収納ガイド
冷蔵庫の中をきれいに整理する収納術とは?
4人家族なので、冷蔵庫の中に常にたくさんの食材があります。でも、整頓されていないので、奥の方から賞味期限切れのモノが出てくるということもしばしば…。冷蔵庫を使いやすく、スッキリさせるための収納術を教えてください。
一度、冷蔵庫の中身を全部出してみて分類し、それぞれ使いやすい場所に収納しましょう!
情報提供:整理収納アドバイザー 角一 まり子
目次
冷蔵庫収納の特徴
冷蔵庫を開けて、「今日は何を作ろうかな?」とワクワクするような、見やすくて取り出しやすい冷蔵庫なら、お料理も楽しくスタートできますね。
ですが、「買ったはずのモノが見つからない」「奥に押し込んでしまって取り出しにくい」とか、忘れていた食品を冷蔵庫から発見したと思ったら「賞味期限が切れていた!」などという経験はありませんか?
冷蔵庫の中には、賞味期限が短く、回転させていないとすぐ使えなくなってしまうモノがたくさん。上手に管理するには、買ったモノをむやみに入れて冷蔵庫を「物入れ」にするのではなく、使える仕組みを作ることが大切です。仕組みができれば、冷蔵庫の収納力も使い勝手も、格段にアップ!今回は、そんな冷蔵庫の「収納のポイント」についてお伝えします。
冷蔵庫の収納ポイント①:どこに何を収納するか決める
よく使うモノは冷蔵庫の中段に
一般的な冷蔵庫は大きさ・高さ・幅が決まっていて、奥行きは腕を伸ばせば届く深さ、高さも最上段に手が届く高さに作られています。
使いやすく設計されている冷蔵庫の中でも、特に使いやすい場所はやはり「目から腰の高さ=ゴールデンゾーン」です!「よく使うモノを目の高さ(中段)に配置し、中でも賞味期限が短いモノを手前に置く!」これだけでも、冷蔵庫収納は格段にレベルアップしたといえます。
食材別、最適な置き場所とは
●賞味期限が短いモノ:中段・下段
肉、魚、ハムやソーセージなどの加工品、豆腐、納豆など
●毎日使うモノ:中段・下段
朝食で必ず食べるモノ、お弁当で必ず使うモノ、基本の調味料など
●賞味期限が長いモノ:上段
加工食品、パスタソース、味噌など
上記を参考に食品を分類して、それぞれの冷蔵庫内での収納場所を決めましょう。
ドアポケットには調味料を収納しても◎
冷蔵庫の中でも、モノを一番取り出しやすいドアポケットは活用したいところです。
ドアポケットにはドリンク類を入れるのが一般的ですが、よく使う調味料をドアポケットの下段に収納するのもおすすめ。一方、毎日使わないドレッシングなどは上段に収納するというように、家族の好みやライフスタイルに合わせて上下を使い分けてください。
また、醤油など背の高いボトルに入った調味料は奥に、背の低いボトルは手前側に収納すると、ドアを開けただけで何があるか一目でわかりやすく、取り出すのもラクになります。
隙間に入って見落としがちなチューブ調味料は、冷蔵庫のドアポケット上段に事務用品のダブルクリップなどで留めると一目瞭然。冷蔵庫の中でもよく目に触れる場所なので、使わずに賞味期限が切れてしまうのを防げますよ。同じ形状や色のクリップを選べば、見た目もスッキリ!
