収納ガイド
食品ストックの収納方法とは?
キッチンがあまり広くなく、食品を収納しきれません。中でも、ストック用の食品はついつい買いすぎることが多く、量が増えてしまいます。キッチンをすっきりさせるための、食品ストックの収納術を教えてください。
持っているモノを把握して、食品ストックの買いすぎを防ぎましょう。
情報提供:整理収納アドバイザー 角一 まり子
目次
「ストック」には、「備蓄」とか「余分に確保している物資」という意味があります。みなさんは、家にどれだけ食品のストックがあるか、ご自身で把握されていますか?
最近は育児や仕事などで夫婦共に忙しい家庭が多く、「週末に1週間分の食材をまとめ買いする」という生活スタイルは珍しくありません。また、防災意識の高まりから、非常食の保存も積極的に行われるようになってきました。
こうなると、キッチンの収納スペースは限られているにもかかわらず、各家庭の食品ストックは増える一方…。なんとかしたいけれど、生活スタイルを変えるのは難しいですよね。機能的でスマートな食品ストック収納術を知れば、あふれるストック生活を解消することができます!
あらゆる食品ストックを上手に管理するために、「どこに何があるかがわかる」収納の仕組み作りを始めましょう。
食品ストックは何を収納したらいいの?
「こまめに買い物に行く暇がないから、食品ストックは必要」というご家庭は多いはず。でも、我が家にどんなものをどのくらいストックしておく必要があるか、きちんと把握していますか?
ストックに向いている食品は、普段からよく消費するモノ、長期保存が可能なモノが基本といえます。目安量は、各家庭の人数、消費するペースに基づきます。わからないモノは、購入してきたら日付を書き込み、使い切るまでにどのくらいかかったか調べてみましょう。
災害対策の場合は、人数×最低3日分~1週間分程度が必要といわれています。いざというときに消費期限が切れていたということのないよう、定期的な見直しも行ってください。
ストックにおすすめの食品
精米
乾物…かつお節、煮干、シイタケなど
レトルト・インスタント食品…カレー、パスタソース、ご飯、おかゆ、餅など
缶詰…果物、乾パン、肉、魚、豆など
嗜好品…キャンディ、チョコレート、スナック菓子、お茶など
調味料…塩、砂糖、醤油、みりん、油など
飲料…水、スポーツドリンク、缶コーヒーなど
お悩み1:たくさんあり過ぎて入らない!同じ食品を二重買い!
スペースの限られたキッチンにありがちな、「食品ストックが収納できない!」というお悩み。
分譲マンションの場合は、購入時にオプションでキッチンの収納棚を設置できる物件もあります。でも、こうした広いスペースを設けたとしても、また入りきらないほど食品ストックを増やしてしまったり、同じモノを重複買いしてしまったり…と、収納のお悩みが解決しない家庭は少なくありません。
このような「ストックあふれ」の原因として挙げられるのは、主に次の2つ。
「使い切る前にストック用の食品を買ってしまう」
「セールで安いと、つい買いすぎてしまう」
こんな買いグセに、心当たりはありませんか?
買いすぎや無駄買いのお悩みは、収納術によって未然に防ぐことができます!上手なストック収納のポイントについて、次にご説明しましょう。
パッと見てわかるよう立てて収納
買いすぎや重複買いを防ぐには、ストックしているモノを一目で把握できるようにすること。まず、すでに開封したモノと、ストック用のモノを分類し、別々の場所に収納しましょう。
さらに、それぞれの食品は立てて収納することを意識します。積み重ねると、下にあるものが見えなくなってしまいますが、立てる収納術なら、今あるストックが一目瞭然!仕切りやケースを使えば、カレーのルウなどの袋も立てられます。
人は視覚、つまり目から入ってくる情報で、物事の8割を判断するといわれています。ストック管理も、「パッと見てわかる!」を心がけましょう。そうするだけで、同じ食品をダブって開封するのを防ぐことができますし、節約にも繋がりますよ。
カゴに入る分しか持たない
食品ストックを収納する際は、カゴなどの収納ケースを利用して、「購入するのはここに入る分だけ」というルールを決めましょう。収納ケースに入る量が、食品ストック量の基準です。
収納ケースは、スペースに無駄の出にくい四角い形で、収納場所に合った奥行き、幅のモノを選ぶのがおすすめ。ケースの色は白か透明でそろえると、見た目がすっきりとしますよ。
また、収納ケースにまとめれば、食品ストックの定位置も決めることができます。キッチンのあちこちにストックを置いていて、雑然とした雰囲気が気になる、探しにくいといったお悩みもすっきり解決!
