収納ガイド
キッチン収納・吊り戸棚を上手に活用する方法
キッチンのシンク上に吊り戸棚があるのですが、いまいち何を収納したらいいのか分かりません。背伸びをして、手を伸ばして取らないといけないので、収納しているものが落ちてきそうで怖いです。結局ずっと触っていないものが奥のほうに収納されています…。キッチンの吊り戸棚の活用方法を教えてください。
高い位置にあるため使いにくいという声も多い吊り戸棚ですが、実は収納スペースが広いエリアです。下段の手の届く場所にはよく使うもの、上段にはたまに使うものを収納して、吊り戸棚をしっかり活用しましょう!
情報提供:整理収納アドバイザー 角一 まり子
目次
吊り戸棚を使いこなして収納上手に!
キッチンのシンク上には、収納棚として吊り戸棚が設置されていることが多くあります。キッチンでは、料理に使う調理器具や食器などさまざまなものがあるため、収納スペースがあるのはありがたいことです。
しかし、「目に入る高さにあって便利そうだけど、使ってみるとものが出し入れしにくい…」「奥のものが取り出せない…」「何が入っていたか忘れてしまった…」など、実際にどう使ったらよいのか分からないという人も多いのではないでしょうか?
キッチンの吊り戸棚は、人が使いやすいといわれている目から腰の高さ(ゴールデンゾーン)より上にある収納スペースです。そのため、目が届きにくく、手を伸ばしてものを探さなくてはいけません。
しかし、吊り戸棚は「収納のポイント」をしっかりと押さえることで、高さ・奥行のあるスペースをムダなく使いこなせるようになります。今回は、吊り戸棚の収納方法に迷われている人に向けて、上手に収納するコツやアイデアについて解説していきます。
吊り戸棚内の配置を決める
高い位置にある吊り戸棚を安全で使いやすいスペースにするには、動作や動線、使用頻度に合わせてキッチン用品の配置を決めることが大切です。それぞれのポイントをご紹介します。
動作や動線に合わせて収納する
ものを機能的に収納するには、作業をする際の動作や動線を想定することが重要です。キッチンで料理をするとき、主に「シンクで野菜を洗う」「調理台で切る」「コンロで火を通す」といった3つの動作があります。
シンクで野菜を洗うとき、ザルやボールが必要になります。調理台では切った野菜を入れる食品保存容器、コンロでは味付けに使う調味料が必要です。そのため、ザルやボールの収納場所は、シンクの上が最適でしょう。同様に、調理台で使うものは調理台の上、コンロで使うものはコンロの上というように、使用頻度の高い場所に合わせて収納すれば、必要なものをすぐに手に取ることができ、効率よく料理ができるようになります。
では、吊り戸棚の中は、どのように空間を利用すればよいのでしょうか?具体的な収納内容について、「下段・中段・上段」に分けて解説します。
●料理の時短するための収納に関する記事はこちら
料理の時短に繋がるキッチンの収納術の基本についてご紹介しています。
下段には使用頻度の高いもの
吊り戸棚のなかでも手が届きやすい下段には、使用頻度の高いものを収納しましょう。具体的には、乾物や調味料などを収納することをおすすめします。その際には、先にご紹介した通り、動作や動線に合わせた収納を意識します。鰹節、昆布、干しシイタケなど出汁を取るために水を使って調理をする乾物はシンクの真上に。砂糖や塩などの調味料は透明なケースに入れて、コンロに近い位置に置きましょう。スパイス類もコンロ側の棚に置くと調理がしやすくなります。
また、下段に食器を収納するのもよいでしょう。そのほか、頻繁に使うふきん、レシピ本や家電の取扱説明書を収納しておくのもよいアイデアです。もし、毎日コーヒーを入れるのなら、フィルターやドリッパー、コーヒー豆など一緒に使うものを「コーヒーセット」として、まとめてかごに収納しておくと便利かもしれません。ワンアクションでコーヒーを入れることができるので、家事の時短につながります。
●調味料の収納に関する記事はこちら
調味料が使いやすくなる収納のコツについてご紹介しています。
中段には使用頻度が低いもの
中段は手が届きにくいため、使用頻度の低いものを収納しましょう。たとえば、月に1回のお菓子作りに使う道具といったものです。ハンドミキサー、型抜き、振るいなどをセットにしておくと、取り出す際に便利です。準備のためにあちらこちらの棚や引き出しを開けて…という手間が省けますね。
このように一緒に使うものをセットで収納することを「グルーピング収納」といいます。ほかにも、紙皿や紙コップをまとめた「パーティーセット」、おとそやお正月飾りをまとめた「お正月セット」、ラッピング袋やラッピングする際に容器として使うカップをまとめた「ラッピングセット」など、さまざまなセットに応用することができます。たまにしか使わないものを収納する際に、便利な方法です。
使用頻度が低いものを使う際、「しまった場所を忘れて探すのに時間がかかってしまった」「あったことを忘れて間違えて買ってしまった」なんて経験がある人は多いのではないでしょうか?グルーピング収納し、「必ずここにある」と把握しておくことで、探す手間や重複買いなどの無駄をなくすことにつながります。
上段には使用頻度が低く軽いもの