冷蔵庫の収納ポイント②:スッキリ使いやすくするコツ
まずは冷蔵庫を空っぽにして仕分けを
見やすく取り出しやすい、7割から8割の冷蔵庫収納を目指すには、まず冷蔵庫の中に入っているモノ全てを出してみましょう。そして、賞味期限切れの食材がないかをチェックし、あったら迷わず処分してください。期限が不明なモノも冷蔵庫から処分して、一度リセットすることをおすすめします。
全部出して見直す際は、エリアを決めて棚ごとに出す…や引き出し1つからスタートするなど範囲を絞って進めます。食品には賞味期限があり、好みや料理の傾向も比較的決まっていることが多いので、使う・使わない・期限切れなど要・不要が分けやすいものです。できるだけ、1つの食品に対して5秒以内で要る・要らないを判断するようにしましょう。
残すモノを置くシート・処分するモノを入れるゴミ袋を、それぞれ自分の右側と左側に準備しておくと食品の行き先が明確になり、何を収納するのか?どのくらい残すのか?を視覚で捉えることができるので、より一層整理を進めやすくなります。
また、冷蔵庫を空っぽにしたついでに掃除もすれば、一石二鳥ですね。外せるパーツは外して洗います。アルコール除菌まで行えば、よりスッキリ気持ちのいい冷蔵庫に!
7~8割の量を保って使いやすい冷蔵庫に
見やすく取り出しやすい冷蔵庫収納にするには、モノを詰め込みすぎないことも大切なポイントです。使いやすい場所には、誰しも無意識にモノをどんどん置いてしまうものですが、ぎゅうぎゅうに押し込み過ぎると冷蔵庫全体がごちゃっと見にくくなってしまいます。収納の理想である、7割から8割の量を保つように心がけましょう。
冷蔵庫内に常に空きスペースを作っておけば、下ごしらえのボウルや調理済みの小鍋も、そのまま収納することができます。ケーキや生菓子など、冷蔵保存が必要なモノを買ったりいただいたりした場合にも困りません。
また、冷蔵庫は冷気の通路を確保することで保冷効果がアップします。電気の効率のためにも、7割から8割の収納を目指しましょう。省エネまで考えて収納できれば、完璧ですね!
冷蔵庫の収納ポイント③:収納グッズを活用して取り出しやすく
グループごとにカゴにまとめて収納
食品の中でも、一緒に使うモノ同士はカゴにまとめてグループ収納をしておきましょう。冷蔵庫のあちこちから取り出す手間を省けて、家事の時短に繋がりますよ。
たとえば、醬油や酢などの基本調味料、ドレッシング、ソース類などは、種類ごとにカゴにまとめて収納すれば、冷蔵庫からそのまま調理台や食卓に出せます。
トーストに使うバターやジャム、一緒に食べるヨーグルトなども、ひとまとめにして「朝食セット」を作っておくと、忙しい朝には便利ですね。
収納カゴや保存容器は色・デザインをそろえる
収納に使うカゴや保存容器は、色をそろえると統一感が出て見た目にスッキリします。おすすめは、清潔感のある白、中身がわかりやすい透明です。
たとえば、パン粉やかつお節など、パッケージの色が目立つモノは白い容器に。一方、漬物や薬味、サラダのトッピングなど調理済みのモノは、透明な容器に入れておくと中身がわかりやすく、忘れて無駄にするのを防げます。家族みんなが使うモノも、透明な容器ならすぐ見つけられますね。
また、カゴや容器のデザインを統一することも、見た目のスッキリ感アップには効果的です。作り置きや残ったおかずをお皿に盛ってそのままラップをかけるより、同じデザイン・サイズの保存容器に入れて収納すれば、美しい上に省スペースですよ。
収納カゴはメッシュタイプがおすすめ プラスチックの収納カゴを利用する場合は、メッシュタイプのモノがおすすめです。メッシュの穴を通して冷気が通るので、冷蔵庫での保存には最適といえます。
保存容器はライフスタイルに合わせて素材を選ぶ