お悩み2:食品ストックの賞味期限が切れてしまう
乾物や缶詰など、減りが遅く、保存が利く食品は、他の食品に比べて賞味期限への意識が低くなりがちです。
「いざ使いたい時に、ストックしていた食品の賞味期限が切れている…」とならないための、ストック管理術をご紹介します。
小分けにして賞味期限をラベルに記入
食材は外箱や袋から出し、中身が見える状態にしておきます。小分けのモノや小袋入りのモノはファスナー付きの保存袋に入れ、中身と賞味期限をラベルや付箋などに書いて保存しましょう。
ラベルに書いて貼ることで、どこに何があるか家族も把握でき、探しモノもグッと減ります。誰が見てもわかる、収納の仕組み作りを心がけましょう。
おすすめの収納グッズをご紹介
食品ストックを機能的に美しく管理できる、おすすめの収納グッズをご紹介します。
ファイルボックス
レトルトパウチなど、自立しにくい食品を立てて収納するのに便利です。
カゴ・バスケット
乱雑になりがちな棚の中には、自然素材のカゴやワイヤーバスケットを置きましょう。パッケージの色や形がバラバラな食品も、ここにまとめて入れれば悪目立ちしません。
キャスター付きの収納
箱買いしたミネラルウォーターなどを、ダンボールのまま保存するのはちょっと抵抗がありますよね。キャスターの付いた収納ボックスにしまうと、重いモノの出し入れがしやすくなります。
●キャスター付き収納に関する別の記事はこちら
キャスター付き収納の種類や使用例、作り方についても紹介しています。
PPケース
缶入りの飲料など重いものは、丈夫なPPケースに入れるのがおすすめ。小さいケースは、冷蔵庫の中にいくつか並べて使うこともできます。
食品ストックの適切な収納場所とは?
食品ストックはパントリー収納が理想
食品をストックするための理想的な環境は、パントリーです。パントリーとは、常温保存ができる食品や調味料を保管するための食品庫のこと。たいていはキッチンのそばに設置され、棚板が可変する物入れを指します。
収納力をたっぷり確保できるうえ、湿度や温度が普通の部屋と変わりにくいので安心。キッチンがすっきり片付き、生活感を抑えられるのも嬉しいポイントです。
パントリーについての詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。
パントリーの定義とその特長とは?収納スペースとして使いやすいパントリーにするためのポイントをお伝えします。
重いモノはカゴに入れて足元に
重い缶詰や飲料、瓶詰の調味料類などの食品ストックは、取り出しやすく安全な足元に置くのが最適です。ただし、床に直置きすると散らかりやすく、危険なのでNG。カゴなどにまとめて収納しましょう。
よく使うモノは中段に
よく使う食品や、買い足し・買い増しの多い食品は、棚の中央の出し入れしやすい場所へ配置します。
高いところには乾物など軽いモノを
食品ストックの収納場所は、「目の届く高さまで」と決めておきましょう。目が届かない、手が届かない収納は使いづらくなり、保存期間が短い食品などには不向きです。目線より高い棚や吊り戸棚を利用する際は、安全性を考慮し、乾物やお菓子などできるだけ軽いモノを収納します。
無駄のない食品収納のコツとは?
食品ストック収納術の中でも、特に大切なポイントは「使い切りやすくする」こと。食品の無駄を抑え、キッチンのスッキリ度を保つために、ぜひ覚えていただきたいコツをご紹介します。
大まかに分けて簡単なルールを作る
収納する食品はあまり細かく分類せず、乾物、粉類、麺類、レトルトなど「ざっくり分け」でOK。なぜなら、細かいルールを作ると維持することが面倒になってしまうからです。その結果、またキッチンがごちゃついてストックが把握できなくなり、大量買いしてしまう…というのでは本末転倒。
「ストックが点在しないようにしよう!」など、簡単で毎日実践できるルールにすることが、スッキリ収納をキープするためのポイントです。
すぐ使える状態にして収納する
「ストックだから」「すぐ食べないから」…と、買った時のまま食品を収納していませんか?ですが、これも食品ストックのため込みを増やす原因。すぐに使える状態になっていないと、使うのが面倒になってしまうからです。
買ってきた食品は、外袋、外箱の封をカットし、すぐに使える状態にしてから収納しましょう。
足りないモノを把握する
食品の保存は、「使い切る」ことを前提に考えてください。ストックがないと不安な気持ちになるのは、「必要な時にない!」ということが起こるからですが、その原因はストックの量を管理しきれていないからです。
食品ストック収納術で大切なのは、たくさん持つことではなく、「足りないものを把握できること」、そして「必要なモノを収納されたストックの中からサッと取り出せるようにすること」です。
ライフスタイルに合った賢い収納術で、ストック収納上手を目指しましょう!
(撮影協力:今井 知加)
情報提供:整理収納アドバイザー 角一 まり子
整理収納アドバイザー1級認定講師/&STORAGE代表 1000件を超えるご家庭の整理収納サービスや多数の住宅メーカーで収納監修を手掛ける。(セミナー受講生は6000名を超える)人・モノ・空間を整え『美しく、心地よく暮らしやすい』を提案している。