最も手が届きにくい上段は、めったに使わず、なおかつ軽いものを収納しましょう。キッチンペーパーやラップのストックなどを収納することをおすすめします。特に収納するものがない場合は、空けておいても構いません。
使用頻度が低くても、缶詰や鍋など重いものを収納するのは危険です。地震をはじめとする災害で棚からものが落下するといった危険を回避するためにも、重いものは高い位置に収納をしないようにしましょう。
棚が2段の場合でも、上記でご紹介した収納を基本として、使いやすく収納してみてください。
出し入れ簡単!吊り戸棚向けのアイデア
ものを収納する位置が決まったら、見やすく取りやすくする方法を考えていきましょう。
取っ手付きケースやファイルボックスを使用
吊り戸棚の収納で注意したいポイントは、「ものをじか置きしない」ということです。高い位置にある吊り戸棚は、奥まで見渡すことが難しく、手前のものばかり使い、奥は放置してしまいがち…。そんなときに便利なのが、取っ手付きケースやファイルボックスです。これらのグッズを使うことで、引っ張り出すだけのワンアクションでものの出し入れが可能になり、管理しやすくなります。
ホームセンターで、吊り戸棚ストッカーや取っ手のついた収納容器が販売されているので探してみるのがおすすめです。安価な収納ボックスだと、ものが入った重みで取っ手がたわんでしまうことがあるので、注意しましょう。
また、ボックスに入れるものはカテゴリーに分けて収納することをおすすめします。レトルトのパック、パスタや麺、紙皿や紙コップなど種類別に分かりやすく収納しましょう。
ラベルを貼って中身を見える化
取っ手付きケースやファイルボックスを使用して収納ができたら、ラベルを貼って中身を「見える化」しましょう。ケースに入れて収納すると、すぐに中身が何かを把握することができません。中身を見て探すという手間を省くためにも、ぜひ実践してみてください。
その際に気を付けることは、「ラベルに書いてあるもの以外は収納しない」ということです。ほかのものを入れてしまうとラベルを作った意味がなくなってしまいます。効率よく料理をするためにも、しっかりとルールを守りましょう。ラベリングには、お気に入りのマスキングテープやラベルシールを使うと自分好みの雰囲気になるのでおすすめです。
また、箱入りのお重箱やめったに使わないお椀など、箱のまま収納しているものにもラベルを忘れずに!すし桶といった、箱がなくホコリよけのために袋に入れておきたいものは、透明の袋を使って、中身が一目で分かるようにしておくとよいでしょう。
吊り戸棚の下も活用できる!
吊り戸棚の下に収納スペースを作るのも一案。自分で吊り棚を作って壁に取り付ける人もいます。自作ができない場合は、吊り戸棚の底板にさしこむタイプの市販グッズを使えば、簡単に収納スペースを作ることができます。
吊り戸棚を取り付けた際は、ものをためない工夫が必要です。吊り戸棚は目線に入る位置に取り付けられるため、ついいろいろなものを置きたくなってしまいます。ですが、効率よく家事を行うためにも、使用頻度の高いものに限定して収納しましょう。
さしこむタイプの収納グッズには、さまざまな種類があります。ラップやふきんなど、軽くてよく使うものを収納するワイヤーラック、洗った食器類の水切りをする水切りラック。また、まな板専用ホルダーを取り付けて、まな板ラックとして利用することもできます。吊り戸棚にまな板を収納することで、風通しがよく乾燥しやすくなるため、雑菌の繁殖を防ぐ効果も期待できるでしょう。
●まな板の収納に関する記事はこちら
まな板の収納方法についてご紹介します。
また、シンプルなかごをぶら下げて、スパイスを並べることで、「見せる収納スペース」を作るのも1つのアイデアです。かわいい瓶にスパイスを入れて並べたら、雑貨を飾っているかのようなおしゃれな収納スペースになるはずです。
機能的で安全なキッチン収納を目指そう
料理をより快適に行うためには、調理台をできる限りスッキリさせておくことが重要です。一見、使い方が難しい吊り戸棚ですが、少しの工夫で大活躍!吊り戸棚をうまく活用して理想的な調理スペースを作りましょう。
ただし、吊り戸棚は高い所に設置しているため、収納するものの頻度や重さなどを考えて収納場所を決めたり、収納ケースを使用したりするなど、工夫して収納することをおすすめします。最も高い上段への収納は、落下や転倒の危険があるため、軽いものだけにとどめておくといった、注意が必要です。ほかにも、キッチンに踏み台を用意することで、安全に無理なく利用できるようにしましょう。
また、小さいものであればコンパクトに隙間収納もできますよ。吊り戸棚の下の空いたスペースを有効活用するのもポイントです。
今回ご紹介した吊り戸棚の上手な活用方法のポイントをしっかり押さえ、機能的で安全なキッチン収納を目指しましょう。
●併せて知っておきたいキッチン収納に関する記事はこちら
キッチン用品の収納術についてご紹介しています。
情報提供:整理収納アドバイザー 角一 まり子
整理収納アドバイザー1級認定講師/&STORAGE代表 1000件を超えるご家庭の整理収納サービスや多数の住宅メーカーで収納監修を手掛ける。(セミナー受講生は6000名を超える)人・モノ・空間を整え『美しく、心地よく暮らしやすい』を提案している。