保存容器にはさまざまな素材があり、それぞれに特徴があります。たとえば、ガラス製やプラスチック製の容器は、作り置きをレンジで温め直すとき、そのまま使えて便利です。琺瑯製やステンレス製の容器は、色や匂いが移りにくいというメリットがあります。こうした特徴を踏まえて、ご家庭のライフスタイルに合ったモノを選ぶと良いでしょう。
また、どんな素材の保存容器でも使いやすさのポイントになるのは、「スタッキングできて収納しやすい」「サイズ展開が豊富でさまざまな食材に対応できる」ということ。これらの条件を備えていれば、冷蔵庫や容器の保管場所を上手に整理できますよ。
●保存容器の収納に関する別の記事はこちら
保存する食品によって適した保存容器があることを知っていますか?まずは多種多様な保存容器の特徴をご紹介し、そのうえで、収納のポイントやアイデアをお伝えします。
ラベリングでモノの「住所」を決めよう
冷蔵庫は、キッチンを管理する人だけでなく、家族全員が使う場所。誰もが使いやすいように、冷蔵庫の中に「モノの住所」を決めましょう。
モノの住所は、「誰がよく取り出すモノなのか」ということを考えると、おのずと決まってきます。
たとえば、子どもが食べるおやつ類なら、手が届きやすい下の段に収納ケースでまとめておけば、自分自身で取り出すことができます。また、大人が飲むアルコール飲料缶などは、子どもには届きにくい一番上に置くと安心ですね。
さらに、住所がわかりやすいようにラベリングすると、家族の誰もが取り出しやすく、戻しやすくなり、冷蔵庫の中が乱れるのを防ぐことができます。
しょっちゅう出し入れする定番の調味料は、蓋上にラベリングをし、さらに冷蔵庫ポケットや棚、収納ケースにもラベリングをして、指定席を確保しましょう。
ラベリングする住所は漠然と決めるのではなく、「使い方」で調味料をグループ分けしてから割り振ります。
●そのまま使う…ドレッシングやポン酢
●料理に使う…みりんや醤油
●どちらにもあてはまる…ケチャップやマヨネーズ、ソース
こうすると、料理を担当していない家族でも、「そのまま使うモノゾーン」を見ればすぐにお目当てのモノを手に取ることができます。
グループ分けは使い方のほか、使う頻度によって分ける、一緒に使うモノをひとまとめにするという方法もあります。各家庭のライフスタイルに合わせて、使いやすいグループ分けを見つけてください。
冷凍庫に収納するときのポイントは?
作り置きは1食分ずつ小分けにして冷凍
おかずの作り置きを冷凍する場合は、1食分ずつ小分けにしてラップに包んだモノを、ジッパー付きのフリージング用バッグにまとめて収納すると使いやすく便利です。
ご飯を冷凍するときも1食分をラップに包みますが、ポイントはご飯を四角く平らにすること。こうすると、まんべんなく中心まで冷気が回り、風味を落とさず速やかに冷凍できますよ。
立てて収納する
引き出し式の冷凍庫内に食品を収納するときは、積み重ねず立てて収納します。こうすれば、上から見たとき何がどこに収納してあるか一目瞭然。仕切り用にブックスタンドを入れておくと、立てにくい冷凍食品の袋などもきれいに収納できます。
古いモノを手前に収納
冷凍庫内に食品を並べるときは、古いモノを手前にしましょう。そして、「なるべく手前から調理に使っていく」というルールを決めます。こうすれば、保存した食品がうまく回転し、冷凍庫に収納したまま忘れてしまうということがなくなります。
食材名と日付をラベリング
フリージング用バッグや保存容器は、そのまま収納すると中に何を入れたかわからなくなりがちです。外側に、マジックで食材名と冷凍した日付を記入しておきましょう。直接マジックで書けない場合には、マスキングテープなどを貼るとよいですね。こうして収納すれば、使いたいときに使いたい食材がすぐに見つかり、食品の鮮度も保てますよ。
野菜室に収納するときのポイントは?
