に付いた「ダブルロック」を採用している物件もあります。
また、館内には「防犯カメラ」が設置されている場合も多く、一人暮らしにとって安心度が高いといえます。
独身女性のニーズにはまる
これまで紹介したメリットは、単身世帯のなかでも特に、女性が一人暮らしをするにあたってのニーズにぴったりはまる、といえます。特に分譲マンションは、セキュリティ面が充実している物件が多いため、独身女性に選ばれる理由も分かりますね。
独身で分譲マンションの購入をすると、その後のライフスタイルの変化に影響があると考える人もいるかもしれません。しかし、マンションを購入しても、結婚のタイミングで売却したり、住宅ローンを完済していれば賃貸にして家賃収入を得たりといった選択肢があります。実際に、独身女性でマンションを購入した人の割合で7割以上の人が将来の結婚を希望しており、分譲マンションの購入が結婚の障害にならないと考えられています。
また、若いうちにマンションの購入を決断すると住宅ローンの完済時期が早かったり長期で住宅ローンを組めたりといったメリットがありますよ。
●20代の家購入に関する記事はこちら
20代で住まいを購入する場合のポイントを紹介しています。
一人暮らしのマンション購入の注意点
分譲マンションの購入には多くのメリットがある一方、次のような注意点もあります。
ライフスタイルが合わなくなることがある
結婚や出産、親の介護などライフスタイルの変化によっては、購入したマンションに住み続けられなくなる場合があります。
すぐには手放せない
近隣トラブルや騒音、あるいは転職や転勤の都合などで引越したいと思ったとき、賃貸と違ってすぐに住み替えることができません。売却するには、不動産会社を選び査定を依頼するといった、準備にも一定の期間がかかるためです。
ローン返済が滞ると差し押さえられることがある
万が一住宅ローンを滞納し、金融機関から届く督促状や催告書などに応じないと、マンションを差し押さえられてしまうことがあります。マンション購入後は、毎月住宅ローンを支払うことになりますが、単身の場合はそのローンを1人で担うことになるため、このようなリスクが高くなることも考慮しておきましょう。
年収から見る分譲マンションの適正価格
ここで分譲マンションの購入をするためには、年収からどのくらいの価格のマンションを買うのが妥当なのかを見ていきましょう。一般的にマンションの適正な購入価格は年収の約5~7倍とされます。具体的には以下のような金額が目安となります。
年収 | 適正な購入費用の目安 |
---|---|
300万円 | 1,500万~2,000万円 |
400万円 | 2,000万~2,800万円 |
500万円 | 3,500万~4,000万円 |
上記の表はあくまでも目安です。一般的にマンションの購入価格は、「頭金 + 住宅ローン借入額」です。頭金をいくら用意できるか、いくら借り入れできるかによって、マンションの最適な価格帯は異なります。自身の収入や現在の貯蓄額を確認し、無理のないマンション購入価格を計算してみるとよいでしょう。
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年収300万円でマンションを購入するにあたってのポイントを解説しています。
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年収400万円でマンションを購入するにあたっての情報をお伝えします。
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年収500万円で新築マンションを購入するにあたっての情報をお伝えします。
一人暮らしのマンション選びはここをチェック
マンション購入のメリットと注意点、適正な費用を踏まえたうえで、独身者が本当に「買ってよかった」と思える分譲マンションを選ぶにはどうすればよいのでしょうか?後悔しないためのポイントをまとめて紹介します。
売りやすい物件か
将来のライフスタイルの変化に備えて、売りやすい物件を選ぶことはとても重要です。売りやすさは資産価値の高さといい換えられます。駅から近い、交通網が充実している、近くに商業施設があって買い物がしやすいなど、利便性の高いマンションなら需要が落ちにくく、売却しやすいといえるでしょう。このように将来的に物件を売るという選択をすることも考慮し、条件のよいマンションを選んでおけば売却の際に査定額が下がりにくいため安心です。
ライフスタイルの変化に対応できる間取りか
家族が増えても対応できるような広さの間取りを選ぶというのも、将来の変化に備える手段の1つです。一人暮らしであれば、ワンルームや1LDKなどコンパクトな間取りで問題ないかもしれません。近年ではそういった間取りの部屋を多く用意しているコンパクトマンションも増えてきています。ですが、2LDKにしておけば、今後結婚して夫婦2人となった場合でも、十分に暮らせるスペース、部屋の数を確保できます。さらに、将来的に子どもをつくる予定があれば、子どもが成長して大きくなった場合に備えて、3LDK程度の余裕のある間取りでもよいかもしれません。