冷蔵庫の野菜室は、パッと見渡して中身がすぐわかるようにしておかないと、無駄が出やすくなります。
種類ごとにカゴに収納
野菜室は、プラスチックのカゴや保存容器を組み合わせて中を区切ると、スペースに無駄が出ず収納もしやすくなります。大まかな種類ごとに分類した野菜をこれらの仕切りに収納すれば、何があるか一目瞭然!野菜同士が重なって傷むのも防げます。
使いかけの小さな野菜は手前に集め、1つのカゴにまとめて収納しましょう。こうすると、散らかってごちゃついたり、使い忘れてしまったりすることもありません。
冷蔵庫に収納すべきでない野菜もある
野菜の中には、冷蔵保存に不向きなモノもあります。たとえば、ジャガイモ、サツマイモ、かぼちゃやキュウリ、ナスなどは、冷気によって低温障害を引き起こしてしまうモノ。
「野菜は何でも冷蔵庫の野菜室へ収納すればいい」と思っていると、野菜も収納スペースも無駄にしてしまうので、十分注意してください。
収納の前に、買い方にも注意したいモノとは?
醤油やみりんなどの基本的な調味料、珍しい料理にときどき使うような調味料など、各家庭によっていろいろな種類の調味料が冷蔵庫に保管されていると思います。
こうした調味料は比較的賞味期限が長いので、使う計画を深く考えず、気軽に購入することが多いのではないでしょうか?ですが、調味料の収納は、買う段階から気をつけなければなりません。
本当にその調味料が必要?
「○○丼のタレ」とか、「〇〇サラダのドレッシング」など、メニュー用調味料(合わせ調味料)は簡単に味が決まるので便利ですね。でも、その調味料は家にあるモノで代用できないか、と一度考えてみてください。たとえば、めんつゆやドレッシングなどは、レシピを書き留めておくとサッと作ることができますよ。
使い切れないほどの大きさのモノを選んでいないか
調味料を購入するとき、お得だからといって業務用や特大サイズを選んでいませんか?
賞味期限内に使い切ることができれば、それは本当にお得だったといえます。ですが使い切れなかった場合は、その調味料だけでなく、冷蔵庫のスペースまで無駄にすることになるのです。
調味料は、各家庭で使う量に合ったサイズで購入しましょう。たとえば、マヨネーズを使う人が家族に1人しかいなければ、小さいサイズのモノで十分です。
どのくらい使うかわからないモノは、開封時に日付を書いておきましょう。使い切るのにどれだけの期間がかかったかがわかるので、次に購入するサイズの目安になりますよ。
●調味料の収納に関する別の記事はこちら
いつの間にか増えてしまう調味料を上手に整理するには?「使いたいときに使いやすく」収納するためのコツをお伝えします。詰め替え容器の種類や使い方もご紹介しています。
上手な冷蔵庫収納で無駄なく迷いなく
冷蔵庫は一日に何度も開け閉めする場所だからこそ、常に整理された空間にしておきたいもの。モノがぎっしりと詰め込まれた冷蔵庫では、「あれを食べないと!」「これを早く使わないと!」と、頭の中までパンパンになってしまいます。
でも、常に余裕のある状態なら、冷蔵庫内のお手入れも楽ですし、食材もロスなく使い切れます。冷蔵庫の整理は、スッキリ気持ちがいいだけでなく、時間とお金の無駄もカットできるのです。
冷蔵庫の整理は夏の前後がおすすめ
気温の上がる夏場では、冷蔵庫に入れず常温のまま食材を放置すると危険です。菌がすぐに繁殖してしまい、食中毒を招くことも。買った食材や作り置きのモノがきちんと収められるよう、冷蔵庫の収納、整理は夏までに済ませておきましょう!
冷蔵庫には常に「お鍋1つ分の余白」を、季節を通してキープします。この習慣を継続できれば、急な頂きものの行き先や作り置き惣菜の保存など、臨機応変に対応できる余裕が生まれます。
家族の健康を生み出す食品の保存。冷蔵庫という限られた空間を、いつも清潔に使いやすくしておくためにも、管理のしやすい仕組みを作っておくといいですね!
(撮影協力:今井 知加)
情報提供:整理収納アドバイザー 角一 まり子
整理収納アドバイザー1級認定講師/&STORAGE代表 1000件を超えるご家庭の整理収納サービスや多数の住宅メーカーで収納監修を手掛ける。(セミナー受講生は6000名を超える)人・モノ・空間を整え『美しく、心地よく暮らしやすい』を提案している。