また、専有面積の広さによっては住宅ローン控除を受けることができる場合があります。
住宅ローンの返済負担率に無理はないか
マンションは一戸建てとは異なり、住宅ローンの返済のほかに管理費や修繕積立金、駐車場代などのランニングコストが発生します。住宅ローンを組む際は、月々のランニングコスト(である維持費)も含めて検討しましょう。
加えて、分譲マンションを購入した際は、固定資産税や都市計画税を納税する必要があります。固定資産税は、建物(住宅)と土地、それぞれ決められた固定資産税評価額をもとに、算出されます。基本的な計算方法は以下の通りです。
住宅といった建物の場合
課税標準額 × 1.4%
土地の場合
課税標準額 × 1.4%
毎年課税する必要があるため、実際いくらかかるのか、税額が決まる仕組みや納付方法などの流れを把握しておくとよいでしょう。
新築・中古それぞれの特徴に納得できるか
物件を選ぶとき、新築マンションか中古マンションかで迷う方も多いはず。それぞれの特徴から、自分にはどちらが合っているのかを検討して選びましょう。
両者を比較してみると、新築はなんといっても、全て新しいのがメリットです。設備も共用部分も最新の状態なので、快適かつハイグレードな生活を送れます。また、建物のメンテナンスのために支払う「修繕積立金」も、築年が浅いうちは少ない負担で済みます。しかし、新築はやはり中古に比べて価格が高くなります。
一方、中古のメリットは価格が安いことです。また、新築に比べて選択肢が豊富にあるので、希望に沿った物件を探しやすいことが挙げられるでしょう。注意点としては、中古は古いほど修繕積立金が高額な物件も多い傾向にあることです。
周辺環境も含めて、住みやすいといえる物件か
家として住みやすいかどうかは、独身者にかかわらず必須の条件です。実際に物件や周辺の地域を訪れ、前もって自分の目で現地調査をすることをおすすめします。たとえば、「駅までは徒歩10分以内の距離がよい」といったように、自分にとって譲れない条件を決めておくとよいかもしれません。具体的には、次のようなポイントを参考に、物件の快適性をしっかりチェックしてみましょう。
・通勤はしやすいか
・近くに買い物がしやすいスーパーや商業施設などがあるか
・日当たり、風通しは良好か
・騒音や振動は気にならないか
・住民のごみ捨てや共用部関連のルールは徹底されているか
・オートロックや防犯カメラなど共用部のセキュリティは十分か
・駐車場は入出庫しやすいか
・収納スペースは十分か
・生活動線はスムーズか
・耐震性能は十分か
など
一人暮らしのマンション購入が不安ならプロに相談しよう
「マンションを買う」ということは、自分のお金・仕事・ライフプランを見直すことでもあります。具体的にマンションを買うかどうかは別として、マンションを購入した場合の生活設計を簡単にシミュレーションしてみるのもよいかもしれません。マンション購入の情報検索サイトを利用すれば、気軽に売り出し中の新着物件を閲覧することができます。物件の画像や価格も載っていますので、シミュレーションの際にイメージを膨らませることができます。
現在アパートや賃貸マンションに住んでいる場合、現在の自分の年齢と年収を起点に、残り100歳までの住まいをどうするか、賃貸住宅のままがよいのか、購入するほうがよいのか、検討してみるのはいかがでしょうか?20代、30代、40代、50代と、それぞれ起点となる年齢と年収によって、検討する課題や住居に求めるニーズが違いますね。
年齢と年収のほか、住まいの間取りもライフステージによって変わる場合があります。そのため、同じ一人暮らしでも、若いときには2LDKで居心地のよい暮らしができても、シニアになると1DKで快適な生活動線が実現する可能性もあります。マンション購入の資金プランをする場合、ライフステージに合わせたリフォームやリノベーションも併せて検討してみるのもよいでしょう。
一人暮らしのマンション購入を後悔しないためにも、将来の住まいについてはきちんと予算・計画を立て、自分だけのマンションライフを満喫しましょう!
「1人で決めるのは不安だけど、周りにはちょっと話しにくい…」「一人暮らしでマンションを買いたいけど、何から始めていいか分からない…」という場合は、ファイナンシャルプランナーや住まいアドバイザーへのご相談もおすすめですよ。
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情報提供:不動産鑑定士 竹内 英二
株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、不動産キャリアパーソン、中小企業診断士。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングを行う。
HP:https://grow-profit.net/